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——————

————

——


「……るさん。石榴さんっ」ユサユサ

「んぁ!」


ビクンッ


身体が跳ねると同時にガタッと揺れる椅子。

……、……寝ていたのか?

高い所から堕ちる、そんな夢を見ていたかのような目覚め。


夢の内容は……忘れた。


ってか、寝る前の記憶も曖昧だ。

外は夕暮れで、教室にはもうアタシと樹だけ。

こいつ、こんな時間まで側にいたのか?


「大丈夫すか、ボーッとしちゃって」

「あー、いや、別に——」


ふと、廊下から聞こえる女生徒のキャッキャという声と、ガラガラとキャリーバッグの駆動音。


「……なぁ。修学旅行って、いつだっけ」

「な、なに言ってんすか石榴さん、寝ぼけてるんすか? もう旅行は終わったっすよっ。予定通り、私達は『行かなかった』じゃないっすかっ」

「あ? あー……、まぁ、そう、なんだよな」


頷くが、あまり納得いかない。

この、記憶がスッポリ抜けたような感覚……蒐集品の攻撃でも受けたか?

今の所、体調の変化は見当たらないが。


「(ピロンッピロンッ)ん? 通知か……、……なんだこの画像」


送り主は龍湖とアニーで、それぞれ、メッセージアプリに一枚ずつ別の画像を送って来た。

映ってるのはアタシら四人で、楽しげな様子。


……こんなのいつ撮った?


二枚とも、どこかのテーマパークを思わせるような背景で。

しかし、こいつらとそんな場所に遊びに行った記憶など、無い。

が……この頭の隅がピリピリ痺れる感じ……アタシは、ここを知っている?


「ゲッ」


後ろで樹がそんな声を漏らすのと、同時に、


『オット、誤爆デース!』『気にしないで下さいね?』


画像はすぐに削除された。


「なんだ今の。なぁ樹」

「おおっとスイマセン石榴さん! 急用を思い出したので帰るっす!」


露骨な反応をした樹は、そのままバタバタと教室を出て行ってしまった。

なんだ?

アタシの記憶の欠如と、三馬鹿娘が関わってんのか?

なら、少なくとも悪意は無い……と思う。

例えばアタシ自身に嫌な事があったから、慮って、蒐集品を使って記憶を消した、とか。

そういった効果を持つ蒐集品はさほど珍しい物じゃないが……微妙に納得は出来なかった。


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