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――第3話ー① 狂化の原因は......キノコ!? (旧:伝承と童話の巨悪?)――

 狂化星霊ベヒモスを倒した僕らは、文明の残骸や惑星の生態系を調査していた。


 ちなみにベヒモスの死体は現在、到着したギルドの解体班と査定班が回収しているところだ。

 

 

「おにぃ。このキノコ、ベヒモスと同じ状態。」

 

「このキノコ……赤装仙ダケだぞ?」

 

「?……星元来のキノコ違う?隕石乗ってきた?」

 

「このキノコは白色矮星の周りを周回している惑星では育たない……。赤色矮星の赤い光が必要だからね……。そもそもそれ以前に、隕石の上で生きられるキノコじゃない。」

 

 ※隕石の主成分 = 鉄、ケイ酸塩鉱物

 

 

 赤装仙ダケはその特性上、他のキノコ類と比べても多少熱に強い。

 しかし、大気圏突入時の熱でも、生存できるなんて話は聞いたことがない。

 

 そもそも自生地の惑星が砕けるような爆発に、キノコが耐えられるわけがない。

 

 つまりこれは……

 

 

「人為的な仕業?」

 

「あぁ。しかも狂化状態のキノコを持ち込んだ……キノコは粘菌だからね。正常な成長速度を超えて、どんどん地中で繁殖し、土地を汚染したんだ。」

 

「現地生命、影響を受けた?でもベヒモス以外、狂化生物いない。どうして?」

 

「簡単だよ。狂化状態の生物は同族保護の意識が薄れるんだ。つまり共食いを繰り返す。最後にその共食いを制したのが、あのベヒモスだったんだ……」

 

 

 狂化状態の生き物は互いに殺し合う。だから他の生き物がいないことは納得できる……

 

 

「何か裏がありそうだな。」

 

「??」

 

 

 問題はそこじゃない。このキノコを見るまでは、星に宿る星霊が、突然変異でもしたベヒモスに捕食されたと考えていた。

 

 この場合、

 突然変異ベヒモス➝星霊ベヒモス➝星霊狂化ベヒモス。

 という順番で誕生したという仮説になる。

 

 つまり星霊ベヒモスになった後に狂化ウイルスにたまたま感染した事になるのだ。

 

 惑星全生命の共食いには当然相応の時間がかかる。

 しかし前者の仮説ならば、短期間で狂化星霊ベヒモスが誕生したという筋書きになる。

 

 

「おにぃ、考えてる?何かある?」

 

「おかしいんだよ……このキノコ説が正しいとすると……狂化ベヒモスが現れる前に、数多くの生き物たちが殺し合いをした事になる。」

 

「それ、おかしいこと?」

 

 

 1.キノコ説が正しいとするならば、

 ↓

 2.キノコが土地を汚染

 ↓

 3.数多くの生命が狂化する

 ↓

 4.『共食い』

 ↓

 5.狂化ベヒモス勝利

 ↓

 6.星霊を殺す

 ↓

 7.星霊狂化ベヒモス

 

 という流れになる。

 

 多少不確定要素に左右されて多少順番が前後しても......

 一定数の種の共食いというプロセスは避けられない。

 

 この惑星には、生き残ったベヒモスの他にも、強い原生生物はいたはずだ。

 

 例え惑星全ての生命が狂化していなかったとしても、最後の一匹になるまで殺し合うには、相当な時間がかかる。

 

 

「生き物のほとんどが死に絶え、生態系も崩壊。その後に生き残った狂化ベヒモスが星霊をも吸収……。少なく見積もっても3ヶ月はかかる……」

 

 

 そうだ……これは最終段階。もう何もかも終わった最後の状態だ……

 

 まるで誰かがこうなるまで、惑星全体を天上神界から隠していたような……

 そんな違和感がある。

 

 

「……長ければ1年。」

 

「そしてこの星には知性体もいる。常に神族に監視されているし、天上神界が気づかない訳がないんだ。」

 

 

 普通に考えれば気づかないはずがない。しかし、現に神界は気付けなかった。

 

 もしこのキノコ仮説が正しいのだとしたら。

 神界の監視すら欺く隠蔽魔法を惑星全体に施せる相手が敵という事だ。

 

 組織的な隠蔽であればそれは不自然ではない。

 

 これがもし一個人の仕業ならば……

 神界の最高戦力である、十神柱に匹敵するほど強大な相手が、今回の黒幕という事になる。

 

 

「でもおにぃ。何でキノコ?魔石とかの方、が手っ取り早い。」

 

「いや。そういう手段は神界も常に警戒している。すぐに発見されるだろう。キノコである理由は、繁殖の特性だろうね。キノコは地面の下に菌を広げて繁殖するから、他の方法よりも発見が難しいんだ。」

 

 

 待てよ?

 最近、魔物の発生件数が急増しているのって、この手法のせいじゃないのか?

 

 キノコを利用して魔物を狂化させるなんて、気付かれにくい上に効果的だ。

 何せ地面そのものを汚染できるのだから......

 

 しかし、今回の件で天上神界もその事に気づいただろう。

 迅速に対策を始めるだろう。

 

 しかし、既に狂化された魔物を戻すことは、現時点で天上神界でも不可能だ。

 これを仕掛けた奴の目的は一体何なんだ?

 

 そんなことを心の中で考えていたら妹が話しかけてきた。

 

 

「おにぃ。知性体、感染する?」

 

「いや、知性体は狂化が掛かっても理性と知性があるから。定説だと多少暴力的になるくらいのはず……」

 

「おにぃ。それ普通狂化ウイルス。これ普通違う。あのベヒモス。魔法使った。」

 

 

 そうだな。実は僕もそれを考えていたんだ。

 ベヒモスが魔法を使えるなんて異常だ。

 

 しかし……どんな種にも突然変異個体や、異常個体というものは存在する。

 

 もし、あのベヒモスが元々魔法を使えるほど知性を持つ、特異個体だったとしたら……

 

 

「可能性はあるな。知性のレベルにもよるけれど、通常のものより効果が大きいのは確実だ。」

 

「必要そう?サンプル。持ち帰る。」

 

 

 そう言ってエリーはキノコを素手でもぎ取ろうとした。

 

 

「待て待て!今話したよな?効果がヤバいんだって……エリーには効かないだろうけどさ。無警戒は良くない!」

 

「ほぁ?」

 

「空気感染なのか、魔力を伝っての感染か、皮膚からの付着感染なのか。何も情報がないんだ。ここは死体回収にきてる解体回収班の専門家達に任せよう。」

 

 

 エリーは頷きつつも不満そうな顔を見せた。

 彼女の毒物耐性が高いことは理解しているが、僕は慎重にならざるを得なかった。

 

 僕も本気を出せば、持ち帰ることは可能だと思う……

 しかしこの場所は、この事件の黒幕に監視されているかもしれないのだ。

 

 そして世の中には不測の事態というものがつきものなのだ。

 狂化星霊ベヒモスとの戦闘以外で、敵に無用な情報は与えたくない。

 

 エリーは一瞬僕の目を見つめ、その意図を察してすぐにキノコから手を引いた。

 過酷な環境で共に地獄を生き抜いてきた、関係性の深さを感じた瞬間だった。

 

 

「ん。おけ。」

 

 

 僕たちは無言のまま互いの意図を確認し合い、慎重に行動することの重要性を再確認した。




 僕たちは使い切りのワープポインターを使う。


 緊急事態を伝える為、神界への帰路についた。




 どうもこんにちわ。G.なぎさです!!


 今回の第三話は今後の展開に必要不可欠となる伏線が潜んでいます。

 正直かなり退屈だと思いますが、そこは本当に申し訳ありません。


 これからも私の作品「輝冠摂理の神生譚」をよろしくお願いいたします!!








三話修正しました。いつもご覧いただきありがとうございます!【2024年6月24日】

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