――第29話ー① 『鳴神剣聖』――
僕は転移ゲートを潜った。
するとそこに立っていたのは、ほとんど最悪の想定に近い相手。
フィールドはルシアの時とは違い、100m級の木々がそびえ立つ森林だった。
「初めまして。」
「どうも、初めまして。」
薄い黄土色の長髪を1本の三つ編みに纏め、雷の意匠が施された唯一無二の神刀を握る。
大森林の中、美しい和風の着物に身を包んだその女神は.....
『最上位神序列4位:鳴神剣聖 雷華』
「御託はいい。始めてしましょう。ルーク、さん?」
「僕もそのつもりだ。始めようか。」
内心始めたくないし......何なら今すぐ帰りたい。
もうこれは最悪の場合、どう勝つかではなく......
「どう負けるか?」という思考も、必要になってくるかもしれない。
そう思った瞬間......僕は視認するよりも早く『本能』で屈んだ。
「今のを避けますか。その実力......もう最上位神になりたてとは到底言えない。弓女神なら今ので死んでるもの。」
「だったらどうするんだ?」
切られているはずなのだが、後ろの木々は倒れない。
彼女の切断の技術が高いのか、切られても上に乗ったままでいるのだ。
「あなたが息絶えるまで切り結ぶまでの話。」
「その言葉、そのまま返すよ!」
僕は剣を構えつつ、水面下で数万を超える魔法や神術を組み上げていった。
地雷や空中に設置するもの、
時間差で自動的に発動するもの、
弾幕用、探知用から身体強化にいたるまで、あらゆる術を一度に発動できるだけ発動した。
脳処理が追い付かず、CPUを使って脳が焼ききれてしまうので、それを無理やり回復魔法で修復している。
「なるほど。地雷魔法に空中爆発魔法、今の言葉は虚実。相手が私で運が悪かったですね。」
そう言うと彼女は猛烈な電撃で身を包んだ。
そして全ての設置型魔法、魔術を掻い潜って僕との距離を詰めてきた。
「くっ!?見えないな。」
僕は彼女の動きを、完全に捉えられなかった。
視界が遮られた森林での戦闘は、明らかにこちらが不利だ。
「第45位階神術・崩星球爆!!」
やむを得えず、範囲神術で周囲を消し飛ばした。
すると舞い上がった粉塵の中から、声だけが聞こえてくる。
「仮想空間だからといい、星ごと破壊してしまうとは。何とも芸のない事。」
「そう?だけど姿が視認できないのは君も同じはず。探知魔法じゃ、反応速度にも限界が......」
そう言いかけた時......首を目掛けて、またもや超高速の魔力の雷刃が飛んできた。
咄嗟に反応が遅れた僕は、耳を切り落とされてしまった。
そして再生のために、切られた耳に僅かに意識が向いた瞬間......
......鳴神聖は僕の眼前まで迫っていた。
「終わりですね、これで。」
そうして鳴神剣聖は、僕の首目掛けて電雷を振り抜いた。
どうもこんにちわ。G.なぎさです!
ここまで28話ー①を読んでいただきありがとうございます!
迫り狂う『鳴神剣聖』、ルークの運命は如何に!?
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