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IN:銀河より遠い∞世界  作者: 普通の人/3時のおやつ
第1章 「全ての始まり」
16/82

第16話「巨人」

例の部屋の中から、轟音と共に何か巨大な影が姿を現した。


「グルルルル!!!!ガアアアァァァァ!!!!」


思わず息をのむ。

その姿…どこかで見覚えがある。


――そうだ。

あれは、さっきの研究発表で見た「G-315」――。


「ってことは…あの化け物……人間なのか!?」


皮膚はひび割れ、全身は不自然に膨張し、目は濁っていた。

しかしその狂気じみた咆哮の奥に、かすかに人の面影を感じさせる。


その瞬間、G-315が雄叫びをあげて襲いかかってきた。


「グルルルル!!!!ヴオオォォォォォ!!!!」


ドン! ドン! と床を踏み鳴らす音。

だが――こいつは鈍い。動きが遅い。


僕はすかさず駆け出した。

目指すはエレベーター。


やっとの思いで前にたどり着く。

モニターには、エレベーターが今、1階にいることが表示されていた。


「早く……早く降りてきてくれ……頼む……!」


祈るように下の矢印のボタンを何度も押す。


背後には、すぐそこまで迫ってくる異形の影。

「グルルルル……グルルルル……!」


その瞬間――


「チンッ!」


待望の音と共に、エレベーターの扉が開いた。


中にいたのは――太郎だった。


「たいちにいちゃんじゃん! ここでなにしてたの?……うしろからきてる、おおきいやつってなに?」


「話は後だ!入れ!」


僕は急いでエレベーターの中に飛び込み、「1」のボタンを押した。

直後、扉が閉まる。


「はあぁ……はあぁ……よかった……死ぬかと思った……。」


安堵したのも束の間。


突然、天井のスピーカーから女性の声が流れ出す。


「あと10分で、研究所を含む練馬区全域は、証拠消滅のため爆発させていただきます。

助かりたい場合は、北のエレベーターを使用し、地下4階までお越しください。

そこには緊急列車がございます。それにご乗車ください。

……繰り返します――」




音声は続くが、僕の脳は一瞬で凍りついた。


「……嘘だろ……俺たちの街が……無くなるっていうのか……?」


すると太郎が顔を上げて言った。


「とりあえず、いそごうよ!!たいちにいちゃん!!

いまのってるエレベーターって……たしか、かんじに“はね”がなかったから……」


「ってことは……南エレベーター!?

まずい……これじゃ脱出できない!!」


「チンッ!」


エレベーターが1階に到着し、扉が開く。


「行くぞ、太郎!!……そうだ、太郎、お前……小野さんと行動してたんじゃ?」


「うん。でも、ぼくがひとりでこうどうしたいって言ったから、

みほねえちゃんにはちゃんとつたえたよ。だいじょうぶ。」


「そうか……よかった……。じゃあ行こう。10分以内に北のエレベーターへ!

地下4階の緊急列車に乗って、生き延びるんだ……!」


太郎はもう走り出していた。


僕も走り出す。


走る前に、心の中で一言だけ叫んだ。


「――行動力!!!」


そして僕は、全力で駆け始めた。

             

             To be continued

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