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65話ー② 希望も届かぬ深淵へ......





 ――暗黒が晴れると、僕たちは荘厳な装飾が施されている小部屋に着いた。



「ここは……何だ?」


「ルーク……?何か変だと思わない?」


「キヒ……キヒヒ……魔力練れないぃぃ。」


「……これは魔力封じの類とも違うな。一体なんだ?」



 壁を覆う装飾はまるで生きているかのように陰影を変え、不気味に光を反射している。

 重厚でありながら異様な滑らかさを持つその素材は、触れる勇気さえ奪うほどだった。

 その全てが洗練されており、ここを創った何者かの存在感が、空気の隅々にまで染み渡っているのが分かる。


 ――すると、壁際に立て掛けられていた無骨な鎧が突然音を立てて動き出した。何故だか全員警戒態勢を取らない。



「行くぞ。」


「はい……」



 僕たちは鎧に導かれるまま、淡い光を放つ奇妙な明かりが照らす廊下を進む

 その光源は蝋燭でもランタンでもない。光は安定せず、どこか生き物の鼓動を思わせる揺らぎがあった。


 歩みを進めるごとに、廊下は次第に豪奢さを増していく。

 初めは平坦だった壁も、やがて繊細な彫刻や象徴的なルーン文字で埋め尽くされていった。

 至る所に見知らぬ土地の地図や、存在を疑いたくなるような剣や装置が飾られている。



「ルーク……これって神界の文明レベルより高い技術よね?」


「ああ……真都フェリリィ以上だ。いや、ここまで来ると技術と呼ぶべきかさえ分からない。」


「キヒ……あたちの好奇心、削ぐような強力なマインドコントロールもかかってるぅぅぅ。」


「……姫には効いてないようにも見えるけどな~?」



 四代目は沈黙を保ちながら鎧の後ろをついていく。その様子からは、これが初めての訪問である可能性が伺えた。

 もしそうならば、三代目が築いた権威とは大きく異なる状況にあるのだろう。


 ――遂に、道の終端に到達した僕たちの目の前に、小さな扉が現れた。



「もしや、この扉の向こうに……父上が……」


「父上?」


「お父様だったのですか!?」


「いんや~?ゼレスはあいつの血縁者じゃないよん。」



 突然、後ろにいたエテルノが口を開いた。



「だってゼレスは元々……孤児だもんね?」


「な!?それはどういう……」


「四代目にそんな過去があるなんて……驚きだわ。」



 すると四代目はそれを遮るように話し出す。



「やめましょう……今はいいではありませんか。とにかく、この扉、開きます。」



 四代目は話を遮るように言葉を発し、重厚な扉を押し開けた。



 扉を開けた瞬間......エテルノ以外の全員が驚愕で声を漏らした。


 ――扉の先には、想像を超える光景が広がっていた。

 それは通路ではなく、暗黒の淵に迫り出した狭い橋だった。

 その先には地面がなく、上下左右どこを見渡しても暗黒しか見えない。


 遥かなる深淵の暗黒が、大きな口を開けて僕たちを出迎えている。



「ま、まさかここに飛び込めっていうのかしら!?」


「……そうみたいだ。どうやらこの建造物以外、何も存在しないようだね。」


「クシシ……紐なしバンジー確定だぁぁね?帰れるのぉぉ?」


「全神王である私も、流石に少し恐怖を感じるな。」



 しかし、僕らを案内した鎧は何事もないように進んでいく。

 不安を抱きつつも、僕たちは橋の終端へと向かう。



「ルーク……何のため根源共鳴に応じてくれない?」


「やっぱりそうか……僕もさっきから試してる。でも、できないんだ。」


「え?それって……」


「ここでは、根源共鳴すら封じられている。」



 根源の力も、根源共有も完全に遮断されている。

 魔力がダメならと思い、光子エーテルを試みたが、扱える量は通常の100分の1未満......限界まで制限されている。


 ――そして、迷いながらも遂に橋の終わりに辿り着いてしまった。



「……どうする?これ行くの?」


「め、珍しいね……ル、ルークが怖気ずいちゃうなんて。」


「君こそ、お姉さん口調外れてるけど?」


「……」



 流石の僕でもこれは恐怖を感じる。

 根源の繋がりが絶たれた状態で飛び込んだら、何が起こるか全く見当もつかない。


 その時、四代目が静かに口を開いた。



「私は行くぞ。」



 四代目はそう言い放ち深淵へと飛び降りた。

 彼女の姿は、飛び降りてからたったの数メートルで、見えなくなってしまった。



「......ルシア、離れないで。」


「......離さないもん。」



 僕らは互いを強く抱きしめて、覚悟を決める。

 腕の中で小刻みに震えているルシアから、根源の繋がりを断たれた恐怖が伝わってくる。



「うちらは留守番してるよ~。何かあったら死ぬ気で助け行く。」


「うへぇぇぇ!?行きたいぃぃ」


「ダ~メ。姫とうちは留守番っ子。」


「ガルルルル......」


「分かった。頼りにしてるよ。何かあったら頼む......」



 僕は残る二人にそう言い放ち......

 小刻みに震えるルシアを、より一層強く抱きしめて深淵へとその身を投じた。





 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 ここまで読んでくださりありがとうございます!


 辿り着いた城はまるで魔神の城??

 しかしそこには真都フェリリィでも再現不可能な技術が??


 そしてルークたちはどこに辿り着くのか!? 


 もし面白い、続きが気になる!と思った方は

 【応援】や【レビュー】をしてくれると超嬉しいです!!



 【【お知らせ】】中盤執筆の為、しばし毎日投稿じゃなくなります。


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