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「こういう魔法アイテムは使用者の不安定な精神がとびきりの餌だからね。その為か、魔物とか人外より、人間の方に持たせた方がパワーアップさせやすい……ってドリーは知ってるか。あ、前に流してたこれ、進化してら」


「だからって。魔法アイテムを持ってる者なら誰でもパークに通すのは良くない」

「んー? ああ、午前中にザクロちゃんの顔見知りが来たらしいねー。カップルのチケット奪って入ったんだっけ? ま、そのカップルは後で補償しとくよ」


あの件も、なのか……確かに、違和感はあったが……しかし、また一つ、答えを得た。

このテーマパーク、危険な蒐集品を普通に買えたり交換出来たりと危機管理ガバガバだと思っていた……そういう事か。

あえて流し、蒐集品を昇華(または蒐集品に新たな蒐集品を生ませ)させ、根こそぎ回収する。


その過程には、使用者に、周囲に、幸も不幸も混在するだろう。


それを解った上で寵は、こんな魔王的所業を繰り返している。

蒐集品を保存、破壊し不幸を広げないようにと活動するアタシの組織的には、この上ない巨悪。

だが……アタシはもう、寵を敵として見られない。

寵のそんな所業ですら、『まぁ寵なら』と気にしなくなってしまっている。

もう組織の一員としてまともに動けない……その事にすら情けなさや悔しさが沸かないほどに腑抜けてしまった。


……しかし。


そこまでして、寵が欲しいっていう蒐集品は何なんだ?

コイツの立場や顔の広さを持ってしても見つけられない物ってなんだ?


ドリーですら知らない事だ、殆どのパーク関係者も知らないだろう。

気にはなるが、アタシが手助けだのどうこう出来る話じゃないと、立場は弁えている。


——疑問に感じていた事の解答は、全て得たか?

……、……いや、まだだ。

得たかったのは『確信』。


「そういう話しじゃない。ザクロを不快にさせたのがダメ」

「愛されてるねー。でも、ザクロちゃんは心配されるほど弱くないぜ? 今日も色んな場面で園関係者を『守る行動』取ってくれたし。ドリー細胞による『パーク守護本能』は正常に働いてる。優秀な【駒】に育ってるよ」

「その呼び方好きじゃない」

「これでも優しい呼び方だぜ。彼女のママンとの約束、忘れてないよね? 『自分が目覚めるまで娘は好きに使っていい』って。二十歳になるまでは解放しないよ」

「無茶はさせない」

「はぁ……ホント『子供』に甘いね。君はザクロちゃんに限らず子供多いんだから、一人一人愛すには君一つの身体じゃ足りないよ」

「足りる。愛は無限大」

「その上過保護過ぎるし。ザクロちゃんに限っちゃドリー細胞持ちで死ぬのが難しいくらい丈夫だってのに、保険として当時三歳の僕に【時魔法リモコン】作らせるしさ」

「協力してやってるんだから当然」

「君への機嫌取りも楽じゃないよ。こうして定期的に『子供と会う機会』作るのも大変なんだよ? 離婚した夫婦かっての」

「シングルマザーの方が大変」

「話が通じねぇなぁ。ま、君がポコポコ子供作れば作るほど僕の手元に駒が増えるからいいんだけど。はぁ……誰でもいいから早く【目的のブツ】持って来てくんねぇかなぁ」

「いつまで『こんな事』続けるの」


「見つかるまでだよ」

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