第24話「人体実験の結果」
「ガァァァァッ!!」「グルルルルッ!!」
廊下に響く不気味な声。
僕はピューリさんから託された「ハンドキャノン」を手に、
迫るゾンビたちを一体ずつ撃ち抜きながら、研究棟の奥へと進んでいった。
肉を焼くような薬莢の音、弾丸の反動、そして沈黙。
約20分後──
ようやく、研究棟の最奥、「研究室」にたどり着いた。
重いドアを開け、足を踏み入れる。
そこは白く無機質な空間。
壁一面に並ぶ観察装置とガラスケース。
そして、机の引き出しから見つけたのは、一冊の古びた資料だった。
表紙にはこう書かれていた。
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「インフィニティ研究科による人体実験の結果」
被験者:神田 香織
年齢:20歳
職業:コスプレイヤー
身長:153cm
趣味:メイク/アニメ/撮影
【実験目的】
特定ウイルスの人体への影響を観察する
精神・肉体への段階的変化を日記で記録させる
今後の「新種開発」への応用データ収集
【実験期間】
2004年5月23日 〜 5月28日
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その下には、神田さんが書いたと思われる日記が並んでいた。
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◆ 5月23日(日)
私は今日から被験者になった。
なぜここに送られたのか、正直わからない。
部屋は暗く、臭く、誰も話しかけてくれない。
身体には今のところ異常なし。でも、心が少しずつ削れていく。
……早く、帰りたい。
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◆ 5月24日(月)
眠れなかった。
朝になっても、ずっと胸の奥がザワザワしてる。
何かを叫びたくて、でも声が出ない。
鏡を見たら、少し顔つきが変わっていた。
目が……笑っていなかった。
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◆ 5月25日(火)
誰かの声が聞こえる気がした。
でも、壁の向こうには誰もいなかった。
気づいたら、腕に爪の跡がついていた。
自分で引っかいたのかも。……覚えていない。
日記を書かないと、私が誰だったか忘れてしまいそうで、怖い。
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◆ 5月26日(水)
漢字がうまく書けなくなってきた。
「忘」という字が思い出せなかった。
書いても、書いても、全部、ぐちゃぐちゃになった。
感情も、冷めていく。
……私って、まだ人間なのかな。
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◆ 5月27日(木)
ワタシ ノウミソ コワレテイル
ヒト ジャナイ キガスル
ニホンゴ ムズカシイ タスケテ
オカアサン ダレカ ワスレタ
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◆ 5月28日(金)
た す け て
だ れ か
い き た い
もう いたい こわい おわりたくない
わたしは わたしなのに
にんげん で いたいのに
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僕は、読み終えて、しばらく動けなかった。
白く光るページが、ひどく重く感じた。
彼女は確かに、誰かに愛されていた一人の女性だった。
夢を持ち、笑って、好きなことを楽しんでいた人間だった。
それを壊したのが、「インフィニティ」だ。
僕の中で、怒りが爆ぜた。
心の奥底で、僕は叫ぶ。
「ふざけんなーーーーーーーーー!!!!!!
インフィニティ……!!
絶対に、許さねぇーーーーーー!!!!!!」
資料をバッグにしまい、僕は静かに研究室を後にした。
歯を食いしばりながら、涙を見せないように。
To be continued...




