陰男
校門を超えげた箱に向かう。するとげた箱付近に多くの生徒が固まっているのが見えた。何をそんなに騒いでいるのかと少し気になったので、俺は歩みを早めることにした。
げた箱に着くとその騒ぎの正体がわかった。どうやらクラス分けの発表のようだ。友人と同じクラスになれて喜んでいる者もいれば、一人だけ別クラスになったのだろう、落ち込んでいる者もちらほら見られた。喜びと悲しみがはっきりと二極化しており、少し面白さも感じた。だが少し気分が悪くなってきてしまった。早くクラスを確認して、教室へ向かうことにするか。
人の間を縫いながらクラスが発表された張り紙を確認する。俺の教室は1年B組。なんとも普通。素晴らしい。しかし、どうやらほかのクラスより人数が一人多いようで、31人いるようだ。なぜかと考えていると、後ろから人が詰め寄せてきてしまった。まずいと思いその場から離脱して、さっさと教室へ向かうことにした。
息を上げながら少し歩くと静かな空間に様変わり。すこし落ち着いてきたな。しばらく歩くと教室へ向かう廊下で自販機が見えた。
「そういえば今日は何も飲んでなかったな」
今日口にしたのはバナナのみ。さすがに喉が渇いた。俺は水でも買ってから教室に向かうことにした。
お金を準備して、自販機の前に立つ。ふと「なぜ自販機の水は上の列に置かれているのだろうか」と疑問に思ってしまった。なにかルールがあるのだろうか。あとで調べてみよう。
落ちてきた水を鷲掴み、一口飲んだ。すると後ろから人の気配がした。ゆっくり振り向くと、一人の男子生徒が立っていた。身長は170㎝くらいだろうか。眼鏡をかけていて、目は前髪で隠れてよく見えない。少し猫背でうつむいている。まさに陰男。よく見ると新入生の祝いのバッジをつけている。同学年のようだ。
「あの、、、」陰男が口を開いた。「僕も飲み物買っていいですか」と俺に尋ねる。どうやら彼は飲み物を買うために並んでいたようだ。時間を奪ってしまい、申し訳なかった。
俺は「ああ、すみません」と一言発し、教室へ向かうことにした。歩きながら陰男が気になり、振り向いてみた。どうやらさっき買った飲料を飲んでいるようだ。水、、ではないな。おいしそうに飲んでいる。
「あんな顔もするんだな。」
そのあと彼も教室へ向かって歩き出した。方向的に別のクラスのようだ。彼の背中からはとても不安が見える。これから新しい環境に飛び込むのだから当然だ。かくいう俺も少し緊張している。ドアの前で深呼吸し、教室のドアに手をかける。