第1話 『新しい海の民と竜王』⑪用意された奇跡と孤独
@<久々のナナシ視点から・・・時を戻そう!
ナナシ<以前、私が登場したのは、⑥からか・・・
ミコ&クー&娘<次は、私・クー・あたしのターン!
翠<だぁー!
薙<・・・(訳:個人情報は、大事に)
(対となる本来の鏡を失った、こちらの像は蛇としての姿を映さなくなったが・・既に水面に波紋は生じている・・・)
先ほどまで「蛇」の姿を映していた「楕円の像」は消え、代わりに「丸い円の像」に映すは、「蛇」から「人間」に戻ったミコの姿。
それが引き起こす事象・・・群体での知的生物の感情、思考の変化を備に観察していく。
(あんな姿だったなんて・・・・)(かみさまとおもっていたのに・・・)(化け物なのか・・・)(恐ろしい・・・)(こわいよぉ・・・)
「蛇の姿」のミコを見た海の民から、疑惑や困惑、不信感、恐怖といった感情が次々に生み出されていく。
(ヒトガミ様ではなかったのか?)(信じられない・・・)(我々は、騙されていたのか?)(代わりに犠牲になった者もいるというのに・・・)
その中には、率先して避難誘導した、ヒトガミ様を信奉する熱心な信者たちも含まれていた。
(集団的に培われた価値観、信仰心、思考は、それ以外を異物として認めず、か)
そこにあったはずの重みが、右手から消失した事を感じ・・・その空いた空間に小さな玉を数個結んだ紐、青色の光に包まれた足玉を握る。
(被検体と、あれらの魂を飲み込んだ玉は、果たして、あの神器にどこまで通用するものか・・・)
私の右手から「漆黒の刀身」の姿は無く、ミコがその右手に「薙」を構えて、肥大化した死返玉に対峙している。
「神代からの名通り・・・天に掛かる雲の如くに・・・」
そう、つぶやく私の周囲には、今の言葉の意味を理解する存在はいない。
視線を外し、周囲を見渡して、何処にも綻びが無い事を確認する。
「何者にも関わらず転移するか・・・私の結界を物ともせずに・・・」
我々の周りを囲う、被検体の願望から生まれた干渉機たちは、先ほどから一歩も進めていない。
犇めき、蠢いているが、その音すら、一切こちらには届いていない。
私が発生させている、深緑色の道返玉の結界に阻まれているからだ。
以前、私が必然たる殺意を以ってミコを襲った時、「薙」は、ミコを守るために突如として現れた。
再び、主の危機を察したのであろう・・・私の結界を意に介さぬ力を、あの黒く美しい、燦然と光輝く神器は秘めているのだ。
(あの夜空に浮かんでいた美しい月と同様に、今の私でも手が届かぬ存在なのか・・・)
「・・・天叢雲剣よ・・・」
・・・握った右手から、ぎりっと玉同士が擦り合わさる音がする。
言葉にせねば、冷静な観察を行えないほど、私の中を強い感情が渦巻いていた。
その結界によって守られている海の民たちは、その種族、宗教、思想的に「蛇の姿」のミコが受け入れられない事は、明確であったが・・・
(待ってくれ、皆!オレは、あのヒトガミ様に手をつないでもらったぞ!・・・あった!・・・これが証拠だ!)
その結界にいる海の民たちの中から違う音が発せられる。
ひとりの男が大きな声を上げて、持参して来た袋の中を探る。
その男は、無謀にも干渉機に殴りかかったものだ。
急な避難で、取るものも取らずに逃げて来たのだろう、袋の中にはろくな物が無かったが・・・
男は一枚の紙を取り出した・・・そこには、男と仲良く手をつなぐミコの姿が描かれてあった。
(これは、大司祭クー様に描いて頂いた友好の証なんだ!あのヒトガミ様は、オレ達を絶対に傷つけないって約束して下さったんだ!・・・無力なオレには何も出来なかったけど・・・)
他者にとっては、たかが一枚の紙である・・・が、その男にとって、この非常時に持ち出さねばならぬほどの大事な価値のある物なのだろう。
男は、黒い触手と戦うミコの姿を皆に見てくれと指し示す。
(皆、あのヒトガミ様を信じてくれないか!?)
その絵をかざす男の声には、他者が発する疑惑や困惑、不信感、恐怖といった音は含まれていなかった。
(ミコ様は、優しいヒトガミ様だよ!だって、お父さんを助けてくれたから!)
それが、変化の始まりを告げる音だったのか・・・
(見て!今も、おねえちゃんをたすけてくれてるよ!)
「丸い円の像」は、ミコが「姉」と呼んでいる個体を後ろに庇う姿を映し出している。
クーの下の息子たちが、その姿を指差し、声を発したのだ。
ざわざわ・・・ざわざわ・・・
(・・・じゃぁ、ボ、ボクも・・・おうえん・・する)(じゃあ、わたしもおうえんする!)(オイラも!オイラも!)
それに感化されたのか、仲間を庇って戦うミコの姿を見ていた幼体たちが、次々に声を上げていく。
(頑張ってー!)(がんばれー!)(・・・がん・・ばれ・・・)(あんた、もっと大きい声、出ないの?)(オイラが、見本をみせてやるぜ!・・・)
その声には、成体たちの言葉にあった疑惑や困惑、不信感、恐怖といった音は含まれていなかった。
(でも、さっきの姿は・・・)(クー様のご子息様が、そう言われると・・・)(いや、しかし教義に反するのでは・・・)(その絵は、完璧なるヒトガミ様の姿で・・・)(本来は、どうあるべきか・・・)
その行動を目の当たりにして、成体たちが、動揺して互いの顔を見合わせ始め・・・
そして、その視線は、もう一人のヒトガミである私に『答えを縋る』ように向けられるが、
『汝らの心の声に従うがよい・・・汝らの心が、善か悪かを決めるであろう』
強い『声』で、また海の民たちに問いかける言葉のみを放つ。
ここで私が決定した『答え』を出してしまえば、それに従うのは火を見るよりも明らかである。
既に賽は投げられた・・・今回は、賽の目に仕掛けは無い。
仕掛けをすれば、その事象を正確に観察し、評価できない。
投げられた賽は、どう転がり、何の目を示すのか・・・その程度の事象でしかないが・・・
その賽の目に従って、私は判断し、駒を動かすだけだ。
既に決まった盤面、駒、賽に過ぎない・・・道具は、主に従うのが道理なのだ。
(ミコ様!?)(ああっ!?)(・・あわわわ・・・)(きゃあっ!?)(バタンキュー((白目を向いて倒れる))(あ、あ、赤いぞ!?)(ひぃぃ!)(ヒ、ヒトガミ様が!)
鏡の像を食い入るように見つめる幼体たち、そして、成体たちからも悲鳴が上がる。
続けて、「丸い円の像」は、「人間の姿」のミコが、その左手に「薙」を構えている姿を映していた。
その足元に紅い斑点が生まれていく・・・その右肩は、赤い鮮血に染まっていた。
(流石に抜け殻の状態では、本来の力は発揮できぬのか、神器よ?・・・それとも取り込んだ魂が、強大過ぎるのか・・・)
そして、「姉」が、ミコの負傷した右肩を手当てしている姿を映していた。
(ああっ、何て痛々しい・・・)(自らの身体で、我等の同族を庇って・・・)(何て優しい方なの・・・)(我々とは違う赤い血脈を・・・)(あれは、まさに伝承の通り・・・)(同族が傷の手当てを・・・)
それに感化されたのか、仲間を庇うミコの姿を見ていた成体たちが、次々に違う音を上げていく。
(頑張って!ミコ様!)(まけないで!)(がんばれ!!!!ミコさま!!!!)(うわっ!?あんた、おっきい声出せるじゃん、ちょっと見直したかも・・・もう!いつまで寝てるの!起きなさいよ!)(ふぇっ!?・・・オイラ、こわいょぉ~・・・)
幼体たちが、必死に声を合わせて仲間を庇って負傷したミコを応援する。
(わかっただろう、皆!ミコ様は、優しいヒトガミ様なんだ!手をつないだオレには分かったんだ!伝わって来たんだ!)
あの男が、再びあの絵をかざし、皆にミコの良さを代弁している。
(姿は違っても、仲間だということ・・・)(あの方は、慈悲深いヒトガミ様・・・)(あぁっ!誠に申し訳ない!)(姿かたちに囚われていたのか・・・)(私たちの信仰を試しておられるのですね・・・)
皆、その絵に注目し、頷き合っている。
(段階的に効果的な過程を経れば、既存の価値観、思想を変える事が可能になる、か・・・変化を受け入れた思考は、それにまた集約されると・・・海の民という知的生物の精神構造は、操作しやすい単純なモノであったか・・・)
・・・どうやら、この群体の思考の方向性は決まったようだ。
『今こそ再び、汝らに問おう!鏡に映るヒトガミは、善であるか悪であるか!』
思想を一切、表に出す事無く大仰な身振りで、像が映すミコを示す。
(ミコ様は、いい神様だよ!)(我々を守る尊敬すべき方で・・・)(あの方は、善いヒトガミ様でございます!)(教義に、こだわり過ぎていたのか・・・)(疑った我々が、間違いでありました・・・)
海の民たちが、先ほどまでの言動を反省し、ミコを善いモノとして考える言葉を口にしていく。
『では、汝らの拠り所である神聖なる神殿から、あれら黒き不浄の者、穢れが現れたのは、何故か!?』
再び、大仰な身振りで、海の民たちを示す。
(我々の信心が足りぬからか・・・)(黒いモノは、私たちの心が、原因なんだわ・・・)(悔い改めますから、ヒトガミ様、どうか・・・)(神を信じぬ、己の不覚を恥じる次第で・・・)(オレ達もミコ様に何か出来ることは無いのですか、ナナシ様!?)
海の民たちから疑念の無い、強い意志の力を感じ取った。
・・・「丸い円の像」は、部屋の中の大きくひび割れが生じた玉を映していた。
・・・海の民たちからは見えぬ「不可視の衣」に包まれた「楕円の像」は、私だけに継続して玉の中の様子を映していた。
密接に結び付いた同一の存在は、どれだけ距離が離れようとも互いに効果を及ぼすことが出来るのだ。
それがたとえ、異なる神宝の中であっても・・・
(・・・比類なき力を持つ蛇・・・玉ひとつでは抑え切れぬ・・・新しい海の民の力を備えさせた被検体も然り・・・ただ、それに依って解決する事を良しとせず、か・・・)
「楕円の像」には、圧倒的な力を持ちながらも、その鬼灯ような紅い瞳から美しく輝く雫を流す、異形の蛇の姿を映していた。
・・・姿を映すだけで、その声を聞く事は出来ない・・・聞きたいとは思わない。
・・・異形ながらも流す、その涙の理由も、ここでは知り得ない・・・知りたいとも思わない。
「人」と「蛇」の狭間を生きるミコという存在・・・その監視は、常に怠らぬようにせねばならない。
・・・「人」であれ「蛇」であれ、間違い無く、「私の敵」なのだから。
(だが・・・私がそうであるように、努力する者は嫌いではない・・・その存在が、神宝を生み出してきた要因であるのならば・・・今は・・・)
賽の目は、確定された。
私は盤上の駒を動かすとしよう。
『ならば、汝らの真の信心をヒトガミに示せ!その神と民を結ぶ証を抱え、心を一つに願い、祈るのだ!』
そう力強く、威厳を込めて高らかに宣言する。
『汝らの想いが、ヒトガミを助け、この窮地を救う唯一の無二の方法である!』
右手にある、青色の光に包まれた足玉が宙に浮かぶと、男の持っていた絵が水色の光を放った。
(お父さんが描いた絵が光っている!)(おおっ!ナナシ様!)(我らの祈りが!?)(ヒトガミ様!)(みんな、祈って!)(悪いやつをやっつけて下さい!)(悔い改め、真の信心を捧げます!)
その奇跡を目の当たりにして、その絵を中心として、海の民たちが平服して祈り、願いを捧げていく。
その祈りが、絵の水色の光を強く輝かせていく。
その真摯な祈り、いや、結界内という濃密なマナの状況下で、その願望は、強い意志の力は、理を変容させるのだ。
陰陽の揃わぬ、死返玉は、歪んだ願望を招いたが、陰陽の揃った木行の神宝は、声の届かぬ空間を超越して、その意志を伝達するのだ。
古代から続く原初の呪の再現・・・願い、祈る事で起こされる奇跡・・・
無論、それを術師が完璧に制御できなければ、意味の無い奇跡・・・
賽の出目により、新しい盤面に変えるとしよう・・・全ての道具は、私が管理しなければならない。
海の民たちは、一心に鏡の像を見つめ、懸命に祈っている・・・音を遮断しているので、周りの干渉機たちが、動きを止めた事に気付きもしない・・・
ふと、右手から消えた重みの事を想像し、つぶやいてみる・・・
「今の私からは、何を感じ取るか・・・草薙剣・・・薙よ」
絵から生じた水色の光が放たれた事を見て、そんな妄想から抜け出し、私は思考する・・・
(次の盤面は、殉教の徒か、それとも罪と穢れを払うか・・・)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・「あたし、うすくならないよ?」・・・
ただひとり、この世界で確かな陰影を以って、その存在を残す「娘さん」・・・
私は、翠を抱っこする娘さんに新たな水行の気が、更に集まっていくのを感じました。
薄くなる私達とは逆に、強い水色の光の螺旋が娘さんを包み込み・・・宙に浮かせます。
「なに、これ?きれ・・い・・・」「だーぁ~・・・」
娘さんが、脱力したように翠を手離し・・・翠も宙に浮きます。
「えっ、翠、娘さん、どうしたの!?」
何が起こっているのか分からない私は、傍観するしか・・・
『生じた陰の水行を逆しまに辿り、北方に戻りて、陽と成らん』
また、私に翠から発せられた、神々しい威厳に満ちた『声』が伝わって来ました!
近くにいたクーは、強烈な神気に中てられたのか、言葉も無く立ち尽くすのみで、持っていた紙束と筆から手を離します。
ばらばらの紙束と筆は、床に落ちることなく娘さんたちの周囲に飛んで行きます。
娘さんと向かい合う位置に浮いた翠が、その小さな手を娘さんに向けると、娘さんが筆を掴み、その筆が白く輝き始めます。
そして、輝く筆を使い、宙に浮いた紙に何かを描いていきます。
白色の光の線が描いたもの・・・それは、「蛇」でした・・・
(蛇の私を描いてくれた?違いますよね?・・・悪い物ではない・・ううん?)
成り行きを見守るしかない、蛇になって鋭くなった私の感覚が、そう告げて来ます。
その描き上げられた蛇は、紙から浮き出て、生きているように動き始め・・・
『そは、蛇比礼、水行の陽たる神宝なり』
あの『声』が、そう告げると共に、目も眩むような強烈な光が辺りを包み・・・
一瞬後には、娘さんたちを取り巻いていた螺旋は消えて・・・
そこには白地に水色の線の走った豪華な長い布が生まれ、蜷局を巻くように宙に浮いていました。
「新しい神宝が、生まれた!?」
やっと神気から解放された私は、驚きの声を上げます!
十種の神宝・・・その名の通りならば、今回で八つに増え、残り二つになったことになります!
「新しい海の民」とも言える娘さんを巫として、新しい神が降臨したということでしょうか!?
(新しい陽の神宝を生み出すために、陰の神宝を使った娘さんが、濃いままになっていた?・・翠が、何らかの役割を果たしていることは、間違いないよね・・)
またしても私の中でいろんな疑問が・・・
その蛇比礼が、宙から降りてくる娘さんと翠をふんわり地面に受け止めてようとします。
・・・が、娘さんを受け止められず・・・いえ、すり抜けてしまいます。
ぺち
「・・・いったぁ~、なにごと?・・・えっ?・・・こんにちは?・・・ミコさまのこども?」
怪我をする高さ、強さでは無かったので、娘さんは何事があったのか、周りをきょろきょろして・・・新しい神宝を見つけて、挨拶をして・・・いえいえ、違いますよ、娘さん?
言葉が分かるのか、蛇比礼が嬉しそうに、ぺこりっとお辞儀します・・・ちょっとちょっと!?
「むーむー」・・・ぺちぺち・・・
何故か、ふくれっ面になった翠が、布を叩いて叱っているような?・・・どういう事でしょうか?
叱られた蛇比礼が、何か思うことがあるのか、娘さんの周りをきょろきょろして・・・
ずっしゃーー!
「ぷっふぁ!?・・・なんじゃもんじゃ!?」
遅れて解放されたクーも慌てています!
何故なら、その長い布が、いきなり縦横無尽に辺りを走り回って・・・いえ、徐々に薄くなる地面と天井から這い出して来る黒い触手・・・それを切り刻んでいるようです!
「私達を外に出さないように!?・・・蛇比礼が守ってくれて・・・うわわぁっ!?娘さん!翠!」
急変直下の事態に、私も慌てます!
ぱきぱきぱき・・・・・
往生際の悪い行動に恐れ、新しい神宝の働きに感謝・・・する暇もなく、薄くなる地面が薄氷のような音を立てて割れて行きます!
・・・元からひび割れが生じていたので不安定なこと、この上無しです!!!
「みこさま!?おとうさーん!?」「まーまー」
正気に返ったのか、ぐらぐらと揺れる頼りない地面の上、ふたりがこちらを呼びます!
「娘よ!翠よ!掴まれ!・・・ぬあ!?なぜ、掴めんのじゃ!?」
クーが手を伸ばして、翠を掴まえてくれます・・・しかし、娘さんを掴まえることは出来ません。
私とクー、翠は、更に姿が薄くなっていきますが、何故か、娘さんだけが濃いままなのです!
いくら掴もうとしても、娘さんのその手を、その身体をすり抜けてしまうのです!
「いやだっ!?置いてかないで!?おとうさん!!!」
娘さんの悲痛な声が響きます。
ばらばらばら・・・・
地面だけでなく、天井まで脆くなっているのか、黒の破片が落ちて来ます!
「そんな!?・・・娘さん!!!」
私も全ての頭を娘さんに伸ばします!
「ミコさま、たすけて!!!」
娘さんがその手を私に伸ばします!・・・初めて、娘さんから私に伸ばされる手です!!!
・・・ですが、必死に掴もうとする娘さんの手は、無常にも同じように私をすり抜けてしまうのです!
「尻尾でも!?・・・駄目なんて言わない!諦めない!」
次は尻尾を試すが、これも空を切るばかり・・・
すぐ傍にいるのに、見えているのに、触れないのです!せっかく、心が寄り添えたと思ったのに!!!
「やだっ!?やだっ!?やだぁっ!?」
そうしている内に娘さんが恐怖のあまり、取り乱して泣き出していまいます!
約束したのに!勇気を以って、外に出る希望を言葉にしてくれたのに!!!
「痛かったらごめん、娘さん!」
覚悟を決めて、最小限の力で娘さんを噛んで引っ張ろ・・・
ばきんっ!!!
・・・世界を崩壊させる大きな音がしました・・・
黒色の天は千切れ、地は形を残さず・・・真逆の何も無い白色の世界が広がって行きます・・・
私達は、一瞬、宙に浮くかのような刹那を感じ・・・
蛇のように長い布が私達に巻き付くと、何処かに引っ張って行きます。
この世界にひとりを残して・・・
「娘さん!」「娘よ!」、私とクーの口が、その名を呼びます。
「ミコさまぁ!!!おとうさーんっ!!!・・・・・」
それに応える声と姿が、小さくなっていき・・・
『死返玉は水の陰、陰の気が乱れている、陰陽を合わせ『比和』せよ』
「・・・あたしをひとりぼっちにしないでぇーー!!!・・・」
あの『声』と娘さんの『絶叫』が、明確に聞き取れ・・・そこで、私の意識は、白く染まってしまいました・・・
ミコ<貴方の心に寄り添いたい!鬼道少女ミコです!
ナナシ<全ては私の役に立つ為の道具になれ・・・名無しだ・・・
@<前回のミコと、今回のナナシの温度差で、風邪引き注意、ご自愛くださいね!
薙<・・・(訳:僕の本名公開されちゃってるけど、大丈夫なの?)
@<まあ、読者の皆様にはモロバレだったと思うけど・・・今まで読んで下さった方は、本作の語りたい事が伝わってると思うので・・・決して、軽い気持ちで扱っている訳では無いので、ご理解いただければありがたいです!
拙い作品ですが読んで頂いて、ありがとうございます。皆様の応援が生きがいです!
ブックマークやコメント、誤字脱字、こうしたらいいよ、これはどうかな?、何でもお待ちしております。