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バツイチ鬼道少女と心臓外科医  作者: かぐつち・マナぱ
バツイチ鬼道少女と心臓外科医 第2章 『創世記戦争』
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第1話 『新しい海の民と竜王』⑧今よりも先の未来を

@<大雨に負けないで!一週間後にあげるつもりだったけど、応援投稿!!!

ミコ<まずは、私のターン!

クー<クーもお忘れなく!

お姉さん<次は、頑張るお姉さんのターン!

薙<・・・・(訳:僕は、無生物だから喋らないよ)

ミコ<また戻って、今度は私でターンエンドです!

クー<クーもお忘れなく!

・・・囚われた海の民の方々の所在を尋ね、クーに言われて私が、足元の黒い地面をよく見ると・・・


地面の下は、大量の液体があり、その中には手足を丸めた格好で、海の民の方々が数多く沈んでいました。


海に浮かぶ、分厚い氷の層で隔てられてるかのような状況で・・・皆、その表情は・・・幸せそうなのです、笑顔なのです。



「皆さん、幸せな夢を見ているんですね・・・私が見せられたような・・・」


私が皆さんを起こすことは、その幸せを奪うこと、壊すことになります・・・海の民の方々に尽力すると誓ったのに・・・


「そういえば、どうしてクーは、起きられたの?・・・幸せな夢なら、ずっと見ていたいと思うのでは?」、ふと疑問に思い、クーに尋ねます。


「クーの幸せは、我々、海の民全体が幸せになることなのです!個人の幸せは、後回しですぞ!・・・と言いたいところですが・・・正直に言いますと、寝ていたところに、その鏡が落ちて来まして・・・その衝撃で、ぱっちりと目が覚めたのでございます・・・お恥ずかしいことで・・・」


クーは、照れたように頭をかいて答えます。


「もしかしたら、分けて下された御子ミコ様の魂の影響が、あったのかも知れませぬな・・・眠りが浅かったのでしょう・・まぁ、クーの頭に落ちてきたことで、その鏡も割れずに済みましたしな!」


何ともないかの様に、クーは、笑って伝えてきます。


私は、受け取った紙束を見ます・・そこには、クーの家族の絵もありました・・・クーの亡くなったつがいの姿も・・おそらく、クーは、その夢を見たでしょうに・・・平気な素振りを・・・


「クーは、強いですね・・・私が皆さんの目を覚ますことは・・・良いことなのでしょうか?」


私は、先ほどの喪失感を思い出し、迷いながら、またクーに尋ねますが・・・


「・・・御子ミコ様、クーが描いた絵を見て、どう思われましたか?」


クーが大きな目で私を見つめ、問い返してきます。


「・・・とても良い絵です・・・温かさを感じます・・・ずっと見ていたいような・・・私もこういう絵を描いてみたいと思います」


正直に思ったことを伝えます。


「お褒めいただき、ありがとうございます!・・・ですが、御子ミコ様・・・絵は、あくまで絵です・・・過去なのです・・・今の、未来の・・・生きている姿ではありません」


クーは、褒められて嬉しそうでしたが、続けて語り始めました・・・


「絵に・・・過去に囚われてはならないのです・・・ずっと見ているということは、止まることなのです・・・時に止まることも・・・過去を振り返ることも必要でしょう・・・そこから感じるものが、考えるものが、今の、未来の姿に通じることもありましょうが・・・」


静かに伝えてきます・・・


「ですが、囚われてはいけないのです・・・それを糧に、今を、未来を生きなければならぬのです」


首を横に振ります・・・


「・・・今は、未来は、その過去よりも悪いことが起きることもありましょう・・大切なものを失うこともあるでしょう・・ですが、それを乗り越えた先に、より大切なものに出会うこともありましょう」


静かですが、その言葉は強く、私に響いてきました・・・・


「クーも最初は、絵など描けませんでしたが、繰り返し、何度も何度も、描いて描いて描いて・・・そして、今に至りました・・・御子ミコ様が、その絵を見て、温かいと思って下さるぐらいに・・止めぬことで誰もが、より良い絵が描ける可能性があるのです・・・」


私は、また絵を見返してみました・・・


(クーの絵から感じる温かさは、その技巧だけではない・・・その理由は・・・)


「無論、それに至るまでに、下手だと言われたり、笑われることもありましょう・・・自分よりも優れた絵を描く者に心折られることも、嫉妬することもあるでしょう・・・大切な絵を、過去を汚されることもありましょう・・」


クーは、しばし目を閉じ、何かに想いをはせているようでした・・・「今のクー」に至るまでの思い出を振り返っているのでしょうか・・・


「ですが、これからもクーは、過去よりも今を、未来を描いて行きたいと思うのです・・・例え、描くことで、その手が汚れても、また洗えば良いのです・・・そして、いつの日か皆に喜んでもらえるような絵を描ければ良いかと・・」


目を開けたクーの瞳は潤んでいましたが、零れ落ちるものは、何もありませんでした・・・


「しかし、この薄暗い場所に居たままでは、御子ミコ様が上手な絵を描く未来は難しいでしょうな!・・・眠っている皆も退屈だろうと、クーは考えますぞ!」


最後には元気づけるかのように、そう私に応えてくれました。


(もっと深い思いが、あるからだったのですね・・・クーの絵は、先を、未来を、希望を描いているのですね・・・)


「わかりました・・・皆さんを起こして、恨まれてたとしても・・・また、挽回すれば良いと・・・いえ、過去よりも良い、今を、未来を描けるように、これから尽力すれば良いと言うことですね」


私は頷き、しっかりクーの瞳を見つめ返します。


「それでこそ、御子ミコ様!・・・我等、海の民を導くヒトガミ様でございます!この大司祭クーもこの身、この魂の全てを以て、ご助力させていただきますぞ!」


クーが嬉しそうに目を細め、両の拳を胸の前で、ぐっと握ります。


「ふふっ・・」、先ほどの私みたいな仕草ですね、思わず、私の口から少し笑い声が出ます。


「さて、何とかして、皆さんを起こして、ここから出て娘さんを説得して、玉を返してもらって、事態を収拾して、仲良くなる作戦を続行せねば!」


その温かさは、私の胸に勇気という火を灯してくれました・・・やることがすごく一杯ですが、この火は、ちょっとや、そっとじゃ消えませんよ!


(・・・それに、ここから出ないとナナシ様にも会えませんからね・・・うまく解決できたら、ちょっとは褒めてもらえるかな・・?)、ついでに、ちょこっと私欲も出て来ましたけ・・・


・・・がきーーーんっ!!!・・・ぱらぱらぱら・・・


「なになにっ!?」「なんじゃ!?」、突然のことに、私とクーの口から同時に驚きの声が出ます!


何か硬い物をぶつけたような音がして・・・上から細かな黒い破片が落ちてきたのです!


私とクーは、音の発生源と破片が落ちてきたと思われる頭上を見上げ・・・


「・・・ひび割れてる・・・」「・・・ひび割れですな・・・」、私とクーの口が、同時に確認したことを述べます・・・


しかし、そのひび割れは、とても小さく細く、また二人合わせても到底届かない遥かな頭上で・・・


「・・・変わらないね・・・」「・・・変わりませんな・・・」、そのまま、ぱかっと大きく割れないか、しばらく見守っていましたが、変わりませんでした・・・


(・・・でも、割れない訳では無い、ということですよね・・・?)


「とりあえず・・・この地面も何とかできないかな?・・・ちょっと、やってみよう・・・クー、これ持ってて下さいな」


クーに紙束と筆、楕円の鏡を返します。


「いやぁ、クーが全力で叩いても傷ひとつ付きませんでしたぞ?・・・流石に、御子ミコ様でも・・・」


受け取ったクーが、難しいのでは?と言いながら私の行動を見守ります・・・


「何でも試してみるのが、私の性分なのです・・・六つの魂の姿で、元の力があるか分かりませんが・・・まずは、一つで・・・・せーっのぉ」


自分の一つの頭を持ち上げて・・・黒い地面に頭突きします!


ぴしっ!


「あっ、これいけそうかも!・・軽くやったけど、ひびが入りましたよ?見て下さい・・・クー・・・?」


案外、この行動で良さそうだと思って、クーを見ると・・・クーは、沈黙して・・・その目は・・・


「えっ?・・・何ですか、その化け物を見るような目つきは!?」


クーは、情が引いたような目をしていました・・・うぅ・・酷いです!悲しいです!


「むぅうっ!さっきまでの言葉や態度は、嘘なのですか!?」、私の六つの頭が、一斉にふくれっ面を作りますよ!


「・・・あ、いやいや!・・・流石は、御子ミコ様です!クーがいくら叩いても、びくともしませんでしたから!・・・そう、びっくりしたのです!あっはははははっ・・・」


クーは、ぶんぶん頭と手を横に振って・・・慌てて、取り繕うとしてますね?・・・笑って誤魔化そうとしてますね?


「もう!私は、今、ひっじょぉーに傷付きましたよ!?」、六つの尻尾が抗議のために、ばんばん地面を叩きますよぉ!?


びし!びし!びし!びし!びし!びし!


・・・尻尾が容赦なく、地面に亀裂を生じさせていきますけどぉぅ!?


「あわわわ・・・ミ、御子ミコ様!?申し訳ありませぬ!?どうか、落ち着いて下され!?」


クーが慌てふためいていますけどぉぉ!?


「どうして、落ち着くことが出来ましょうかぁ!?いいえ、落ち着くことなど出来ませんよぉ!?」


六つの頭で、がんがんと地面に頭突きしていきますよぉぅ!?


ばき!ばき!ばき!ばき!ばき!ばき!・・・ばらばらばらばら・・・


・・・その衝撃は地面を伝わり・・・そして、頭上のひび割れを大きくさせていきますよぉ!?



クーがいなくなってしまった時、涙が溢れるほどの悲しみを感じたように、情緒が不安定に・・・


自分でも暴れ過ぎと思う反面、抑えることの出来ない衝動が、私を突き動かすのです!!!



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



ぐったり脱力した御子(ミコ・代)様と、それを抱きしめる私に複数の黒い刃が狙いを定め・・・


・・・放たれる、その瞬間!!!


ぴしっ!


っと音がして、黒い玉の下方に、先ほど御子(ミコ・代)様が付けられた傷よりも大きなひびが入りました。


そして、黒い玉は動きを止め・・・


びし!びし!びし!びし!びし!びし!


そのひびは、下方全体にどんどん広がって行き・・・更には・・・


ばき!ばき!ばき!ばき!ばき!ばき!


大きな音と振動で黒い玉全体が揺れ・・・先ほどの上方のひびを大きく広げていきます!


(何が起きて?・・・御子ミコ様の意識が無いのは、あの剣が離れたから?・・・とりあえず、玉が動きを止めている、今が好機!)


何が玉に起きているのか分かりませんが、私は御子ミコ様の手に戻すべく「漆黒の刀身」を掴むと・・・


じゅっ!!!


「っ!?熱い!?」、私の手が危険な熱を訴えます!


選ばれた者しか触れてはならない・・・神の禁忌に下賤な私が触れたせいでしょう、「漆黒の刀身」が私の手を焼きます!


ですが、離しません!「今の私」にできるのは、これしかないのですから!!!


御子ミコ様!、漆黒の刀身様!、どうか!」


手を焼かれながら・・・熱を持った物を渡すことに少し躊躇しますが・・・御子ミコ様の左手に渡し・・・


途端に御子ミコ様が私の腕を離れ、立ち上がられ・・・ぷるぷる震える「漆黒の刀身」で私の手を示して・・・?


(うん?・・・私の火傷を気遣って下さっているのでしょうか?・・・そんなことよりも!)


構わず私は、別の手で自分のリボンを外し、御子(ミコ・代)様の傷付いた右肩に巻いて止血しようとします・・・


接触したことで、同じ「異質な冷徹さ」を私に伝えて来て・・・御子(ミコ・代)様は、私から離れようとされます・・・


おそらく、先ほど私が寒気を感じて、手を離してしまったことを気遣っての事でしょうか・・・火傷させてしまったことへの引け目を感じておられるのでしょうか・・・


ですが、私は、御子(ミコ・代)様の血塗られた右手を掴んで離しません!!!


・・・この時ほど自分が、「海の民」であったことに感謝の念を覚えたことはありません・・・


大切な絵を手にしながらも、火傷を負いながらも、「漆黒の刀身」様の手当てを出来て・・・


(私を庇って下さり、感謝の言葉もありません!むしろ、迂闊な行動をしてしまいました、申し訳ありません!)


・・・こうして離さないように掴まえて、思いも伝えることも出来るのですから!!!


びくりと左手の「漆黒の刀身」様が、大きく身じろぎされ・・・御子(ミコ・代)様の口が開き・・・


「・・・・・」


短いですが、初めて何か言葉を話され・・・同時に、あの方と同じ感触が、微かに伝わって来ます!


「声」では無いので、話された言葉は分かりませんが・・・触れていることで理解できます!


(言葉は分かりませんでしたが、貴方様のお気持ち、私は理解できましたよ!・・・ありがとう、ですよね?・・・最初は、驚いてしまいましたが・・・)


そう返答します。


この「漆黒の刀身」様の奥深くに・・・そこに御子ミコ様と同じ感触があったのです!


二人の姿形もまるで違いますが・・・何故、そうなのか私如きでは理解することはできませんが・・・


ずっと触れていることで・・・その行動で、思いで分かります・・・その優しさとお心遣いが・・・


(あぁ!この御方も、御子ミコ様なんだ!・・・優しい、我々の神、ヒトガミ様なのですね!)


私の中で深い敬愛の念が、沸き上がって来るのを感じました・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「ひぃぃぃ!?御子ミコ様、どうか、怒りをお鎮め下さいませぇ!?」


ぐらぐらと揺れる地面に、クーが膝を折り、ぷるぷる震えて懇願してきます・・・ちょっと可哀想に思えてきて・・・でも・・・


「うぅぅぅ・・・クーに嫌われたら、私はどうしたらいいのか・・・泣きそうですぅ・・・私にとって、クーはそこまで大事な存在なのですよぉ・・・父のように思って・・」


激しい感情の反動のためか、目がうるうるしてき・・・


「・・・・おとうさんをいじめるなあーーーーーーーー!」


どん!!!


「はぅ!?」


何かが唐突に、私の脇腹に突っ込んで来て、吹き飛ばされました!?


ごろ!ごろ!ごろ!ごろ!ごろ!ごろ!


その衝撃で、私は六回ほど地面を転がされてしまいます!?


「・・・うぅ・・・一体、何が・・・?」


吹き飛ばされ回転したことで、くらくらしながらも上体を起こします・・・


幸いにも痛みは、ほとんどありませんが・・・先ほどまで私とクーがいた場所を見ます・・・


そこには、クーに寄り添う小さな海の民の子供の姿・・・


いえ、「より人間に近い外見」をした海の民の子供の姿がありました・・・


クーの記憶にも無い、初めて見る姿の海の民です・・・私は、それに突き飛ばされたのでしょうが・・・


「おとうさん、だいじょうぶ?・・・たてそう?」


それが座っているクーに手を貸そうとしています・・・


その伸ばした手の吸盤の形は、特徴的なクーの吸盤と似ていて・・・クーを父と呼ぶということは・・・





「・・・もしかして、娘さん?」「・・・もしや、娘か?」、私とクーの口から同時に確認する声が出たのでした・・・

クー<・・・もう、クーのHPは・・・

ミコ<ぼっこぼっこにしてあげるー

新しい海の民<クーのことかー!?


拙い作品ですが読んで頂いて、ありがとうございます。皆様の応援が生きがいです!

ブックマークやコメント、誤字脱字、こうしたらいいよ、これはどうかな?、何でもお待ちしております。

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「より人間に近い外見」をした海の民 > つまり火星人みたいだったなが、イカ娘のような外見に?
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