表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
輝冠摂理の神生譚 ~どうやら天才らしいので、嫁と神々の王を目指す!~  作者: G.なぎさ
第二章 天上神界を覆う不穏編
129/244

33話ー④ 本物の現実

 




「私......あなたの隣にいる資格なんてないかもしれない。」



 ルシアは罪悪感を貼り付けたような顔で、僕にそう告げた。

 苦しそうな悲しそうな……そして悔しそうな何とも言えない表情だ。



「私……あの時のルークの姿見て後悔したの。分かってるつもりで何も理解できてなかった……どこか物語みたいな都合のいい死を想像してたの……現実の死はあんなに惨めで汚くて、凄惨で……」


「まぁ......あれは割と酷い方だと思うよ?二人で同じ場所にいれただけでも、運はいいかもだけどね。」



 実際、拷問されて死ぬケースばかりではない。

 いきなりあんな凄惨な終わりをイメージしろ!というのも無理な話だ。



「ルークは……あんなのも想定した上で覚悟してたんでしょ……あなたはパニックにもならずひたすら冷静に足掻いてた。折れずに諦めずに。」


「ぶっちゃけもっと凄惨なのも想像してたよ お!このくらいで済んだ?ラッキー!って少し思ってた事は否定しない。でもさ、冷静でいるべきなのかな?あの場面って」


「え?」



 ルシアは予想と違う答えが帰ってきたようで驚いている。



「それこそ物語じゃない?追い詰められた時に冷静でいた方がいいなんて。君がパニクって剣をぶっ刺したから生き残れたんだよ?」


「でも……」


「冷静に判断した事で死ぬ事もあるし、パニクって生き残る事もよくあるからね?どっちが良いなんて話は無意味なんだよ。」


「じゃーどうしたらいいの?私は!もうあんな事いや!過去に戻っても同じ選択を選べない!あなたの本物の覚悟に……泥を塗ったのよ!!こんな私薄っぺらい私にルークの隣に立つ資格なんて……あるのかしら?」



 ルシアが声を荒らげるのは珍しい事だった。こっちが少し気圧される程に、この3ヶ月ルシアは悩んだのだろう。



「後悔して何が悪い?君は薄っぺらくなんてないよ。覚悟に本物も偽物もないよ。その時が来て揺らぐか揺らがないか。今回揺らいだって事は、それだけ僕の事を大切にしている証拠なんだよ。」


「それでも私は……後悔してしまう弱い自分を許せない……」


「後悔する事はあるよ。必要なのは後悔する選択を選ぶ決意だよ。」


「後悔する選択を取る……決意?」



 僕だってきっとこの先後悔する事はある。

 でも生きてる限り後悔さえ背負って前に進まなきゃいけない。


 それが生命体に与えられた唯一の選択肢。

 立ち止まって死ぬか。進んで生きるか。


 死んだように生きるか。活き活きと死ぬか。



「だからルシア。恐怖を恐れないで。自分に素直になるんだよ。その、気持ちは後ろめるべきものじゃない。」


「ルーク……私……」



 僕はルシアを引き寄せて抱きしめた。

 その体はガタガタと恐怖に震えている。



「怖かったの……ルークがグチャグチャにされるのを見て……嫌だったの苦しかったの……耐えられなかったの!もう嫌だよぉ自分がああなるのもルークがああされるのも怖いの……もっと、もっと強いと思ってたのに震えが止まらないの!」


「震えは止めなくていいんだよ。怖がっていいんだよ。それが無いと何も始まらないから。絶対その気持ちは邪険にしちゃダメだよ。」



 強烈な感情を克服するのは極めて難しい。

 もちろん出来るに越したことはないが、ほとんどの場合向き合って苦悩しながら進むしかない。


 たまに克服したり、全て背負って進み続ける、イカれた強さのメンタルを持った猛者もいたりするが……



「ルーク……どうやったらあなたみたいに強くなれるの?あなたみたいに決意できるの?恐怖に打ち勝てるの?」


「ルシアは僕にはなれないよ。」


「え?」


「なる必要もないし、なるべきでもない。恐怖との向き合い方。決意の仕方は人それぞれ。だからルシアだけの方法を探そうね?」


「うぅ……ぅぅぅぅ」



 ルシアは数時間泣き続けた。

 単に今回の件が怖いというだけではないだろう。


 僕が3ヶ月意識が戻らなかったことに対する不安や、自責の念のようなもので感情が爆発してしまったのだ。

 僕は不安定なルシアを寝かしつけ自分も寝ることにしたのだった。



 でも……あとから考えればこれはまだ始まりに過ぎなかった。




 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 33話ー④(最終)をここまで読んでくださりありがとうございます!


 ルシアの絶望とルークの精神力。

 そして土壇場での2人の本質が出た第33話。

 最初に任務を受けるか迷っていたのは、ルークだったにも関わらず、いざ蓋を開けみれば想定が甘かったのはルシアの方でした。


 もし面白い、続きが気になる!と思った方は【応援】や【レビュー】をしてくれると.....超嬉しいです!!


 何かあればお気軽にコメントを!


 今後と2人の関係と更なる大きな運命とは??


 更新は明日の『『22時過ぎ』』です!

 明日も更新できるか分かりません可能な限り更新します!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ