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IN:銀河より遠い∞世界  作者: 普通の人/3時のおやつ
第2章「終わらない戦い」

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32/83

第32話「屋敷城の恐ろしさ」

――数時間後。


軍隊用のヘリは、青く澄んだ南の海を越え、グアム島の上空に到達していた。

けれどその島に、かつての楽園の姿はなかった。


灰色の施設と不気味な鉄塔。

軍用塀に囲まれた島の中央には、まるで要塞のような巨大な屋敷が構えていた。


「――屋敷城」


太一たちが乗っていたヘリは、その上空でゆっくりと着陸した。


しかし、誰も目を覚ましていなかった。

田中、井上、小野、そして太一――全員、気絶したまま。

それぞれ別々の部屋に運ばれ、目覚めたときには、完全に孤立状態となっていた。


操縦士の姿は、もうなかった。

血の跡だけが、冷たく床を染めていた。


 


***


――視点は太一へ。


「……う、うん……ここは……?」


目を覚ました僕は、真っ白な天井を見上げていた。

ベッドの柔らかさと、枕の香りが妙に現実離れしていて、どこか“ホテル”のようだった。

だけど、違う。

絶対に違う。


「勇気……翔……小野さん……みんなどこに……」


身体を起こしながら、僕はすぐに違和感に気づく。


「……ハンドキャノンがない。グレネードランチャーも……ない」


武器が、すべて奪われていた。


慌てて部屋の中を探し回るけれど、どこにも見当たらない。

あったのは、無機質な壁と、綺麗すぎるトイレと洗面所、そして静まり返った空気だけだった。


「みんなと合流するには……動くしかない」


僕はドアを開け、廊下に出る。


そこで目にしたのは――


「……ここ、屋敷だったのか……」


まるで貴族の館のような長い廊下。左右には無数の部屋が並び、床には赤い絨毯が敷かれていた。


「でも、階段は……」

歩き回って、僕はようやく気づく。


廊下の端に「F4(地下4階)」という表示がある。

だが、上への階段もエレベーターも、鉄の板で封鎖されていて動かせない。


「……詰み、か……?」


そのときだった。


僕は何気なく入った一つの部屋で、“異変”に気づいた。


コンクリートでできた無機質な部屋。

照明はやけに明るく、しかし、窓も、ドアの取っ手もない。


「なんか……変だ」


気配を察した瞬間――「バタン!!」という音と共に、扉が自動で閉まった。


「ちょ、ちょっと!!おい!!開けて!!開けろって!!!」

全力で扉を叩くけれど、微動だにしない。


呼吸が早くなる。鼓動が速まる。


(閉じ込められた……!?)


僕が後ろを向くと、そこには金庫が一つ。

震える手でその扉を開けると、中には白い一枚の紙。


僕はその紙を、声もなく読み上げた。



---


 問題

 「悪いワニは 黒くなるが 裏切られて死ぬ」

 「」は誰を意味しているでしょうか?

 制限時間は2分。

 回答は1回限り。

 大声で答えること。

 正解なら――出られる。

 不正解、あるいは時間切れの場合――檻が解放され、喰われます。


 最期まで諦めずに頑張ってね♡



---


(……は?)


紙を読み終えた瞬間、頭上から「ガシャンッ!!」という金属音が鳴り響いた。


振り返ると、部屋の中央に巨大な檻が降りていた。


その中には――巨大なワニがいた。

全長およそ10メートル、濁った目、黒い鱗、むき出しの牙。


「なっ……なんだよ、これ……なんでワニ!? ここ、屋敷だろ!?」


ワニは檻の中でうねり、低く咆哮する。


檻の隙間は狭い。けれど――明らかにそれが「一時的な封印」であることは分かった。


「……解け、ってことか。この問題を……」


冷や汗が首を伝う。

心臓が耳元で警告音のように打ち鳴らす。


――制限時間は、あと2分。


「悪いワニは、黒くなるが、裏切られて死ぬ……」

「『誰か』を意味してる……誰だ……?裏切られて……死んだ……?」


(時間がない。落ち着け……落ち着け……!!)


扉もない。逃げ場もない。

間違えたら――喰われる。


この屋敷が仕掛けた“トリック”の最初の牙が、今まさに、僕を試そうとしていた。


                                   ――To be continued


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