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IN:銀河より遠い∞世界  作者: 普通の人/3時のおやつ
第1章 「全ての始まり」
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第10話「天才の子」

無数のゾンビと、得体の知れない異形の生物たち。

その群れの中を、僕は手にしたハンドガンで冷静に撃ち抜きながら進んでいた。弾を無駄にしないよう、一発一発を正確に。心を殺しながら。


しばらく進んだ先に、ぽっかりと開いた大きな穴を見つけた。

何かがある——そう確信し、中に入ろうとしたその瞬間、微かに声が聞こえてきた。


すぐさま物陰に身を潜め、息を殺す。


その声は、電話をしているようだった。


「資料ですか?問題ないです。僕が収集しました。」


……この声……どこかで聞いたことがある。

妙に落ち着いた、冷静すぎるその口調。思い出せそうで思い出せない。


けれど、次の瞬間、記憶が一気に蘇る。


——天野君!!


まさか、こんな場所で会うなんて。

彼は、僕のクラスメイトのひとり。世間でも名の知れた「日本一の天才小学生」、天野日佐知香。


漢検・数検・英検、それぞれ1級に合格。

勉強だけじゃない、運動も超一流。雑誌の表紙に何度も載ったことのある、誰もが認める超優秀児。


(なんで…そんな彼がここに……それに、“資料”ってなんだ?)


僕はそっと穴の中へと足を踏み入れた。


「おや?……君は確か、山田君じゃないか。」


振り返った彼は、相変わらず整った顔をしていたが、その目だけは冷たかった。


「天野君……なんでここにいるの?資料って、何のこと……?」


その問いかけに、彼は無言で僕にハンドガンを向けてきた。


「……っ! なんで、銃なんか……」


「これか? ただの護身用だよ。たまたま落ちてたから、拾っただけさ。」


そう言いながらも、その構えには一切の無駄がなかった。指先が、まるで訓練を積んだ兵士のように冷静だった。


そして、彼の表情が変わる。瞳の奥が、研ぎ澄まされた刃のように鋭く光る。


「全部聞いてたの? 聞いてなかったの?どっちなんだい?」


「ぜ、全部なんて聞いてないよ!途中から、ほんのちょっとだけ!!」


その言葉に、天野はようやく銃を下ろした。


「そうか……そうか。なら罰を与えないとね。」


そう言いながら、彼は自分の爪と爪をこすり合わせ、「チャッ」と鋭い音を鳴らした。


その瞬間——


頭上から、重たいものが降ってきた。


……それは、巨大なクモだった。人間を一呑みにできそうな大きさで、不気味に足を蠢かせながら僕を見下ろしている。


「君には、この子と遊んでもらおうかな。きっと、気に入るよ」


背を向ける天野の声は、どこか楽しそうだった。


「じゃあ、僕は失礼するよ」


そして、彼は闇の奥へと姿を消した。


「なんでだよ……なんで、さっき戦ったゴリラみたいな奴の後に、こんな奴まで……!」


目の前の超巨大クモが、鋭い牙をむき出しにして、こちらへ飛びかかってくる。


ここで、倒れるわけにはいかない。絶対に——。


                    ――To be continued.

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