第25話「新たな開発生物」
僕は「研究室」を出た後、すぐに外にある「射撃訓練場」へと足を向けた。
太陽はもう隠れかけていた。空には雲ひとつないのに、不気味な静けさが周囲を包み込んでいた。
「資料……ローラさんが言ってた“最低限の情報”…きっとここにもあるはずだ」
ゾンビの大群に出くわしたけど、今の僕には恐怖よりも使命感のほうが強かった。
ピューリさんから預かった「ハンドキャノン」で、迷わず撃つ。
次々にゾンビが吹き飛ぶ。
(……なんだ、案外弱いな)
そう思いながら建物に入ると、受付と救護室が見えた。けれど、目当てはそこじゃない。
資料や機密は、きっと上の階だ。
2階:ハンドガン系。
3階:アサルトライフル系。
4階:スナイパー系。
どこも訓練用の設備はあったが、資料も武器も、なにもない。
そして――最後のフロア、5階。
階段を上がる足音だけが、やけに響いていた。
入口のドアを開けると、ひやりとした空気が全身を撫でた。
その瞬間だった。
空気が「重く」なった。
(……何か、いる)
訓練場の奥。そこには、でかい“何か”がいた。
背丈は3メートル以上。
片手には、斧――いや、それ以上の「鉄塊」を引きずっていた。
重たく、鈍く、地面を這うような音。
「……これ、見たことない……!」
そいつが、音に反応した。
ゆっくりと顔を向け、目が合った。
「グゴオオオオオォォォ……!!!」
全身が硬直する。
動け、俺……!
奴が動き出す。引きずる斧の音と共に、重たい足音が近づいてくる。
「うわっ……来るなっ……!!」
僕は咄嗟にハンドキャノンを構えて撃つ。
1発、2発、3発――合計5発、すべて頭を狙った。
だが。
「……効いてない……!?」
そいつは一瞬のけぞっただけで、また歩みを止めない。
「なんで……なんでなんだよ……!? “G-315”には効いてたじゃんか……!!」
焦りが喉を締めつける。
「……逃げるしかない……!」
僕は反転して走った。
射撃訓練場を飛び出し、元の軍隊基地の建物へと戻る。
斧の“ズズズッ”という引きずる音が、後ろからついてくる。
「なんで……来るなよ!! お前……何なんだよ!!!」
廊下を抜け、階段を飛ばし、僕はトイレへ滑り込む。
ドアを閉めて、呼吸を潜めた。
数秒後――何も聞こえない。
僕は恐る恐るドアを開けた。
「……いなくなってる……?」
あの“異形”はどこかへ消えていた。
(……こいつは……「新しい開発生物」か? 資料には載っていなかったぞ……)
嫌な予感が胸をよぎる。
「ローラさん……Cグループのみんなは無事だろうか」
僕はすぐに階段へ向かい、2階へと足を運ぶ。
――もしかすると、この“新たな生物”は、インフィニティの最終兵器なのかもしれない。
(……もし、あいつに誰かが襲われてたら――)
階段を一段ずつ飛ばしながら、僕の心臓は、また速く鼓動を打ち始めていた。
To be continued...




