表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/147

78



『【それ】をくちにすると、もうあともどりはできないよ』


……声が聞こえる。

くぐもった声だ。


まるで襖の中から聞いてるような、間に壁があるような。

声の主は【瓏】のようだが……しかし、何か違和感のある『冷たい声』。


『構いません。【この子】が助かるのならば』


これは知らない声だ。

が……昔、どこかで聞いたような懐かしさを覚える声。

と、いうか、本当にどこなんだここは?

意識はあるのに、身動きが自由に取れない。

生暖かい場所で、まるで……。


『そ。でも、わすれてないよね。ひゃくぱーたすかるけれど、そのあとのこと』

『はい、覚悟はしてあります。しかし、きっと……この子はどんな試練も乗り越えられるでしょう』

『どこからそんなじしんがわくのやら。たすからなかったほうが、ぜんぜんましな、ひどいじごくをみるかもしれないのに。ま、ぼくにはひとつの【こま】にすぎないからどうでも(コツン)いた! なにするの!』

『馬鹿王子。生意気言わないの。じゃ——これ食べて。その子はきちんと見守るから』


……今の幼女の声。

もしかして……。


『ありがとうございます……(モグッ)』


直後。

頭上が、日の出のようにパァーっと明るくなって————



「……んっ」


今の……夢、だったのか。

……夢? 寝てたのか? アタシは。

白い天井、消毒液の香り、背中にベッドの感触……

窓の外から差し込む夕陽……

確か、異世界の魔王城に居た筈じゃ……?


「むにゃむにゃ……まー……」


その寝言で、ベッドの上に何か載ってるのに気付く。

それほどに軽い生き物。


「起きた」

「ぅおっ。……んだよ、居たのかよ……ビビらせんな」


ベッドの側で椅子に座るドリーが、相変わらずの無表情でアタシを見ていた。


「何でここに……」

「どこまで覚えてる?」


……落ち着いて思い返せば、少しずつ思い出してくる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ