――第21話ー① 試合に勝って勝負にも勝つ!そしてトドメに煽る! 『奇怪で歪な命......その名は神』――
エリーを尾行してから数日が経った。
その間、僕は学校での講義を数回こなしつつ、いつもの生活を続けていた。
あれから調査依頼はぱったり来なくなり、今日は久々にルシアと2人で5日の連休が重なった。
僕もルシアも在宅での仕事が多いが、自由な時間は意外と少ない。
僕たちはチェスやボードゲーム、フルダイブ型のゲームを楽しみながら休日を過ごしていた。
「くそ、負けた......脳内CPUまでフル稼働してるのに......チェスは強いな。」
「おちょくってるのかしら!?私の勝率は四割よ!!私チェス凄く得意なのに......何で勝てないの?」
四割ってほぼ互角じゃないか??
「あれ~そうだっけ?」
「何でよ!?私、世界大会での優勝経験もあるのよ!?何で本ばっかり読んでる頭でっかちに勝てないの!!」
「知らん。何となくでできる。エリーも多分そう。」
「......ムムム。天才めぇ......」
僕は改造施設時代に脳を改造されている。
そのためCPUなどの機械が埋め込まれている。
サイボーグとまではいかないが、純有機生命とは言い難い。
ある意味でドーピングをしているのだ。
「神界の科学技術を使って、CPUもかなり改良してるしね。」
「ルークの方が演算や作戦組み立て能力は高いわ。でもチェスへの理解度は私の方が上。ルークは常に最適解を探すから逆に読み易いの。」
「今負けた人がそれ言う?」
「くぅ......」
ルシアはプログラムや、ハッキングなどの分野においては、神界でも有数の大天才だ。
そういったことに関しては、僕なんかよりも遥かに怪物なのだろう。
「でもさ。僕もわざと最適解ではない手で揺すったり、意表を突いたりしてるよ?」
「次の手を考えての意図のある意表でしょ?こういうゲームはね。たまに何の意味もない手で、相手を掻き乱すことも必要なの。特にあなたみたいな深読みしすぎる慎重なタイプにはね。」
「ほーん?で?今回は無意味な手で?隙を晒して負けたと?」
「ぅぅ......言わないでぇ......」
そうして僕たちは他愛もない会話を終え、チェスを続けた。
1時間ほどが経った。
「そろそろ昼でも食べる?」
「たまにはなくてもいいんじゃない?別に私たちは食事をしなくても死なないわ。」
「でもなぁ。食わなきゃ死んでた頃の名残でさ。何となく1日、2~3食は食べちゃうよね。」
「まぁそうね。何か食べなきゃ......っていう感覚はずっと残ってるわ。」
僕たちは暗くなると睡眠を取り、3食食事を取る習慣が抜けていない。
他の多くの神族は時間が経つごとにその感覚を失うが、僕たちは未だに抜けない。
するとルシアが真面目なトーンで話を切り替えた。
「ルーク。神族という生き物……いえ私たちの生態についてあなたはどう思うかしら?」
「どうした急に。」
「いいから......答えて.......」
謎多き『神族』その歪さが今、語られる。