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バツイチ鬼道少女と心臓外科医  作者: かぐつち・マナぱ
バツイチ鬼道少女と心臓外科医 第2章 『創世記戦争』
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第1話 『新しい海の民と竜王』①化け物と呼ばれて

ミコ<熱くなってきたので、第2章始めました〜(投稿5月30日)

クー<冷し中華じゃあ、ないんですから?

ナナシ<新章だが、大きな時間経過は無いな

@<新しい種族出るから、新章ナノだー

・・・最近、『昔』のことを夢に見ます・・・それも繰り返し・・・何回も・・・


・・・『蛇』であった私は、いつしか『悪』として殺され・・・『私の一部』が人の手に渡り・・・


・・・私は、『水の神』と『山の神』に分かれて・・・『私の一部』を・・・


・・・今は、『なぎ』という名前になってしまいましたが・・・


・・・その、『私の一部』を取り戻したい、と思って行動した時のことです。



ある時、『なぎ』は、船に乗っていました・・・


もちろん、『物』である『なぎ』は、一人では船に乗れません。


何人かの人間と共に、船に乗っていました。


船は、目的地の対岸まで辿たどり着けずに、荒れ狂っていた海の中、木の葉のように翻弄ほんろうされていました。


・・・『水の神』である『私』がしたことです・・・


『山の神』である『私』は、その名の通り、特定の山、場所から遠く離れて動くことができません。


『水の神』である『私』は、水のある所、自由に彷徨うことができました。


だから、『私』は、船ごと海に沈めて、『なぎ』を取り戻そうとしたのです・・・


元々、『蛇』である『私』に『人間の道理・道徳』は、通用しません。


目的のためなら、例え、『人を喰うこと』も躊躇ちゅうちょすることはなかったのです。


・・・一応、加減はしていたはずです・・・『毎年1人』しか『食べない』と決めていましたから・・・


それに、その頃の人間は、『私が大好きな自然』をないがしろにし、また私のように『自然の気(鬼)から生まれてきた存在』も多く殺していたので、私は怒っていました。



・・・船が、荒波に沈もうとする時、その船から一人の人間が、その身を海に投じました・・・


「私が海に入って海の神を鎮めましょう。御子みこは、任務を立派に果たしてください』、そう船に残る人間に言い残して・・・


((どうか、私が犠牲になりますので、海をお鎮め下さい))


・・・私にそんな声が聞こえました。


・・・理解できませんでした・・・


・・・生き物は、皆、生きたいという気持ちを持っています・・・持っているはずです・・・


(それなのに・・・自分を犠牲にしてまで・・・なぜ?・・・)


多分、「今の人間の私」になりたいと思う、切っ掛けになった出来事でしょう。


・・・理解は出来ませんでしたが、とりあえず海を鎮め、その場は「なぎ」を取り戻すことを諦めました。



・・・残念ながら、荒れ狂った海を直ぐに戻すことは出来ませんでした。


荒波に飲まれ、その人間は命を落とし、海へと還っていきました。


((せめて、これを・・・))


海へと還る人間が、最後に身に着けていた「櫛」を私に託します。


私は、「櫛」を形見として、船に乗っていた人間に届けます。


・・・その間、7日が過ぎましたが・・・船が着いたその対岸で海に身を投じた者を、ずっと待っている人間に届けました・・・


元々、『蛇』である『私』に『人間の道理・道徳』は、通用しないはずでした・・・ですが・・・


(・・・なぜ・・・どうして?・・・)


私の中では、疑問が生まれ、回答を欲する気持ちが満ちていました・・・



・・・そして、時が経ち・・・


「櫛」を渡した「人間」が、「山の神」である「私」に会う機会が巡ってきました。


・・・今となっては、なぜ、その「人間」が来たのかは、定かではありませんが・・・


その時の私は、白い猪の姿であり、その人間に「私」が何であるか語り、尋ねました。



昔、海に身を投げる原因となったのは「私」だと・・・なぜ、自ら犠牲になるのかと・・・・


・・・その「人間」にとって「私」はかたき・・・


その「人間」は、答えずに「私」に挑みかかってきました。


しかし、どれだけ元が強くとも「人間」です・・・分かれた存在でしかない「山の神」の「私」にも勝つことはできません・・・


・・・「なぎ」を持っているなら、まだしも・・・・


倒れた「人間」に、なぜ「なぎ」を持ってこなかったのか聞きますが、答えません。


・・・もしかしたら、勝つ気がなかったのかも知れません。


倒れた「人間」に、なぜ、7日間もずっと海岸で待っていたのか聞きますが、と答えません。


・・・海に身を投げた者の後を追おうとしていたのかも知れません。


倒れた「人間」に、なぜ自分を犠牲にしてまで、他者を守るのか聞きますが、答えません。


・・・代わりに、こう言いました・・・


「お前には決してわからない、決して理解できないだろう、この・・・」





 ・・・・・・・『化け物!』・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



                    ・・・・・・はっ!?・・・・・・・



・・・私は、夢のその声に驚き、布団を跳ね上げ、飛び起きました・・・・


「・・・また・・・同じ夢を見てしまいました・・・」


それが夢であったことを確認するように、ひとり呟きます。


私の首や額には汗がびっしりで、長い髪がくっつき、服も寝汗でぐっしょりと肌に張り付き、不快感を与えていました・・・


自分の手の平を見つめます・・・それが青緑色でなかったことに安堵しました・・・



・・・つい先日、同じ『化け物!』という声が私に投げつけられました。


それが切っ掛けとなって、「昔」に言われたことを思い出したのでしょう・・・


それが、ここ数日、繰り返し夢に現れるのです・・・


「・・・仕方がありませんよ・・・私は、蛇・・・化け物なのですから・・・」、独白し、部屋に準備されていた物で体を拭き、新しい服に着替えます。



・・・私が寝ていた部屋は、海の民の神殿の奥の一室・・・窓の少ない、暗がりの部屋でした。


(まるで隔離されているようですね・・・)、私は、その部屋を見回します。


ナナシ様が手配した部屋ですが、それは一部その通りでしょう。


神聖な神殿の奥・・・誰の目にもつかない場所・・・引きこもるには良い場所でしょう・・・


(・・・自分が悪いのですね・・・)、ため息をつき、その時のことを思い出してみます。


・・・・指導者が悪あがきをした時です・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・突然、私に向かって、指導者の「十一本目の腕」が、鈍い光を伴って迫ってきていました。


それを視線の端に見て、そこで私の意識は・・少し、ぼんやりしていました・・



その刃物は、私には届きませんでした。


なぜなら、私の影から突如、現れた一匹の「影の蛇」に「喰い」止められていたのです。


・・・私の命の危機を察知して、私の意思に関わらず、勝手に現れ、刃に嚙みついて止めていました。


・・・更に私の影から、にょろりと、あと五匹の「影の蛇」が出てきました、合計六匹です。


・・・「影の蛇」は、「蛇」である私の魂を構成するモノ、私の魂の総量です。


・・・この前、クーを助けるのに一匹分の魂を差し出したことや、今、勝手に出現した影響のせいでしょう・・・私の意識は、ぼんやりしていました・・・



・・・通常の私なら食い止めた後は、ナナシ様などに任せる、という判断ができたと思いますが・・・


・・・残念ながら、六匹の蛇は、止まりませんでした・・・


・・・刃物に噛みついた蛇が、小枝でもむ様に、ばきばきと噛み砕いていきます・・・


・・・怯える指導者が必死に抵抗しましたが、それを意にも介さず、圧倒的な力で六匹の蛇が蹂躙していきます・・・


・・・指導者の複数の手足に噛みつくと、ぶちぶちと、容赦なく引きちぎっていきます・・・


・・・指導者が悲鳴を上げ、千切れた手足から青緑色の血が吹き上がります・・・


・・・指導者がずりずりと、青緑色の血を流しながら、少しでも離れようとしますが・・・


・・・それだけでは足りないようで、蛇は残った手足に噛みついて、大柄な指導者を軽々と上に持ち上げます・・・


・・・そして・・・



気付いた時には・・・辺り一面、青緑色に染まっていました。


・・・返り血を浴びて、私の顔にも体も青緑色に染まっていました・・・



最近、分かったのですが、クーを含む海の民は、青緑の血の色をしていますが、しばらく時間が経つと白く透明に変わるのです・・・


以前、確かにクーの血で汚れたはずの私の手や服は、青緑色が消えていました・・・どうやら空気中のマナが関係しているとナナシ様から聞きましたが・・・



・・・気が済んだのか、にょろりと、全ての「影の蛇」が戻っていくのを感じ、私が「人間の私」に戻っていくのを感じます・・・



・・・辺りに散らばる指導者の手足などが、白くて透明で綺麗で、てらてらとしていて・・・ただの「人間」であった時、海で採れた食べたモノを思い出して・・・正気に戻りつつある私は、思わず・・・



「・・・おいしそう・・・」・・・と、笑顔で言ってしまったらしいのです・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



言った後に、やっと正気に戻って・・・周りで固まってる皆さんを見回して・・・・


・・・お姉さんにしがみついて、ぶるぶる震えながら、妹ちゃんが、ひとり『声』を伝えてきました・・・



・・・・・・・『化け物!』・・・・・・



・・・それは、強い恐怖と拒絶を伴い、私の頭を殴ったような衝撃を与え、今度は私が固まってしまいました・・・



ばさっ!


その中、ナナシ様が、白金はくきん色の品物之比礼くさぐさのもののひれを広げます。


布がひとりでに宙を舞い、あっという間に、飛び散った指導者だったモノを回収していきます。


厚さの無い布が通った後は、不思議なことに何も残っていません。


・・・布の中に納まった、と考えるべきでしょうか?・・・


役目を終わった布は、またナナシ様の元に戻っていきます。


ナナシ様は、布に手を当てると、そこから深緑の玉、道返玉ちかへしのたまを取出します。


・・・不思議なことに、布の中に神宝かんだからも収まっているようです・・・



深緑の玉を掲げると、玉が強い光を放ちます。


そして、朗々とした『声』で、こう告げました。


『神の罰は下された、指導者は罪を償い、新たな海の民の礎となるだろう』


その『声』を聴いた海の民たちは、硬直から解放され、皆「みんめんまー、みんめんまー」と崇めるようにひざまついていきます。


その時の私は、動揺していて、違和感に気付くことが出来ませんでした。


悪いことをしたら罰せられる・・・でも、目の前で仲間が殺されたというのに。


その後、ナナシ様は、てきぱきと適切な指示を出して、その場の混乱は収まっていき、皆去っていきました。



(・・・御子みこ様、大丈夫ですか?)、呆然とする私にクーが気遣い、優しい言葉をかけてくれます。


「あっ・・・ええ、私は大丈夫ですよ・・・元の私ですよ」、無理やりつくろった笑顔と、不自然な明るい声で、そう答えますが、心の中では・・・


(そう、元の私・・・「蛇」の私・・・クーは、私が怖くないのかな・・・)


・・・クーの声は、私をいたわる感触が伝わってきていました、私の魂の一部がクーに宿っているからこそ、受け入れられているのでしょう・・・クーを助けたから・・・



(・・・でも・・・)、ちらりと、先ほどの『声』を出した、クーの娘さんの方に視線を向けます。


娘さんは、お姉さんの胸に顔を埋め、今だ恐怖のせいか、「マァーマァー」泣いていました。


お姉さんは、(怖くないよ、偉大な私たちの神様、ヒトガミ様ですよ)、と熱心に言い、背中を優しくさすりながら慰めていました。


・・・これは、クーの通訳ですが・・・


『怖がらせてしまって、本当にごめんなさい』、そう言葉の通じない娘さんに『声』を飛ばしますが、クーとは違い、幼いせいか、完全に受け取ってはもらえていない、という感触がありました。



いやいや、するように娘さんは、一層激しく、お姉さんに顔を埋めて、頭を振っています。


(まだ娘は小さく、クーのように十分に声を聞き取ることができません)、クーが頭を横に振り、私を慰めるように伝えてきます。



(・・・!・・・そうです!)、いきなり、クーが名案を閃いたのか、ぽんっと手を打ちます。


御子みこ様、御手を・・・)、クーがどうしていいかわからずに、硬く握られていた私の手に触れてきます。


触れたクーの手を通して、本心から私を労わるクーの思いが伝わってきます。


それは、魂の一部が分けられた影響ではなく、本当に本心から私を労わってくれていることが伝わってきました。


多分ですが、私にクー記憶があるように、クーにも私の記憶、「蛇」の記憶があるのだけど、それをわかった上で、本心から私を労わってくれていることが伝わってくるのです・・・


(そうか・・・それがあったね・・・クー、ありがとう)、胸が少し軽くなった感じがしました。


(いえいえ・・・声で無理なら・・・娘の手に触れてやってください)、クーから良い提案だと伝わってきます。


(娘よ・・・大丈夫だ・・・ヒトガミ様は、悪いことをしない者には罰を与えはしない・・・安心しなさい・・・さあ、手を出してごらん・・・)、クーはそう娘さんに伝えてくれました。


・・・今、クーと手をつないでいるので、クーの言葉はわかりますよ?・・・



・・・娘さんは、恐る恐る、お姉さんの胸から顔をのぞかせ、私の方を見ます。


私は、怖がらせないように、ゆっくりと歩き、娘さんの目線に合わせるようにしゃがみます。


・・・娘さんは、不安そうにお姉さんと私の顔を見比べます。


多分、お姉さんも大丈夫、と伝えてくれたのでしょう、意を決したように、私を顔を見て、私の方に手を伸ばしてくれます。


その手は、まだ恐怖のせいか、ぷるぷる震えていました・・・


そして、その手を握ろうと、私は手の平を開きました・・・


(大丈夫、絶対、あなたを傷付けたりしないから・・・)、そう思いながら・・・



しかし、その差し出された私の手の平を見た娘さんの表情が、一変して恐怖に歪み、私の手に触れることなく、手を戻してしまいます。


・・・先ほど以上に、お姉さんの胸に顔を埋め、大きな『声』でこう言って、激しく泣きじゃくりました・・・


・・・・・・・『化け物!』・・・・・・



・・・大部分は、時間が経って白く透明になっていましたが、一部、残ってしまっていたのです・・・


・・・どうしていいか分からずに、硬く握られていた私の手の平・・・・




そこには、あの指導者の返り血・・・青緑色の血が残っていたのです・・・

@<某ロボアニメより先には書けんかったー、パクリじゃないんだからね!?(爆死)

・・・ミコ・クーは、疑惑の目で見ている・・・

拙い作品ですが読んで頂いて、ありがとうございます。皆様の応援が生きがいです!

ブックマークやコメント、誤字脱字、こうしたらいいよ、これはどうかな?、何でもお待ちしております。

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仕方ないんや! 蛸も烏賊も旨そうに見えるんや! 今年は烏賊が豊漁だそう。函館は漁獲量が少なかったらしいが。 なににせよ、旨い!
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