魔族の女
クラウディア達を馬に乗り追ったリアナ達は目的地の場所へと着いた。馬を降りてみると目的地はとある村だった。中に入るとそこにはオークの死体と老若男女問わず焼かれた村人の死体がそこら中に転がっていた。
「ひどい、、、、。」
生きている人がいないかしれべて回ると今にもこと切れそうな鎖帷子を身に着けた冒険者らしき男を見つけレティシアが急いでその男に回復魔法を使い男の傷を癒すとリスティが男にクラウディアとダグラスはどうなったかを聞く。男は他の冒険者と何処かへ連れ去られた事をリアナ達に伝えた。
「何処に連れ去ったんだろう?」
「クラウディアさん達の持っていうモノはないかしら?それを見つければネフェに匂いを嗅がせて後を追跡できるかも知れないわ。」
アイリーンがそう言うとリアナ達はクラウディアのパーティメンバーが持っていた物を手分けして探した。すると村の外れにオークの死体とバスタードソードが落ちているのをアルフが発見した。
「皆!」
「何か見つかったのか?アルフ。」
リアナ達はアルフの元へと集まりリスティがバスタードソードを見て言った。
「こいつは恐らくダグラスが使ってた剣だね。」
「ネフェに匂いを嗅がせてみましょう。」
レティシアがネフェに匂いを嗅ぐ様に促すとネフェは匂いを嗅いだ。
「どう?ネフェ後を追える?」
リアナがそう言ってネフェに聞くとネフェは匂いを辿って歩き出す。
「いこうぜ!」
ネフェについていくて行くととある洞穴にたどり着いた。
「中に入ろう!」
「待って、リスティさん。村人の遺体からするとクラウディアさん達をさらった奴は火属性の魔法を使うわ。ホーリーシールドとウォータシールドの魔法を使ってから入りましょう。レティシア、ホーリーシールドをお願い!」
レティシアがホーリーシールドの魔法を使いアイリーンがウォーターシールドの魔法を唱えた。神聖なる加護と水の加護を得たリアナ達は洞穴の中に入って行くと出入り口のすぐ近くに鉄格子があり中にクラウディアと数人の冒険者達が捕らわれていた。
「クラウディア!!」
「リスティ!」
「いま出この鉄格子を開くから少しまってて。」
鍵の掛かった鉄格子をリスティが開けるとクラウディア達は中から出てきた。
「ダグは?!」
「さっき奥に連れていかれたんだ、、、。」
「奥へ行きましょう!」
「ワタシ達もいくよ!」
「いや、クラウディア、アンタ達は装備も無い上にけが人もいるようだし村に行って私達の乗って来た馬で先に街まで戻ってな。」
「、、、、分かった。ダグラスを頼んだよ。」
「必ず連れて帰るよ!」
クラウディア達と別れるとリアナ達は奥へと急いだ。奥に行くと倒れているダグラスと女らしき人物の後ろ姿が見えた。リスティが女らしき人物に言った。
「ダグを返してもらうよ!」
女らしき人物は後ろを振り替えるとその頭には山羊の様な角が生えていた。
「、、、、まさか、、、魔族?」
「魔族なのか?あの女。」
「そうね、坊や私は確かにあなた達が言う魔族よ。貴方達も村人の後を追わせてあげるわ。でもそこの二人の可愛い男の子とこの男の冒険者は戦いが終わったら私のペットにしてあげるわね。」
そう言うと女はファイアーボールの魔法をリアナ達に放とうとした。それを見たカイルがリアナ達に言った。
「皆、俺の後ろに!!」
そう言うとカイルは盾を前に構えてファイアーボールの魔法を受けた。ホーリーシールドの加護とウォーターシールドの魔法の効果がファイアーボールの魔法の効果を最小限に抑えた。
リリアンとリアナが魔族の女に近寄り攻撃をくわえるがリアナの剣はかわされてリリアンの一撃は腹の部分にあたるが鉄の様な硬さでダメージは全く与えられなかった。
リアナとリリアンに再び魔法を放とうとするとアイリ―ンが魔法を使って魔族の女の魔法を封じた。
リアナは隙に風の魔法力を全力で剣に込めるとソニックスラッシュを放った。
ソニックスラッシュは魔族の女の左手を切り裂いた。
「クっ!!やってくれたわね、、、、、死んでもらうわよ!」
そう言うと女は山羊頭の怪物に姿を変えた、そして恐ろしいスピードでリリアンに一撃を見舞いリリアンを意識不明に追い込んだ。それを見たカイルは怪物に突進していくとブロードソードを振るった。魔族は難なく交わしてカイルにも一撃を見舞おうとするとカイルは盾でそれを防ぐが盾ごと吹き飛ばされた。
カイルを吹き飛ばすと魔族は今度はリアナを素早く掴んで首を絞めたまま持ち上げた。その様子を見ていたアイリーンがウィンドカッターの魔法を放とうとすると魔族はリアナをアイリーンに投げつける。
カイル達四人が動けなくなるとリスティがククリを手に怪物に切りかかるが怪物はリスティを蹴り飛ばす。
残ったアルフとレティシアとネフェに魔族はゆっくりと近寄り出す。
ネフェがレティシアを守るために飛び掛かるが魔族はネフェを投げ飛ばした。アルフがレティシアを守るために剣を抜くとアルフの剣が眩しく光り出し怪物は剣を恐れて怯んだその様子を見たカイルがアルフに言った。
「アルフ!!そいつの心臓を貫け!!」
アルフは怯んでいる魔族の胸に目掛けて剣を突き刺した。胸を貫かれた魔族は悲鳴を上げて倒れると塵となって消えた。軽症で済んでいたカイルとレティシアは倒れた仲間達に近寄り回復魔法で治癒するとリアナ達は意識を取り戻した。リスティがダグラスに近づいて息をしているのを見るとリスティは安堵した。
「、、、、ダグ。良かった。本当に」
気絶しているダグラスをカイルが背負うと一行は洞穴から抜け出した。
「とりあえず村に行こうぜ。住民たちを埋葬しなきゃな。」
「そうですね。」
リアナ達は村に戻ると住民達の遺体をを埋めて埋葬した。途中目を覚ましたダグラスがリアナ達に礼をいうとリアナ達は街に戻るため村を後にした。
一日かけて街に戻るとリスティはダグラスをクラウディアの元へ連れて行った。二人はリスティに感謝した。リアナ達に先に休む様に言うとリスティは旧友達と酒を飲み交わした。
「リスティ。昔の様に俺たちのパーティに加わらないか?」
「そうだよ。リスティ。一緒に行こうよ。」
「ありがたいけどやめとくよ、あの子達はまだ冒険者として心配だしね。それに、、、」
「それに?」
「アタシはさもっと稼いでアタシ達の故郷に大きな孤児院を建てたいのさ。アンナが願っていたことだからね。それがアタシに出来る罪滅ぼしさ。」
「リスティ、、、、、、。」
「悪いね!昔の話を思い出させて。久しぶりに再会したんだ。もっと楽しく飲もう!」
その日遅くまでリスティ達は酒を飲んだ。次の日ダグラス達に別れを告げるとリアナ達は馬に借りて乗りクーレンド王国の王都に向かう事にした。
「結局、魔族の仕業って思ってもらえなかったね。」
「死体も消えてしまったヨ!仕方ないヨ」
「そうね、それにしても恐ろしく手強い相手だったわね。アルフの持っていた剣が無かったら全滅していたかもしれないわ。」
「うん。そういえば、前に会った情報屋さんが聖杯は魔族が持っているかもとしれないって言ってたね」
「もしそうなら、あんなの相手に聖杯を取り戻さなきゃならないなんて厄介そうね。」
「アルフの剣とリアナの魔法剣は通じたけど俺とリリアンの装備じゃ相手にならなかったな。」
「そうね。王都に向かったら武具屋に行ってアルフの持つ剣の情報と今より上等な装備を探した方がいいわね。」
「王都までどのくらいかかりそうですか?アルフ」
「五日は掛かりそうですね。」
リアナ達はクーレンド王国の王都に向かって馬を走らせた。
つづく