――第17話ー① 魔道神に嵌められる 『究極の破壊生命』――
僕たちは熾星王討伐の件でギルドに来ていた。
「今、上に掛け合ってきます!」
そう言って受付の人は急いで奥へと姿を消した。
十神柱は常に多忙で、簡単に連絡が取れる存在ではない。
ましてや、魔道神ソロモンがここにいるはずもない。
推薦クエストの処遇を決めるには、それ相応の時間がかかるのは当然のことだ。
「魔道神ソロモン様が面談室でお待ちです!この度は大変申し訳ありません。」
「あ、分かりました。」
いや、なんで居るんだよ!?さては待ってたな……嵌められたか?
「……いるのね。」
「絶対わかって待機してたんだろ……」
面談室に入ると、魔道神ソロモンがにこやかに語りかけてきた。
「やぁ。また会ったね。今回はどんな要件かな?」
その笑顔からは、何もかも見透かされているような確信が漂っている。
いや、絶対分かってるこの顔……完全に嵌められたな。
「はい。今回魔道神ソロモン様から推薦を頂いたクエストについてですが、私たちには余りにも難易度が高すぎると感じました。その点についてお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「確かに、あれは君たちには厳しい挑戦かもしれないね。ただ、あれはヴァラルが手を加えた可能性がある原初熾星王なんだよ。」
完全に論点をずらしてきた。
これは何か良からぬ思惑があるに違いない。明らかに嵌められた感が強まる。
「狂化ですか?」
「その可能性は限りなく低い。力で支配されたか、あるいは洗脳されたか……詳細は分からないが、意図的に操られている可能性が高いんだ。そもそも、あの原初熾星王が本来いるべき宇宙は別の場所にある。」
つまり、誰かに操られ、意図的に天界のある宇宙に送り込まれたということか。
その可能性が現実味を帯びてくる。
「いえ、それは承知していますが、それでも難易度があまりにも高すぎます。」
「確かに危険だが、その分だけ君たちは大きく成長できるはずだ。僕が渡した神術教本を完全に駆使すれば、倒せない相手ではない。僕は君たちに大いに期待しているんだ。」
「期待している」と言われると、断るわけにはいかない。断ればその期待を裏切ることになるとも受け取れる。まるで脅しのようだ。僕は5代目全神王になるために、多くの権力者と友好関係を築きたい。
その中でも十神柱は特に強力な存在であり、
彼らとの関係は最も重要なカードなのだ。
「そ……それは。」
「ルーク……」
その直後、僕は背後から恐ろしいほどの殺気を感じた。