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輝冠摂理の神生譚 ~どうやら天才らしいので、嫁と神々の王を目指す!~  作者: G.なぎさ
第二章 天上神界を覆う不穏編
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32話ー③ 世界の現実





「ル……ルーク?」



 意識が戻った私が目にしたのは凄惨な光景だった。


 そこら中に散らばる肉片と骨片。

 私の隣に打ち付けられている肉塊は、紛れもない私の最愛の人なのだ。



「ルーク!!こんな……私が不甲斐ないせいで……」



 私は恐怖も忘れて、彼をこうしたであろう元凶を睨みつけた。



「安心しろ殺してもない、意識もある。お前が犯される所を見せなくてはならないからな。最も、目はもう見えないがな?」


「酷い……なんて酷い事を……」


「後悔しているのか?ハッ!男の方と違い生温い覚悟だな。」


「ッ……」



 覚悟していた。いや覚悟しているつもりだった。

 ルークも私も、互いを失う事は想像していた。


 しかし私が想像していたのはもっと......もっと綺麗な死だったのだ。

 物語のような......最後の言葉を都合よく聞くことのできる死。納得できる死。


 私は後悔してしまったのだ。変わり果てたルークの姿を見て。

 悔やんでしまったのだ。ルークを後押しした自分を……



「お前は壊しがいも犯しがいもありそうだ。そっちの男は悲鳴1つあげなければ、砕けることもなく興が冷めていたところだ。」


「許さない……絶対に許さない。」



 拷問をされている本人は後悔していないのだ。

 つくづくルークと私との覚悟の違いを思い知らされる。


 私は口では許さないと言っているが......

 心はもう、ほとんどバラバラに砕け散ってしまっている。



「さぁ。まずその魔力の鎧を剥いでやろう。」


「屈しない……絶対に……」


「そういう女が1番屈服させがいがあるのだ。諦めろお前らは死ぬ。」


「いや.....こんなの......嫌だ。」



 その時だった。

 根源共鳴の感覚共有で、ルークから声が届いた。



「ナイス位置取りだルシア!そのまま膝をついて、絶望するふりだ。頭を下げて。」



 私が膝を曲げた瞬間。

 ルークの頭上に突如小さな針のようなもの輝いていた。


 そしてそれは信じられない速さで、男を襲う。



「ぐぁっ!?き……貴様らぁ!!」



 その瞬く光針は、男の肩元を貫通した。

 本当は心臓の核を狙ったのだろうが、咄嗟に躱されたのだ。


 攻撃の終了と共に、私達の根源共鳴は解けた。

 つまりこれは、根源共鳴の全エネルギーを圧縮した「一点攻撃」だったのだ。


 にも関わらず男を仕留めるまでに至らなかった。更に言えば傷口が塞がり始めている。

 再生阻害は敵の魔力密度が高すぎるため、効果が薄い。


 私は咄嗟にこの間、購入した剣を抜いた。



「させない!」



 はっきり言えばパニックだ。致命傷を与えられる訳じゃないだろう。


 ルークがつけた傷口を塞がせてたまる!!

 そんなよく分からない思考原理で、私は刃を突き立てたのだ。



「そんなもので傷がつく訳が……!?」


「うぁぁぁぁぁ!!」


「ぐぉぁぁぁぁ。バ、バカな!!!」


「さ……刺さった?」



 傷が付くどころか......その剣は男の肩を難なく貫通した。

 底力などではない、剣の圧倒的な性能だ。


 手から伝わる、まるで紙を破るような軽い感触。

 ここまでの剣であれば、ここから心臓部にある核まで斬れるかもしれない。


 私の頭に消えていた【【ルークを助けられる】】という希望が再び浮かび上がってきた。



「はぁぁぁぁぁぁ!!」


「バカが......闇の波動」



 しかし、その希望は叶わなかった。


 一撃。たったの一撃......

 私は飛ばされルークの隣に叩きつけられた。


 後ろの木......硬すぎる。

 恐らく敵が魔力で強度を上げている。ルークの拷問の為だけに......


 ルークほどではないが......私も内蔵が外から見えている。

 身体中の骨が粉々に砕け、筋肉が断裂しているのだ。物理的に力を入れる事ができない。



「もういい。犯さずに殺す。2人まとめて死ぬがいい。」


「……」



 あぁ。これが現実……ルークは既に意識が失われている。

 核が損傷した状態であんな攻撃を放ったのだ。


 結局2人で力を捻り出しても差は埋まらなかった。

 一矢報いただけで何になるというのだろう。


 向こうがその気なら2人ともすぐに殺せた。


 結局この世界は理不尽。



 ……誰の助けも来ない……






どうもこんにちわ。G.なぎさです!

32話ー➂をここまで読んでくださりありがとうございます!


人の心の底は自分自身でも測りきれないものです。

2人の決意の違い。蓋を開けてしまえば、土壇場で冷静なのはルークだったようです。


 もし面白い、続きが気になる!と思った方は【応援】や【レビュー】をしてくれると.....超嬉しいです!!


 何かあればお気軽にコメントを!


 次回、2人の運命は?

 更新は明日の『『22時過ぎ』』です!


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