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輝冠摂理の神生譚 ~どうやら天才らしいので、嫁と神々の王を目指す!~  作者: G.なぎさ
第二章 天上神界を覆う不穏編
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29話ー➂ 超神速抜刀術『神雷』

 




「なるほど......確かに大した腕前。しかし私を仕留めるのにはまだ足りない。」


「凌いじゃったかぁ……ただ無傷とはいかなかったようだね。」



 鳴神聖は「身体強化なし」の剣撃だけで、これらを全て凌ぎきったのだ。


 だが無傷とはいかなかったようで、口元に血を拭った後がある。

 しかし内傷に関しては、どの程度の傷を負ったのかは悟らせて貰えない。



「当然相手を油断させるブラフの可能性もある。」


「まずその首を切り落とします。雷神線!!」


「出来るものなら!動体視力超強化!!」



 鳴神聖は雷の魔力を纏い、一直線に飛び込んで刀を振り抜く。

 あまりの速度に残像が見える。近接戦闘だけで戦えば、一瞬で勝敗は決してしまうだろう。


 しかしオールラウンダーの僕には、そんなものに付き合う必要などない!



「動体視力を強化したところで......」


「残念!僕は天才なんだ!!見えさえすれば、感覚である程度対応できる!!」



 剣での撃ち合いをしている最中も、常に魔法での追加攻撃を仕掛ける。

 距離が取れれば『原初神の破壊槍』や『龍神王の咆哮』などといった神術で畳み掛ける。


 相手が慣れてくれば、あえてこちらから仕掛ける。

 それら全てと同時並行で魔力封じをしたり、毒や弱体化などのデバフで足止めをかける。


 防御神術の展開が間に合わなければ転移魔法で逃げ......

 それでも躱しきれなければ、直接剣で攻防をする。



「くっ.....中々攻め切れない!?」


「手数の多さには自信があってね。」



 僕やルシアは消耗を気にせず、転移魔法や神術を無駄打ちできる。

 しかし鳴神聖にはそれが不可能だ。


 とは言っても......最上位神序列4位まで上り詰める実力者だ。

 長期戦に持ち込めば勝てる!というほど現実は甘くはない。


 しかし長く戦えば、こちらが有利になるのは間違いない。



「斬り払え!雷煌千撃!!」



 鳴神聖は魔力で数百メートルに伸ばした刀身を、超高速で振り抜く。

 驚くことに、弾幕魔法や罠などを纏めて斬り払ってしまった。


 下方も含め全方位を斬り払ってもなお、こちらの手数が僅かに上回る。

 鳴神剣聖に、次の攻撃が直ぐに降り注ぐのだ。



「あなたの戦法は、魔力を使った身体強化と刀での剣撃に起因する。さらにここは空中!魔法で足場を作って空中を移動するあなたにとって、激しい移動をすればするほど......魔力を大きく消費する!」


「......」



 空中戦において、空中を移動するには主に2つのやり方がある。


 1つは飛行魔法で飛び回る方法。


 そしてもう1つは、足を出す場所に、魔法陣で足場を作り空中を走って移動する方法。


 飛行魔法は移動速度が上昇しても、消費魔力はそれほど増加しない。

 しかし足場を作る場合、足の回転速度が上がれば、その分多くの足場を作らなくてはならない。


 本来気にするほどの消費量ではない。

 しかし最上位神の中でも、魔力量の少ない鳴神聖にとっては死活問題なのだ。



「足場の魔法を節約し始めたな!踏み込みの精度がさっきより甘い。捌きやすくなってきた!」


「……ここで魔力量の差が出ますか。つくづく才能の差は恐ろしい。」



 魔力量は鍛錬で上げることができる。しかしそれは激的にではない。

 平均して100年で10%前後だ。元々の魔力量が多い者も、多少なりとも鍛錬する。


 そのため生まれつき魔力の少ない者が、追いつくのは難しいだろう。

 僕は戦いながら鳴神聖を煽った。実の所、長引けば国民からの印象が悪いからだ。



「僕は生まれた時点で、今のあなたの1000倍近く魔力量を持っていた。この差は埋まらない。」


「それでもこのまま戦えばあなたは私が勝つ。それは分かってるはず。だからそうやって煽るのでしょ?」



 鳴神聖の言い分は概ね正しい。

 このまま戦い続ければ、粘り勝ちされるだろう。


 まだ切り札や、一発逆転の手段を向こうも持っている。

 そして圧倒的な戦闘経験から、その使い所をまず見誤らないだろう。


 つまり僕の集中力が切れ、一瞬でも隙を見せれば......すぐにひっくり返される。

 そして僕はまだ、鳴神聖の隙を見抜けるほどの観察眼は無い。


 このままではマズイ……

 戦闘経験の差は命の奪い合いにおいて、時に生まれ持った素質より重要だ。



「でも分かった。長期戦には持ち込まない。手段を選ばない父の教えではあるけれど......夫の流儀には反する。この戦いは今も見ている夫に捧げる!全力の真っ向勝負で.....叩き潰すわ!!!」


「なら正面から打ち破って僕は......最上位神になる!」



 そう言って鳴神聖は刀を納刀した。

 正確には納刀させることを許してしまったのだ。



「納刀。帯電。領域発動。」


「......」


「超神速抜刀術【神雷】」


「なるほど……それがかの有名な……」



 超神速の抜刀術『神雷』

 それは彼女を、最上位神序列4位にしている所以でもある......


 発動させれば視認さえ不可能と言われる、最上位神最速の一撃......



 第二策の準備ができていない現状でこれは......絶体絶命のピンチだった。




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