表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バツイチ鬼道少女と心臓外科医  作者: かぐつち・マナぱ
バツイチ鬼道少女と心臓外科医 第2章 『創世記戦争』
33/60

第1話 『新しい海の民と竜王』⑭清浄な蒼より、不浄な紅で

@<巻き戻って、場面は⑫のお姉さんとなぎのやり取りの続きになります!

なぎ<・・・(僕が奏上するところからだよ)

お姉さん<私は、よく分からず、見守るだけです!

ミコ<やっと、鬼道少女を名乗れる時が来ましたか!?

ぺち(・・・おきて・・・) 


 『・・・天と地に御働きをあらわたまう・・・』


・・・暗闇であった世界から、薄っすらと光が差し込んできます・・・それと共に何処からか聴こえてくる、鈴のような澄んだ声を私の意識が、ぼんやりと捉えていました・・・この声と感覚は、覚えがあります・・・以前、私が、クーを助けようとした時・・・いえ、つい先ほど、あったような・・・?



ぺちぺち(・・・おもい、だして・・・・・・)ずきっ!


 『・・・御祖みおやの御使いにして・・・』


・・・私の一部であったなぎに身をゆだねて、神宝かんだからの力を発揮していた時のこと・・・思い出すにつれて、私の意識と身体の感覚も少しずつ鮮明になっていき・・・痛い!?・・・右に意識を向けた時、熱い痛み感じました・・・そのおかげで、私の目に入る光が、すぐに像となって形を捉えます・・・



ぺちぺちぺち(・・・しっかり、まわり、みて・・・)ずきっ!ずきっ!


 『・・・萬物よろずものを御支配あらせたまう・・・』


・・・奏上そうじょうを邪魔する訳にはいけませんが、痛みのせいか、少しだけ自分の身体を動かせるようです・・・右を見ると、赤い色が見えました・・・どうやら、私は負傷しているようです・・・私の左には、なぎがいます・・・なぎを見た時、何故か、触りたくないよう気持ちが・・・私の後ろを見ると、お姉さんの姿がありました・・・お姉さんを見た時、何故か、胸を締め付けるような気持ちが・・・



ぺちぺちぺちぺち(・・・それ、てき、じゃない、から・・・)ずきっ!ずきっ!ずきっ!


 『王神おうじんなれば』


・・・お姉さんの周りには黒い染みのような物が浮いていました・・・見えない壁に当たって止まっている・・・前を見ると、黒い「新しい海の民」の姿があり、この奏上そうじょう中も、小さな黒い水の玉をお姉さんに放っているようでした・・・まるで、執拗しつように狙うように・・・黒い「新しい海の民」を見た時、何故か、複雑な気持ちが浮かんできたのです・・・



ぺちぺちぺちぺちぺち(・・・おもい、だして、あのこ、とらわれて、いるから・・・)ずきっ!ずきっ!ずきっ!ずきっ!


  ・・・黒い色ということは「敵」・・・・・・・・・じゃない!!!



 『一二三四五六七八九十ひふみよいむなやことの』


その奏上そうじょうの「言霊ことだま」の中、確かな「右肩の痛み」と、私の「額を叩くもの」に、今さらながら気付きました・・・すいが、私の額を叩いていました・・・元の「翡翠色の玉」で、あの「可愛らしい赤ん坊の姿」ではありません・・・奏上そうじょうを止める様に、「誰か」を思い出す様に訴えているようで・・・


よく見ると、黒い「新しい海の民」は、お姉さんに訴えるように黒い水の玉を放っている様に見えてきたのでした・・・


ぺちぺちぺちぺちぺちぺち(・・・かがみ、みせた、みらい、ちがう、ねがい、たすけて・・・)ずきっ!ずきっ!ずきっ!ずきっ!ずきっ!


 『十種とくさ御寶みたからを』


・・・次になぎが唱えた祝詞のりとの文言が、十種とくさ神宝かんだからの事を示していると思い当たると・・・蛇比礼おろちのひれ死返玉まかるかへしのたまが、近くで浮いており・・・その両者に金色の独特な紋様が、光と共に刻まれていくのが見えました・・・


前に、すいを抱っこした「誰か」と一緒に私は、皆が「良い明日を迎えられますように」と願ったことを・・・あの蛇比礼おろちのひれを生み出したのは・・・今さらながら思い出しました・・・その「誰か」とは・・・「娘さん」です!!!


すい、わかったよ!このままじゃ駄目なんだよね?なぎ祝詞のりとを止めて!)


・・・しかし、私の声が聞こえているはずのなぎは、奏上そうじょうを止めてくれません!・・・なぎなりに考えての行動なのでしょう・・・娘さんのことを思い出させないようにしたのもなぎかもしれません・・・だけどっ!



へにゃん・・・(・・・まーま・・・)ずきっ!ずきっ!ずきっ!ずきっ!ずきっ!ずきっ!


 『己がすがたと変じたまいて』


・・・その紋様が刻まれ終わったのか、布と玉が水色の光となって溶け合って・・じゅっ!、という音が聞こえました・・・黒い「新しい海の民」が放った「助けを呼ぶ印」が、水色の光によって消え去っていく音でした・・・私の目の前で、「けがれ」、「悪いもの」として「娘さん」が消されていく・・・そんなこと、絶対にさせません!!!


正直、今の私の頭の中は、いろんな感情や記憶がごちゃごちゃに入り乱れ、何が現実で、何が夢か、わかりませんでしたが・・・すいが、初めて自分で動いて、こんなにも訴えているのです!


このまま、なぎ祝詞のりとが終わるとき、それが悪夢の再来であるという、唯一の確信がありました!・・・ついでに、右肩も痛みを訴えてきます!


今まで聞いたことのない祝詞のりとですが、もう残り半分も無いでしょう!一刻の猶予もありません!


すいは、私が何をすべきか理解してくれたのか、ぴたりっと額を叩くのを止めてくれました!・・・私の言う事を聞いてくれるなら!!・・・痛みで少しだけ自分の身体を動かせるなら!!!



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



すい、お姉さんに伸びて、私の言葉を伝えて!・・・そして、一緒に!!!)



 『天界地界人界を治め・・・』

「!?・・・わかりました!、御子ミコ様、すいません!!!」



どんっ!!! (ずっきーーーん!!!) 


「いったぁぁぁぁあいっ!!!」 


私の右肩に、とんでもない衝撃と共に、魂も抜け出るかと思うほどの激痛が稲妻のように走り抜けます!!!


・・・クーの為に魂を切り取った時のほうが、痛くなかったかも知れません?


私の意を読み取ってくれたすいが、お姉さんにもその意図を伝え、ふたりして前後から私の負傷した右肩を思いっきり叩いたのです!


ぽろり・・・ふわふわふわ~・・・


・・・ですが、おかげでなぎ祝詞のりとを止めることが出来ました!


右肩の赤みが広がっていき・・・左手からなぎが離れて・・・水色の光の中、宙に浮かんだままの状態になります。



「くぅぅっ・・・ありがとう、すい、お姉さん!・・・さて、どうしたら・・・うわっ!?」


自由になった体で苦痛に耐え、ふたりに礼を述べ・・・目の前の黒い「新しい海の民」・・・いえ、黒が張り付いてしまった「娘さん」に向きかえると・・・その手を頭上に掲げ、大きな「黒い玉」を作っていくところでした!


この部屋に一つだけの窓から、外の「黒い水」が、その頭上に集まっていくのです!


その様子は、小さな玉では気付いてもらえない、聞いてもらえない・・・と必死に救いを求めているように・・・必死に足掻いているかのようで・・・それが、逆に大切に思ってくれているひとを間違って、傷付けてしまう・・・



「・・・そんなこと、させたくないんだからっ!!!」


私は、意を決して水色の神宝かんだからの加護の外に出ます!


あの白い孤独の中、まだ娘さんがいるのなら!閉じ込められているのなら!その絶望は、いかほどのものでしょうか!?誰もいない!誰も聞いてくれない!誰も助けてくれないのだとしたら!?


・・・右腕は、痛みでしびれ、他の感覚がありません・・・なぎが身体を使っていた影響か、全身が重いです・・・なぜか、頭痛と吐き気も襲ってきます・・・


あの黒い偽りの温かさの中、蛇の私に放たれた水撃の威力は、今の人間の私に当たれば命に関わるかもしれません・・・私の中の生存への本能が、逃げたい気持ちを訴えてきます・・・


だけど、私はあなたと向き合いから!たとえ、傷付いても、あなたと触れ合いたいから!!わかり合いたいから!!!


幼い小さな娘さんひとり助けられず、どうして、あの方を救うことが出来ましょうか!?いいえ、出来ませんとも!!!


その先にある、あの方と向き合うための新しい覚悟を決めて・・・


私は、「娘さん」に向かって一歩を踏み出します!!



「・・・まだ間に合うはずっ!!!」


「黒い水」を集めている最中だったので、私の近づくという行動は、その意表を突いたのでしょう・・・こちらへの反応が遅れたのが目に映りました。


(大丈夫!今なら、あの黒いモノを放つ前に間に合う!その懐に入れば、あの黒いモノも打てなくなる!本人も巻き添えになってしまうから!)


私は、孤独のふちにいる娘さんに向かって、一歩ずつ確実に近づいて・・・




がつん・・・ずっでーーーん!!!

「・・・ぶへぇ・・・」


しかし、その目論見もくろみは、巧妙な罠によって妨害されたのです!!!


「いったーーい!誰ですか!?こんな所に、こんな大穴を開けた人は!?」


走り出した私の足が、床に開いた大きな穴に引っ掛かり、私の顔を床に着地させたのです!!!


人から蛇になったり、蛇から人になったりしたから?、足なんて飾りですよ?、などと思ったから?・・・蛇のままなら転ぶことなど・・・


御子ミコ様、危ない!!!」


「・・・はっ!?」


そんな文句を言う場合では無いと気付いたのは、後ろにいるお姉さんからの悲鳴でした。


顔を上げると・・・目前には、私に向かって放たれた、大きな黒い玉が迫って来ていました。


「・・・そんなっ・・・」


避ける時間も、立ち上がる時間もありません・・・直撃すれば、子どもの私では、命もあやうい・・・もはや、これまで・・・



びょーん・・・ぺた、ぐぃーーーーーん!!!


・・・が、一瞬で見える景色が、部屋の天井一面になります!!!


「もげる!もげる!あたま、もげちゃうーーーー!!!」


私の頭の先から「翡翠色のもの」が天井に伸びて、強引に私の頭ごと身体を引っ張ることで、身体が宙に浮きます!


知ってます?クーが大きいから、部屋の天井も高いんですよ?


その衝撃は、私の頭が取れちゃうのではないかと心配するほど・・・転んだ原因となる大きな穴に黒い玉が遅れて直撃しますが・・・無論、そこには私はおらず・・・危ない所でした・・・



そして、天井に引っ張ってくれた「翡翠色の親友」が・・・


・・・ぼろっ・・・


すいありが・・・誰ですか!?天井をもろくしたひとふぁぁぁぁ~!!!」


すいが張り付いてくれていた天井部分が、もろくがれて、一緒に私は落下していきます!!!


知ってます?クーが大きいから、部屋の天井も高いんですよ?


「きゃあぁあ!!!」


ですが、うまい具合に私の落下する先には、娘さんです!


流石に、そんな動きをするとは想像もしていなかったのでしょう、動きが止まっています。


近くで見ると、その髪で隠れていた瞳が見えます。


・・・その瞳からは黒いしずくこぼれていました。


涙を流させるほどの孤独に、悲しみにあなたを置いていけません!私は、あなたと向き合いたいです!手をつなげないのなら、体ごと抱き着いてみせましょう!


私が娘さんに向かって行き、抱きしめても何もならないかも知れない!今の血まみれの私が抱き着いたら、また拒絶されるかも知れない!


私の右手も服も赤く染まっていますが、私は、それでも娘さんとつながりたいのです!拒否なんてさせません!


なんたって、私は!!!


(あの方の心も救ってあげたいから!!!)


「娘さん!!!」


がしっっ!!!


その落下の勢いのまま、娘さんに抱き着きます!


確かな感触が伝わって来て、そのまま、ふたりもつれ合って倒れ、ごろごろと床を転がり・・・


どん!・・・ぐらぐら・・・ごっちーーん!


机に当たって止まったと思ったら・・・机の上に載っていた丸い鏡が落ちて、娘さんの頭に鏡の角が直撃してしまいました!


「うわぁあっ!?む、娘さん、大丈夫ですか!?」


娘さんの顔を覗き込むと、目がぐるぐると渦巻きみたいに回っています。


どうやら、気を失っているようです。


御子ミコ様!、娘ちゃんは、大丈夫ですか!?」


近くで声がしました・・・いつの間にか、お姉さんが隣にいました、駆け寄って来てくれたのでしょう。


「新しい海の民」の姿になっていますが、この子が娘ちゃんであることを、お姉さんは気付いていたみたいです、流石はお姉さんです!


私は、お姉さんの方を見て、こう言います!


「お姉さん!・・・これで、妹ちゃんをどうにかできるかも!?」




お姉さんの表情が引きつります!


 「まさか、御子ミコ様・・・娘ちゃんを食べちゃうのですか・・・?」

ミコ<ピンチを華麗に乗り越える!、これからも鬼道少女の活躍に期待してて下さいね!

すい<だーあー(だいじょう、かなー)?


拙い作品ですが読んで頂いて、ありがとうございます。皆様の応援が生きがいです!

ブックマークやコメント、誤字脱字、こうしたらいいよ、これはどうかな?、何でもお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
娘ちゃんを食べちゃうのですか > 何故そうなるの!? ミコ「見た目か! 見た目のせいなのか!?」
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ