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輝冠摂理の神生譚 ~どうやら天才らしいので、嫁と神々の王を目指す!~  作者: G.なぎさ
第二章 天上神界を覆う不穏編
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11話ー③ 古今最強の老剣神?





 ルシアの指導番になりしばらく時間が過ぎた。

僕はルシアの剣技を記録しつつ、眺めていた。



「それにしても、原初神の雷槍......先生に打ってみたいなぁ。」



「原初神の雷槍」を複数同時に発動しても、先生には有効打にはならないだろう。

しかし先生が、どうやってそれを捌くのかはとても気になる。


 もっとも、ここで使えばどれほどの被害が出るか想像もつかないので、迂闊に試せるものではないが……。



「にしても先生強いな。アファルティア様が自分より強いとおっしゃってたけど……本当なのかも。」



 先生が本気を出せば、今よりも数十段階も身体能力が向上するだけではすまない。


 最高位の身体強化神法、剣に付与する固有技能の付与。

そして至高の域に到達した剣技、更には気功術まで加わる。


 僕たちが生身で相対すれば、剣を振るった衝撃波だけで命を落とすかもしれない。



「上には上がいるんだよな。全神王が武力重視だったら僕には望み薄だったかもしれない。」



 そうこう考えていると、指導を終えたルシアがこちらに向かってきた。



「二人とも前と比べてかなり強くなっているな!!色々指導はしたが、すでに剣技だけで他の上位神には勝てるだろう!!これからも高みを目指して共に頑張ろう!!」


「はい!ありがとうございます!」



 その時、僕の真後ろから突然声が聞こえた。


 年老いた声、恐らく着物を着ているのだろう......

羽織が風に靡く音が微かに聞こえる。


 ルシアも僕もその気配に全く気付いていなかった。



「やっとるのぉ。どうじゃ調子は。この子らは中々に才能があるじゃねぇか。」



 敵意も善意も悪意も何一つ感じ取れない。

その事実に、僕とルシアは心臓を鷲掴みにされたような恐怖に支配された。


 後ろに立たれ、声を発している今も全く気配を感じない。

そもそも、いつからそこにいたのか検討さえつかない。



「師匠。お久しぶりです!また食い逃げですか?」



 先生は確かに「師匠」と言った。十神柱に匹敵する実力者の先生に師匠がいる?

もしかすると、先生以上の実力者なのか!?



「お初にお目にかかります……ルークと申します。」



 先生の師匠という事実を知り、恐怖心は大きく和らいだ。

しかし、すぐにある違和感に気づいた。


 長い白髪を結っている年老いた老神からは.......




......体内魔力や呪力といったエネルギーが一切感じられないのだ......




「先生のお師匠様というのは……」


「そうじゃ。ワシは鴈治郎っちゅうボケかけた老いぼれじゃよ。」


「二人とも。これは物凄い幸運な事だぞ!!!師匠と手合わせをして貰えるいい機会だ!!!」



 先生は大きな声で僕らに問いかけてきた。



「鴈治郎様。是非お手合わせお願いいたします。」



 この老神は恐らく僕らよりも遥かに強い。

だが、内包するエネルギーがゼロである以上、その身体能力には限界がある。


 剣の腕だけでは、必ず強さに頭打ちが来るはずだ。

だからこそ、先生に道場を譲ったのだろう。


そう思っていると、老神が口を開いた。



「栄治郎おぬしなぁ......この子ら魔力を相当持ってんじゃねぇかい。ワシが教えるよりぬしの方が適任じゃろうて。」


「はい!!ですが今日二人は純粋な剣術のみの鍛錬に来ています!!故に師匠の方が適任です!!」


「あそぅ?そいつぁ仕方ねぇ。よぉし小童ども!どっからでもかかってきぃ。」



 老剣神は刀を構えて僕らに問いかけてきた。



 構えを見るだけでわかる......



 この老神はこれまで相対したどんな相手とも.......比べものにならないほどの剣の高みにいる。


 その構えは恐ろしく静かで、威圧感は何一つない。

その気配はまるで、近所を散歩しているように自然で穏やかなのだ。


 僕らは目くばせを交わしながら、お互いの動きを共有し、全力で老神に斬りかかった。

 正確には斬りかかろうと試みた......が正しいかもしれない。



「え?」


「へ?」



そして、僕らは......

信じられないものを見た......

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