表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/244

第1話 晴天の下に始まる平穏

 超高度な文明が栄える天上神界......

そこは全ての生命が集まる宇宙最大の文明であり、その平和は強大な力を持つ神族たちによって長く守られてきた。


 しかし、太古から天上神界と脅かしてきた【絶対純悪ヴァラル】が、封印の弱体化により再び動き始める。

ヴァラルは世界を蝕む恐るべき存在であり、その脅威が再び天上神界に迫っている。


 本作の主人公である若き神族のルークは神界の頂点、5代目全神王を目指し、神々の頂点を夢見ていた。

 しかし、運命に翻弄され、ヴァラルとの戦いに身を投じる事となる。

彼らは天上神界の平和を守り、箱庭の真理を解き明かすことができるのか?


絶望と希望が交錯する中、ルークたちは世界の未来を賭けた壮大な戦いに挑む。

真理を追い求め、絶対的な巨悪に立ち向かう壮大な冒険譚!!


『主な登場人物』


【ルーク・ゼレトルス】


 本作の主人公で、天上神界の5代目全神王を目指す若き神族。真理を追い求める底のない探究心と好奇心を持つ。


 基本的にマイペースで穏やかな性格だが、オンオフのスイッチがはっきりしており、スイッチが入ると驚異的な力を発揮する。


 剣術、魔法、魔術、槍術、投擲、弓術など多彩な戦闘手段を会得している万能型のオールラウンダーであり、様々な状況に柔軟に対応する応用力と安定感を持つ。


 天上神界の歴史でもずば抜けた才能を持ち、周囲からも大いに期待されている。頭脳明晰で慎重だが、強すぎる好奇心に度々足を掬われることも。





【ルシア・ゼレトルス】

 

 主人公ルークの嫁であり、戦闘の相方。一見して凛とした性格に見えるが、それは全神王を目指すルークの評価のためであり、根は素直な少女。


 ルークと同じく万能型のオールラウンダーであり、戦闘では第2の司令塔として戦いを勝利に導く。

心理戦が得意で、類まれな才能を持つが、経験と場数の違いでルークに差を付けられることも......


 システムのハッキングやプログラムなど、一定の法則がある事柄に対してはルーク以上の知能を発揮する。インドア派であり、静かに過ごすことを好む。





【エリー・ゼレトルス】


 ルークの妹で、一言一言を区切って話す独特の癖がある。

無気力無表情で感情を表に出すのが苦手だが、ルークとルシアを兄、姉として慕い、心を開いている。


 主人公ルークと同じ実験施設で育ちで、天上神界でも屈指の肉体再生力と毒物への耐性を持つ。

オールラウンダーだが、本人は近接戦闘を好むため、戦闘では先行しがちで度々主人公に注意される。


 極度のめんどくさがりだが、不思議なほど富を築く才能に恵まれている。



【ガリブ・エルナード】(通称エルガリブ)


 ルークの親友にして冒険仲間。冒険者を副業とするルークやルシアとは異なり、冒険者一筋で生きる熱血漢。


 天上神界では珍しい前衛特化の戦闘スタイルで、大剣を振り回す姿は純度100%の脳筋である。

細かな作戦立案や知略は得意ではないが、経験と場数に基づく戦闘時の駆け引きや状況判断能力は極めて高い。


暑苦しい性格のため、度々仲間から引かれることも?





【ベレス・エルナード】(通称エルベレス)


 ガリブの妻にして、夫とタッグを組んで戦いに身を投じる熱血女。

明るく大雑把な性格で、場を盛り立てる存在。


 ギャルのような独特のネーミングセンスを持ち、親しみやすいのが敬語が苦手なので、ガリブと共に各地で失礼を働くことも多い。


 ガリブと同じく前衛特化で、巨大な神斧を片手でも振り回すその姿から「脳筋夫婦の女の方」と呼ばれている。



 自宅の庭に寝転びながら美しく晴れた空を見上げている。

何の変哲もない、穏やかな一日の始まり。


平和そのものを象徴するような静けさの中で、僕はお気に入りの木の木陰で読書にふける。



「今日は1日、ゆったりと過ごそう......」



 そう思っていると、



「ルーク。昼食を食べましょう?」



 声の方に目を向けると、薄紫色の長髪をなびかせる部屋着姿の美少女が立っている。

 彼女はルシア、僕の嫁だ。どうやら彼女は昼食を用意を終えて、僕を呼びに来たようだ。



「りょーかい。ここで食べない?」


「最近この小屋を使っていなかったものね。なら机と椅子を持ってくるわ。」


「ありがと。」



 広大な草原に建つこの小屋は本邸から約1キロ近く離れており、以前住んでいた家でもある。


 今住んでいる場所との間に遮蔽物がないため、草原の向こうに本邸がぽつんと見える。

 ルシアに昼食を持ってこさせるのは少し気が引けるが、こんな爽やかな日には動きたくない。


 彼女が持ってくる間、再び空を眺めて――



「お待ちどうさま。」



 彼女は驚くほど早く戻ってきた。僕らは1キロ程度なら刹那の間に移動できる。

余韻を楽しむ時間もなかなか取れないが、それは僕ら神族が強大な力を持つ証拠でもある。


 ルシアは収納魔法から熱々のシチューを取り出し、小屋の外に設置した小さなテーブルに並べ始めた。



「相変わらず凄まじい魔力操作技術だね。収納空間内で液体を溢さないようにするなんて。」


「戦闘中は無理。集中できる時だけよ?それと......あなたに教わったんだけど......」



 そうだ僕が彼女に教えたのだった。

液体を皿ごと収納魔法に包含するなんて、我ながらくだらない技術を磨いたものだ。


 普通に容器に詰めればいいだけの話なのだから......



「感謝してね、このルーク様に。」


「はいはい……早く食べましょう。魔力がもったいないわ。」



 僕らは昼食を食べ始めた。


机に並ぶのはビーフシチュー、固めのパン、生野菜のサラダという昼食らしからぬ組み合わせだ。


 何も考えずにあり合わせでテキトーに食事を作ったのだろう。



「ルークは今日休み?」


「そう。久々のオフだよ!本でも読んで過ごすつもり。君は?」


「これから仕事なのよ......とある銀河の太陽系にある地球っていう惑星を視察するの。」



 ルシアは惑星の監視し、惑星文明のバランスを調整する仕事をしている。

今日は新しく担当する惑星の視察を行うらしい。



「あれ管轄が変わったの?地球ってどんな惑星?」


「カルダシェフスケールで1以下の文明よ。危険はないから安心して。」



 カルダシェフスケールは文明の発達レベルを表す指標だ。1以下でも相当発展している。

 文明がない惑星も多い中、文明が存在するというだけでそれは注目に値する。



「あそこ僕の記憶ではトカゲみたいな生き物が這いずりまわってたような……」


「ルーク?それいつの話よ......」



 僕らは神族と呼ばれているが、厳密にはそう呼ばれているだけで神ではない。

詳しい話はいいとして......僕らの寿命はほぼ無限に等しい。


 僕は現在5億歳なのだが、同族の中では若い部類に入る。

天上神界のお偉いさんの中には、幾つもの宇宙の誕生に立ち会った神もいるくらいだ。


 そんな他愛もない話をしながら、昼食を終え僕達は2人で読書をしている。


 隣で読書をしているのではなく、僕の体を背もたれにし腕の中で同じ本を読んでいる。

いわば座りバックハグだ。



「これはどういう意味なの?」


「これはね。僕の解釈だとーー」



 お互い読むペースがほとんど同じなので、こうして読みながら話し合いができる。


 しかしルシアは本の内容にはさほど興味がないようだ。

彼女はシャイなので、ハグの口実にしているだけなのだろう。



「な......なによ。」


「ん~?別に?共有感覚で何となく分かってるんじゃないの?」


「ぁぅ......」


「素直に言えばいいの。」



 顔を真っ赤にしながら、必死に本を読んでいるフリをしている嫁は何とも愛らしい。

 そうして瞬く間に時間が過ぎていき、遂にルシアが出発する時間になってしまった。



「そろそろ時間ね。行ってくるわ。」


「どうやって行くの?銀河間移動用の魔導船?」



 ルシアはニコッと笑って言い放った。



「飛んでいくわ。」


「え?と、飛ぶ??長距離転移魔術とか魔道具とか?」


「飛行魔術で行くの。長距離転移は景色を楽しめないから。」



 確かにルシアなら可能だろう。彼女は神族の中でも特に魔力が多いから。



「じ、じゃあ、気をつけてね。」



 僕がそう言うとルシアの体を淡い光が包み込んだ。

そして彼女の服は右肩だけを覆うマントのついた紫色の衣服に変化する。


 こんな事を考えるのは悪いが......

今の服を着たまま、宇宙空間を爆速飛行する嫁の姿は想像するだけでシュールだ。



「じゃあ、行ってくるね。夕食は外で何か食べておいて。」


「いってらっしゃい。」



 ルシアは小屋から少し離れた場所に移動し超高速で飛んで行った。


 衝撃波は軽減されているものの、僕の髪型を乱すほどの突風が吹き荒れた。

小屋は念の為、結界魔術で保護しておいた。



「……さて、本を読もう。」



 本は良いものだ。僕は生前から知識欲が強く、新しいものを知るために本を読むのが好きだ。

もちろん経験や冒険も大好きだから、未知で溢れているこの世界は探究心を大いにくすぐられる。


 近づくことさえ禁止された宇宙に浮かぶ巨大な門。


 別次元に隔離された未開の世界。


 現代でも再現不可能な特殊技術。


 果てにいるとされる異次元の存在。


 実在さえ確認されていない、この天上神界を建界した初代全神王。


 そうした未知が僕の知識欲を刺激する。

いつかこの目で見たい、知りたい!そう思えてくる。


 そうして本を読んでいるうちに3時間近く経過した。

1日は53時間。残り25時間を有効に活用しなければ。



「平和だ……空も綺麗だな。明日も休みだから夕食は抜きだな。どうせ僕らは食べなくても死なないんだし。」



 そんな独り言を呟いていた時、僕と全く同じ色の深緑の長髪をたなびかせるロリが近づいてきた。



「おにぃ、招集。」



 僕は予感した。平和な休日の終わりを......



どうもこんにちわ!G.なぎさです。

この度は第一話を読んでいただきありがとうございます!


プロローグとの雰囲気の違いに驚いた方もいるかと思いますが、ここから物語がスタートです!!


次回は早速、魔物との戦闘です!!ぜひご覧ください!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ