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IN:銀河より遠い∞世界  作者: 普通の人/3時のおやつ
第1章 「全ての始まり」
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第12話「さらに地下へ」

ようやく、道の入口まで戻ってきた。

けれど、そこには安堵の空気などなかった。仲間たちの声が飛び交い、何かが起きたことを僕に告げていた。


「おい!! 太田!! しっかりしろ!!」

田中の怒鳴り声が耳に刺さる。

「一体なにがあったんだ!!?」

井上が叫び、

「小野さん…これは大丈夫なの?」

高橋の声が震えていた。

「ふとおにいちゃん…すくえるの?」

太郎が小さくつぶやく。

小野は顔を曇らせながら首を振った。


「体全体に深い傷…両目が潰れている…私でも手の施しようがないです…ごめんなさい。」


その言葉を聞いて、僕は全速力で駆け寄った。

血の気が引く。目の前には、瀕死の太田が倒れていた。


「おい!! 太田!! どうしたんだよこの傷!!」


井上が声を詰まらせる。

「太ちゃん来たの…太田の奴…見つけた時には…もう…。」


「翔!! てめぇ!! 情けねーこと言ってんじゃねーよ!! まだ息はあるんだぞ!!」

田中が吠える。


「そうよ!! まだ息は止まっていないわ!!」

高橋も叫ぶ。


すると、太田がかすかに身じろぎし、唇を動かした。


「ここは…どこだフ…?」


「目、覚ましたのか太田!! 俺だ!! 俺だよ!! 勇気だ!!」

田中が顔を近づけて叫ぶ。


「勇気…本当に勇気なのかフ…?」


「翔だ!! 聞こえるか太田!!?」

「私よ!! 玲奈よ!!」

「聞こえるか太田!!? 太一だ!!」


懸命に声を届けようとする僕たちに、太田はゆっくりとうなずき、小さく笑った。


「みんな…生きでたんだねフ…。

最期に言いたいことがある…フ…。

お前らの中に…裏切り者がいるでフ…。

絶対に死ぬなよ…フ…。

それと…もう1人の裏切り者は…日佐知香だフ…。」


その言葉を残し、太田の体から力が抜けていった。

目を閉じ、二度と開くことはなかった。


僕たちは言葉を失った。


「この中に…裏切り者…嘘だろ!!?」

田中が叫ぶ。


「冗談だよね…?」

井上が信じられない様子でつぶやく。


「誰!!? 裏切り者は!! 白状しなさい!!」

高橋の声が鋭く響いた。


「うらぎりものってなに?」

太郎が不安げに聞く。


「敵側に加わるってことです…。」

小野が静かに答える。


僕は覚えている。あの時の光景を、声を。


「僕、さっき…日佐知香見たんだ…通信機で誰かと話していたんだ…。」


「なんて言っていた!!? 教えろ太一!!」

田中が詰め寄る。


「『資料を収集しました』って…そう言ってた…。」


すると、井上が立ち上がり、真剣な眼差しで言った。


「僕…見つけたんだよ…さらに地下への道を…。」


「もっと奥深く!? どんな感じだったの?」

高橋が尋ねる。


「全然洞窟っぽくない…むしろ、研究所だったかもしれない…白い建物…。」


「行こうよ…とりあえず、その白い建物に。」

僕は迷いなく言った。


「なにかあるかもしれないですからね。」

小野も頷く。


「とりあえず!! 出発だ!!」

僕は叫ぶ。


「そうだ!! こんなところで萎える俺達じゃえーーーぜ!!!」

田中が拳を突き上げる。


「そうよ!! 行かないと後悔するかもね!!」

高橋も笑う。


「いこういこう!!! たのしみたのしみ!!」

太郎の声が弾む。


「それじゃ!! 行くぞ!!」

井上の合図と共に、僕たちは再び歩き出した。


目指すは、さらに深い地下——

そこには、真実が待っている。


            ――To be continued.

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