第34話「上に行くための問題」
再び、薄暗い廊下を歩き始めた。
僕の足音がやけに大きく響いて聞こえるほど、屋敷の中は静まり返っていた。
あの“ワニの部屋”を脱出してから、もう20分以上は経っただろうか。
それでも、手がかりは一つも見つからなかった。
「……これじゃ、ただの迷路じゃないか……」
そう思いながら、ふと視線を上げる。
すると、以前封鎖されていたはずの階段の前に、小さな紙とマイクが置かれていた。
「……ん?」
慎重に歩み寄って、その紙を手に取る。そこには、こんな文章が記されていた。
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問題
Bさんはある日、Eちゃんと一緒に森へ遊びに行きました。
しかし、帰るときに突然の大雨に見舞われ、2人はびしょ濡れになってしまいました。
仕方なく、洞窟で一旦休むことにした2人は、濡れた服を脱ぐしかありませんでした。
――さて、次の図の◯に入るのは、何を意味するでしょうか?
(図)
脳
首
手 胸・お腹 手
◯
足 足
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「……これは……」
一瞬、僕は手に持った紙を落としそうになる。
図と問題の意味は明白だった。けれど、それを“声に出して”答えるには……。
(……恥ずかしい……)
部屋に誰もいないとはいえ、どこかで誰かが見ている気がしてならない。
顔が熱くなる。
「……でも、ここで答えなきゃ……階段は開かない……みんなにも会えない……!」
自分に言い聞かせるように、僕はマイクの前に立った。
(はっきり……大きな声で……)
「答えは……**せ、性器……です……っ」
言葉がこぼれ落ちた瞬間、廊下の壁のランプがぽっと灯り、階段の封鎖がゆっくりと解けていく。
「……正解、なのか……」
思わず天を仰ぎ、顔を覆いたくなるような羞恥がこみ上げてくる。
けれど、何よりも――
「よかった……これで、また上に行ける……!」
僕は足を踏み出した。
ギシギシと軋む階段を、一歩、また一歩と登っていく。
この先に何が待ち受けているのか――それはまだ分からない。
けれど、仲間と再び出会うために。
そしてこの“無限地獄”を終わらせるために。
僕は歩き続ける。
――To be continued




