第29話「生か死か」
アイツ――進化した「最終兵器」は、凶暴さをさらに増していた。
「グルアアアアアアアア!!!」
大地が揺れるような咆哮とともに、跳躍。
「うそ……飛んだ!?『G-315』の時とは、全く違う動きだ!!」
僕は慌てて、ソンさんから託されたグレネードランチャーを構えた。
指は震えていたけれど、迷いはなかった。
(落ち着け……落ち着け……火炎弾を……)
ガンッ!!
弾が撃ち出され、炎の軌道を描いて化け物に直撃。
――ズボォォッ!!
燃え上がる。奴の全身を炎が包む。
「効いてる……火炎弾、効いてるぞ!!!」
だがそれでも、奴は止まらない。
火を纏いながら突進してくる。信じられない生命力。
「うわああああああ!!」
腕をかすめる。鋭い爪に切られ、僕の右肩が裂けた。
だが、倒れるわけにはいかない。
(次は……硫酸弾!!)
装填。
発射!!
――ズズズッ!!!
硫酸の爆発が奴の胸を焼くように抉った。
皮膚が泡を吹き、筋肉が剥き出しになる。
「よし!!よしよしよしよし!!」
逃げながらも撃つ。もう、普通の少年の動きじゃない。
自分でもわかる――これは、生きるための“本能”。
でも、残弾は残りわずか。
(最後の……硫酸弾……こいつで決める……!)
「うおおおおおおおおおおお!!!」
僕は渾身の力で構え、トリガーを引いた。
――ゴオォォン!!!
硫酸の爆裂が奴の頭部を直撃。
その瞬間――
「ヴアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
空に向かって絶叫を放ちながら、
奴は膝をつき、そのまま崩れ落ちた。
……動かない。
静かだ。
風だけが、屋上を吹き抜けた。
――僕は、勝ったんだ。
傷だらけの体を引きずりながら、向こうの建物の屋上に走った。
扉を開けると、そこには仲間たちの笑顔があった。
「太一ーーー!!」
田中が大声で叫ぶ。
「スゲェーーじゃねぇーか!!太一!!」
井上も飛び跳ねていた。
「太ちゃん、天才かよ!!」
小野さんが静かに微笑む。
「とても……かっこよかったです」
ジョディーが親指を立てる。
「坊やのクセに最強だな!」
ピューリが調子に乗って、
「この勝利は……醤油!!なんちゃってぇ~www!!」
女性兵たちがスマホを取り出す。
「天才すぎて、これ『トリッター』に投稿したいぐらいすごい!!」
「#奇跡の少年 #マジ尊い」
「#恋していい?」
男性兵たちが口を揃える。
「日本人……恐るべし……」
みんなが僕を囲み、喜び、賞賛してくれた。
でも――ただ一人、ローラさんだけは、沈黙していた。
その瞳は、どこか遠くを見ていた。
(……あとは、脱出のみ――)
地獄のような戦いは、まだ終わっちゃいない。
To be continued...




