「なろう」と自分
ただ、大好きな作品を読みたいが為に、「なろう」の世界の扉を開いた。
初めはこの世界の仕組みをよく理解せず、きちんと「なろう」界の住人にもならないまま。
ひっそりと、こっそりと覗き見るように、世界の端っこに小さく小さくしゃがみこんで、ただただ大好きな作品だけをひたすらに見ていた。
一時期ブログにはまっていた。
自分のための自分だけの世界。
たまに訪れる来訪者からの「イイネ」にそわそわし、わくわくした。
ある日、その日の出来事を物語調で書いた。
楽しかった。
とても楽しかった。
でも、あくまでそこはブログであって、料理に関する日々のあれやこれやを載っけるような場所だった。
少し息苦しくなった。
水質が変わった?
違う、自分が変わった。
自分の中身が変わった。
本当に変わった?
ただ気付いただけなのかも知れない、元々持っていた何かに。
「なろう」に書くことについて、ネット検索をした。
本当に無料か? 誰でも書けるのか? 間違いなく無料か?
そうして自分は「なろう」の世界に恐る恐る住民登録をする。
そして、試しに書いてみた。
意外にも書けた。
他の人からどう見えるのかは分からないけれど、自分では満足なものが出来た。
ネットの世界は広くて狭い。
形なんて無い。
スマホの充電が落ちたら何も無い。
完全な無。
でも、ネットの世界は狭くて広い。
一つ一つの物語。
一つ一つに世界があって、一つ一つに命があって、一つ一つが生きている。
時々虚しくなることもある。
これが一体何を生む?
料理が出来る?
家が片付く?
でも、自分の心は満たされる。
きっときっと満たされる。