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超能力は内密に  作者: 黒色の空
3/3

美少女と席の位置

「ガラガラ」

俺が開けたドアの音が教室に響き渡る。新しいやつが入ってきたという目が教室にいる人間から向けられる。とても気まずい。見たところ教室に座っている人間は俺を含め9人くらいだろうか。俺のようにそそくさとクラスの確認をしてきたのだろう。気持ちはわかる。

また、ここにいる人間の共通点は、入学できたのはいいが、学校に友人がいないということだろう。一人で入学してきて誰にも話しかけられない状態だ。まさに落ち着きがない。


まあそんなことはいい。俺の席を確認するとしよう。黒板の張り紙を見ると、どうやら一番窓側の後ろから二番目のようだ。いわゆる主人公席は違う人間なのか、少し安心した。教卓から自分の席を確認すると、周りには誰も座っていないようだ。座ってみると見事に俺は孤立した。


「まじかよ、、、」


逆に目立つから周りに誰か来てほしい。俺はほかの人間とは違う理由でソワソワしていた。いや逆に目立つからここはスマホをいじることにしよう。俺はイヤホンをつけスマホをいじり、自分の世界に入る。

こうすることで周りの目を気にしなくて済む。スマホとは素晴らしいものだ。


しばらくすると、5人のグループが教室に入ってきた。男子2人と女子3人のようで、とても騒がしい声で会話をしている。その声はイヤホン越しでも聞こえてくる。なるほどあれが「陽キャ」というものか。今日は陰キャにも会えたし、ツいてるのかもしれないな。


「俺一番前かよ!」「全然近くないんだけど!無理すぎ!」


陽キャグループは席の確認だけでも盛り上がりを見せていた。俺を除いた数分前まで座っていた8人は呆気にとられていたり、怯えている者がいたが、そんなことも気にせずに騒ぎ立てる。まああのような人種は一定数いる。べつに今更驚くようなことではないな。俺はもう一度スマホに目を移す。


「ちょっと静かにしようよ、、、」


か弱い声だったが確かに聞こえた。その瞬間陽キャたちが静まった。どうやら声を発したのはグループのうちの一人の女子生徒のようだ。身長はそこそこで、160㎝くらいだろうか。おしとやかでとても美人だ。ひと際目を引く。あのグループとは雰囲気が確実に合っていない。


「何、別にいいじゃん桜!先生もまだ来てないみたいだし!笑」


陽キャグループの一人が「桜」という先ほど発言した子に反論した。桜は少し気まずそうにしている。

空気が少し変わったのを感じた。


すると続々とほかの生徒たちが教室に入ってきた。陽キャグループも邪魔になると思ったのか、すぐにその場から離れていった。少し経ち、担任の教師が教室に入ってきた。生徒が席に着き始める。これで各々の席と名前が一致するな。確か俺の後ろの席は「品川」という人物だったような。

後ろでカタンと音がした。ちらっと後ろを見る。


「まじかよ、、、」


本日二度目。まさかの「桜」が座っていた。美人なため周りの男子生徒の目を引いている。前言撤回。

俺は今日とてつもなくツいていないのかもしれない。


「品川桜」


こいつのせいで俺の平穏が早くも壊れる音がした。



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