第26話「イケメンの最期の言葉」
視点は「Cグループ」へと移る。
動画鑑賞室。そこは、本来であれば笑い声や映画の音が響いていたはずの空間だった。
だが今は、ゾンビのうめき声と銃声の連続。
部屋の中では、ローラ隊長を中心に、田中勇気、ジョディー・ジョーンズ、ピューリ・アレクタン、マイクロ・マクロス、そして男性兵たちが、追い詰められながらも必死に戦っていた。
「おい!!まずいぞピューリ!!こっちは弾が切れる!!そっちは弾残っていないか!!?」
「うるせぇーーー!!!黙れジョディー!!!こっちも尽きそうなんだよ!!!」
「落ち着いてください!!副隊長!!大佐!!」と男性兵。
田中も声を張る。
「ローラさん、弾…尽きそうですか?」
ローラは銃を打ちながら、冷静に答えた。
「安心しろ……弾なら、まだたくさんある」
「なに!!!?くれよ!!」
「そうだ!!!くれ!!!」
ローラは一言、鋭く返す。
「黙れ……お前らのエイムが下手だから無くなったんだろ?」
「はあぁ!?ふざけんな!!」
「それはお前が…!!」
その瞬間、マイクロが声を張った。
「落ち着いてください!!!みんな!!
僕だって、こんな目に遭いたくなかった!!
まずはここで生き延びる。それが最優先なんです!!!」
空気が変わる。
悔しげにジョディーが唸った。
「……わかったよ……悔しいけど、受け入れるしかねぇ……」
ピューリも同調する。
「だが!!お前がモテてることだけは!!許さねぇーーー!!」
マイクロは優しく微笑む。
「そんなの関係ないですよ……みんなと一緒にいられれば、それで……」
……静寂。
ゾンビの群れが、ようやく引いたようだった。
安堵が少しだけ広がった、そのとき――
「……え?」
誰かが、窓の外を指差した。
そこにいたのは、あの“斧を引きずる異形”――太一を追っていた「何か」。
片手に巨大な斧、もう片方の手で窓の外壁にぶら下がっている。
無数の目のような膨らんだ血管。血を吸ったかのような筋肉。
それは、「G-315」ですらない。
それ以上の何かだった。
「おい……嘘だろ……!!?」とジョディー。
「なんなんだよコイツは……ッ!!」とピューリ。
田中は口を閉じ、拳を握りしめる。
ローラは短く呟いた。
「これが……“最終兵器”……?」
異形は窓を突き破って、部屋の中に飛び込んできた。
ジョディーと目が合う。
「はぁ!?……なんで俺なんだよおおおおおおおお!!?」
斧を振り上げたその瞬間――
マイクロが身体を投げ出した。
「ジョディーさん、退いて!!」
マイクロの身体がジョディーを突き飛ばし、入れ替わりに――
斧が、彼の額と腹を一瞬で切り裂いた。
音もなく倒れた彼の身体から、大量の血が吹き出し、内臓が床に零れ落ちる。
時間が止まったようだった。
誰もが声を失い、目を見開いたまま動けなかった。
あの、誰からも好かれ、誰にも優しかった男が――
あまりにもあっけなく――そして静かに、命を落とした。
ジョディーが震える声で言った。
「なんで……なんでお前が……助けるんだよ……!!」
ピューリは唇を噛み、ローラは歯を食いしばる。
男たちは銃を構え直した。
この死は、決して無駄にはしない。
彼の“最期の言葉”は確かに届いた――
「みんな、仲良くしてください――」
それは、最期まで“マイクロ・マクロス”らしい言葉だった。
To be continued...




