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輝冠摂理の神生譚 ~どうやら天才らしいので、嫁と神々の王を目指す!~  作者: G.なぎさ
第二章 天上神界を覆う不穏編
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8話ー① 呪いの制約と不利条件  『魔性の結界呪術師』




 結界に突入した僕らは、内側の未知なる世界を慎重に調査しながら、植物のサンプルを収集していた。


 また、録画魔術を駆使して周囲の様子を常に記録し続けていた。

 緊張感が漂う中、僕たちは細心の注意を払いながら、異変の兆候を探し出そうとしていた。


 背後の音一つ一つに耳を傾け、視界に入るすべてのものを見逃さないようにする。結界内の空気はどこか重く、普通ではない感覚が肌に染み込む。



「動物が居ねぇな。だがこういう区域では珍しかねぇ。呪術師なんてほんとにいんのか?」


エルガブリが周囲を見渡しながら、気楽な口調で言った。



「油断は禁物だよ。この結界の主は、既に僕らの侵入に気付いているはずだから。」僕は警戒を怠らないように注意を促した。


「それにしても不気味だな。気付いていながら何も仕掛けてこないなんて……」ルシアが不安げに呟いた。その声が静寂の中で妙に響く。



 突入から既に五分が経過した。にも関わらず、敵の動きが一切見られない。

これは明らかに異常で不気味だ。


 こちらは隠蔽魔術もかけていない。

その場は重苦しい沈黙に包まれ、風の音すら感じられない。周囲には奇妙な静寂が広がっていた。


 木々の囁きも鳥の鳴き声もなく、まるで時間が止まったかのような異様な雰囲気だ。


 僕とルシアは目を合わせ、緊張感を共有した。

敵の反応が全くないことが、逆に不安を煽っているのだ。


「なるほど......呪術的な制約......または不利条件か。」


「私もそう思う。私達を長時間結界内で野放しにする事で、何かのリターンを得ている可能性が高いわ。」


 サンプルの回収も地質調査、結界の解析など、調査は大体終了した。

結界の特性上、入る時と違い出る時は相当な力が必要となる。


 それにこのまま結界を放置すれば、状況が悪化する可能性もある。

状況を踏まえた上で次に取るべき最善の行動は......



「これから呪術師の元に急行する。ルシアは高位の探知魔法で敵の居場所を突き止めて。」


「魔法ね。分かったわ。」


 続けて僕はガリブとベレスにも指示を出す。



「ガリブ、ベレス、君たちは予定通り前衛を頼む。進行方向に現れる敵はすべて排除してくれ。万が一別の方向から敵が攻撃を仕掛けてきた時は、僕とルシアで捕獲する。」


「おうよ!」


「前の敵は任しときな!」



 僕はあえて魔法を使うよう指示した。

魔術と魔法にはそれぞれのメリットとデメリットがある。


 魔術のメリットは、誰でも鍛錬次第で同じものを習得できることと、同じ効果を持つ魔法より少しだけ燃費が良いことだ。


 しかし、魔術には強大なデメリットがある。

 発動には数式や魔法陣、順序立てた工程を必要とするため、再現性が高い一方で、妨害や破壊、書き換えが魔法より容易なのだ。


 反対に魔法は、イメージを基にしたもので、同じような魔法でも個人によって形状や効果が異なる場合も多くある。


 イメージを魔力によって現実にしているだけだ。

予め準備でもしていない限り、魔法の妨害はほとんど不可能に近い。


 そして呪術師は式の書き換えや妨害に関しては、魔術師以上の技術を持っている事が経験上多い。


 そもそも対人戦で魔術を使うメリットは薄い。

これらの理由から、この状況では圧倒的に魔法を使う方が有利だ。



「見つけたわ。テルモパレス森林の中心部。現在地から北緯38度、距離211kmの場所よ!探知で見た地図と経路を脳に転送するわ!」


「全員、全速力で向かうぞ!」



 僕らはルシアが示した方向に向かって全速力で駆け出した。木々の間を駆け抜ける風圧が、緊張感を一層際立たせる。



「おいおいルーク!いきなり化け物の気配がしてきたぜ!数は600弱だ!」



ビンゴ!やはり不利条件だ......



「全員戦闘準備。迎撃する......」



森の木々をなぎ倒しながら、妖魔はすぐそこまで迫っていた。




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