表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
輝冠摂理の神生譚 ~どうやら天才らしいので、嫁と神々の王を目指す!~  作者: G.なぎさ
第二章 天上神界を覆う不穏編
31/244

――第9話ー① 静寂の蹂躙 (旧:神の術)――





「なに勝った気でいるんだよ。雑魚が。」



 剣を構え、臨戦態勢に入った僕に対して、呪術師の目が鋭く光る。

 周囲の空気が一瞬にして緊張に包まれ、風が木々を揺らし、鳥たちが静かに身を潜める。


 闇が深まり、月明かりが鋭く剣の刃を照らし出す中、呪術師の声が静かに響いた。



「気でも狂ったか?」


 彼の声には不信感と軽蔑が混じり合い、その言葉は冷たく鋭く僕の心に突き刺さる。


 静寂の中、二人の呼吸音だけが微かに聞こえ、緊迫感が高まる。



「4人であの戦いだったのだぞ。手負いのお前1人など。」


「本当にそうかな?ほら見てよ。」



 そう言って、僕はゆっくりと両腕を掲げ、呪術師に見せつけた。

毒にまみれたはずの腕は、驚くほど無傷だ。


 まるで初めから何もなかったかのように、傷一つないその姿に呪術師の目に見張っている。



「バカな!信じられん!!完治したというのか!?」


「気づくの遅いなー。」



 今回の戦いでは、僕は一度たりとも本気を見せていない。

あの巨大なベヒモスとの戦闘でも、同じように力を抑えていたのだ。



「この結界って外からの監視を遮るんだよね?」


「何を今更。天界の監視をも遮断する最強の結界呪法ぞ!」



 僕は胸中で安堵の息をついた。

念のため、先ほどの修復の際に、僕が結界の遮断性能をさらに強化しておいたのだ。


 そのため、ここで何をしようとも、外界には決して知られることはない。



「なら。僕が何しても外からは見えないんだね?」


「お主。何を……まさか負をそのまま扱えるのか?」



 負をそのまま扱う?そんなもの原素エーテルを直接操ることよりも不可能だ。

呪術師は明らかに混乱している。


 しかし、僕にとっては好都合だ。

久々に力を発揮できる舞台が整ったし、少しだけ運動させてもらうことにする。


 一先ず......



「この腕は誰の腕かな?」


「んぁ?ぁああああ。わ…わしの腕がぁ!!」


 僕は呪術師の目で追えない刹那の時間で腕を切り落としてみせた。



「何だ……何なのだお前は」



 どういうことだ?これほどの実力を隠していたのか?

これだけの力があれば、私ごとき、いつでも倒せたはず。


 こいつ……仲間が瀕死になったのに、その実力で助けることもできたはずなのに、あえて助けなかったというのか!?


 呪術師の思考は混乱していた。



「血も涙もない怪物が!確かに不可解だった!!お前は飛沫を全身に浴びたにも関わらず無傷だった!」


「ちなみにさっき両腕に負った傷は自分でつけた傷さ。見られたら困るからね。」



 僕は特殊な生前の事情から、あらゆる毒や呪いに対して高い耐性を持っている。


 もしエリーがならば、あの結界内でも平然と暮らせただろう。

そんなことを思うと、今回の任務に彼女が来ていないことが悔やまれてならない。



「そもそもあの呪い毒ほぼ効かないんだよ。」


「何のためにそんな真似を……」



 エリーからは「用心深さが病気」とよく言われるけれど、あいつも同じように色々隠しているから、お互い様だろう。


 そんな雑念を頭の片隅に置きながら、僕は視界の限りに万を超える小型魔法陣を展開した。


 その瞬間、空間が圧倒的な魔力で満たされ、まるで星空に無数の星々が輝いているかのような光景が広がった。



「楽しもう。どうせ死ぬんだからね。」


「ふざけるな!!ワシにはまだやりたい事が……!?」



 天空、地上、地表......視界に入る全ての空間に魔法陣が展開された。

呪術師を取り囲むように配置された魔法陣の数は一万以上。


それは呪術師にとって......




......『絶対不可避』の絶望であった......




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ