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「——さて。じゃあそろそろ女子高生組はもう部屋に戻って下さーい。僕は事後処理とかの仕事で離れまーす」


「「「えええーーー!!!」」」


三馬鹿が同時に不満の声。

龍湖は分かるが、樹もアニーもそんな反応しやがって……半年も謎空間修行で一緒にいて、骨抜きにされたか? まぁ、相手が相手だから、落ちない方が不自然だが。

ヒラヒラと手を振りながら去って行く寵と、それについて行くドリー。

三馬鹿娘は、そいつらが見えなくなるまで、その姿を見つめていた。


「ぅー、寵さぁん」「名残惜しいデース!」「まぁお仕事なら仕方ないっすねぇ。戻りましょうか、石榴さんも」

「ああ」


アタシはポケットに手を突っ込み、

こちらに背を向け歩き出した三馬鹿に向け、


ポケット越しに『停止ボタン』を押した。

——ピタリ、動きを停める三人。


「悪ィな。後で解いてやるから」


アタシは、寵とドリーの行方を追った。



今アタシがしようとしてるのは、余計な真似だ。

突かなくていい藪から蛇(なんて可愛い連中じゃないが)を出すような行為。

それでも、アタシはどうしても『このモヤモヤ』を晴らしたかった。


——寵とドリーの行き先を見つけるのは簡単だった。


いや、『あの二人』だから見かけやすかったというのもあるのだろう。

ドリー細胞の影響なのか今は怖いぐらいに五感が鋭くなっていて、まるでパン屑でも拾うように二人の居場所に辿り着けた。

アタシはもう人間より魔物寄りなのかもしれないが……今更大した問題じゃない。


二人は、少し開けた木々の間に座り込み、地面に何かを広げていた。

さっき回収していた蒐集品の数々だ。

邪が持って来たブツの他にも、魔物達が鳥居での戦いで侵略者どもから回収したであろうモノも含まれている。

不思議だったのだ、魔物達がその気になればあんな連中もっと早く片付けられるのに、と。

アレは、蒐集品が壊れぬよう、手加減していたのか。


「うーん、こんなもんかなぁ。見た感じ、掘り出し物は少なそう。【欲しいの】は無いかな」

「だから。寵はどんなのが欲しいの」

「それは秘密」

「こんな回りくどい事しなくてもその『未来を観る力』使えば何が来るか予め分かるでしょ」

「元も子もない意見だね。僕的には極力この力使いたく無いんだよ、先の楽しみ無くなるし。何より、僕が欲しい物は『未来視に映らない』と思うんだよ」

「わけがわからない」

「いいんだよ、気にしなくて。ううむ、でもやっぱこの『やり方』は限界あるかなー。ああしてワザと外の連中焚きつけたのにー」


……やはり、というか。

今回の襲撃は、寵が誘い出したものだった。

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