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お昼、中庭。
お弁当を広げたはいいが、今は食事よりも考える事がある。
「はい、あーん……まだ何か悩んでるの篭ちゃん? 封にも相談出来ない事?」
「(もぐもぐ)僕が解らないのにテメェが解るわけないだろ」
「ひどいっ! 封を下に見過ぎだよっ。……『竜関係の話』なら解るかもしれないのに(ボソリ)」
「竜?」
「な、なんでもないからっ」
突然厨二臭い事を言った気がするが、気の所為か。
僕もこいつもゲームとかアニメあまり嗜まないし……だからこそ、【コレ】を説明しても首を傾げるだけだろう。
何がキッカケか、前夜から見えるようになった『メニュー画面』? でいいのかな。
封に触れた時に、ホログラム? みたいなのが浮かんで来て、
【カラスの行水】【寝耳に水】【二兎追う者は一兎も得ず】
などなど……ことわざみたいのが箇条書きで表示されていた。
【寝耳に水】の金色文字の隣には『篭と同衾を五〇〇回』という……説明文? があり、達成済、という星印付き。
同衾五〇〇回……その程度なら昔どころか『今も』封としてるから、おかしくはない。
他は、【カラスの行水】……説明文は無いが、文字は銀色で、達成が近い事を示している?
これも同衾に近い封との接触で、今日まで何度もしている事と言えば……アレ、かな。
「大丈夫? おっぱい揉む?」
「揉まない。あ、それと封、今日家に行くから」
「え? うん! いいよっ」
「お風呂一緒に入るぞ」
「いいよっ」
これで検証出来る、した所で何だって話だが。
「むっ! 風紀が乱れる香りがしましたわ!」
ふと、一人の女生徒が風のように現れた。
長い金髪をツインテールにした、これまた巨乳の、いかにもな風紀委員キャラ。
「また貴方達ですのっ。こんな人目の多い場所で毎日毎日ベタベタと!」
「はい篭ちゃん、肉団子あーん」
「あ? 僕は今レンコン金平が食べたい気分だったのに、解ってねぇなぁ」
「無視しないで下さい!」
「なんですかぁ? 封と篭ちゃんの甘いひと時を邪魔しないで下さぁい」
「風紀が乱れると言ってるのですわ! 控えなさいっ。わたくしにはこの学園の風紀を正す使命があるのです!」
「えー? カップルなんて封達以外にも沢山居るじゃないですかぁ。封達はあーんしてるだけなのにぃ」
「貴方達は他とは違う生々しい空気を感じるのですっ。普通に過ごして下さいませ!」
「お断りしまーす。なんぴとたりとも封達の時間を妨げる事は出来ませーん」
「くっ、強情ですわねっ。全く……何故、貴方ほどの有名人が、これほどまでに『特徴の無い』空気のような方の側に……おっと、失礼」
「いいんですよー。寧ろ篭ちゃんの『魅力に気付かれた方がマズイ』ので」
「訳の分からない事を……んー? ここまで顔を近づけているのに、この方の顔付きが『ボンヤリとしか見えない』のは何故……」
「おい、アレって一年の竹取 天女(たけとり あまめ)ちゃんじゃね? 学園長の孫で大企業バンブーコーポレーション社長の娘の」「相変わらず風紀を乱すナイスバディだぜ……」「僕の下半身の風紀の乱れも取り締まって欲しいですッッ」
「っぅ……! と、兎に角、くっつくのは控えて下さいませっ」
「あら、顔を真っ赤にして行ってしまわれましたわね……って、口調が移っちゃったよ。面白い風紀後輩ちゃんだねぇ」
「封、次からあげ食わせろっ」
「はぁい」
相変わらず封の手作り弁当はホッとするお袋の味だなぁ。




