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20年◯月◯日 妃 寵(7)


今日は小学校入学式でしたが、何故か玲玲も猫仔も付いてきました。

まさか、明日からの学校もくっついて来るつもりじゃ、ないよね?



「ん? そういえば、この遊園地のやつも(パラパラ)……ん?」

「どうかした龍湖ちゃん?」

「時間が飛んでません? いきなり数年」

「まーそうだね。全ての日が日記になるわけでもないし。重要だったりなんでもない日だったり、割と適当に抽出されてるんだよ」


20年◯月◯日 きさき めぐむ(7)


案の定姉妹がプランさんの目を掻い潜り家から抜け出して学校にまでやって来ました。

猫仔に限っては、最近ママンみたいなテレポーテーションも覚えて、いよいよ始末に負えません。


「帰りなさい」

「おにーだっこしてー」「めぐーおやつー」

「聞こえんふりするな」


帰れと言っても聞かないので、静かにしてる事を条件に認めると、二人は僕にくっついてそのまま眠り出しました。

明日以降も来そうな勢いだったので、邪魔にならないよう一番後ろの席に変えてもらいました。

どちらもまだ甘えん坊ですが、素直な猫仔に比べ、最近玲玲は恥じらいを覚えてきたようで……それでも何だかんだ理由を付けて僕に絵本を読ませたり、おっぱい(昔冗談でやったら本人がハマった)をせがんで来ますが。

おっぱいの方の矯正は、すあまみたいな似た食感のおやつで我慢させましょう。


休み時間になると、姉妹は学校に迷い込んで来た犬のように同級生らに囲まれます。

この小学校自体パーク内にあって、従業員の子供だらけなので顔見知りも多く、人見知りな姉妹達も普通に受け答え出来ていました。

昔に比べたら十分成長していますが……『僕離れ』出来るのはいつになるのやら。


――まぁ。


なんやかんやで、あの時の『選択』は後悔していません。

『子育て』ならぬ『姉妹育て』は楽しいですし、僕も姉妹に支えられています。

若い方のママンには「愚かな選択をした」と今もグチグチ言われますが。

現在はもう、一つの平屋で三人暮らし。

数年前までは毎日プランが来てくれて家事をしてくれたり、糸奇さんと【奥さん】がご飯を持って来てくれたりしたのですが、僕一人でも何とか姉妹の面倒を見られるようになったので、大人が来る頻度も減りました。

……僕としては、その糸奇さんの奥さんに『来て貰わぬよう』家事を覚えた、というのが大きくって……だって、■■■……兎に角。

姉妹も簡単な作業は自発的に手伝ってくれるので、家の生活は苦ではありません。

ママン達と暮らせるのが一番なのですが、ママンは姉妹を睨み、姉妹はママンを怖がるので、お互いどうにも折り合いが悪く、まだ先の話になりそう。

ママンの性格を考えたら、姉妹とは一生打ち解けなさそうですがね。


――それはそれとして。


結局、四年ほど経った今も、姉妹の実の両親からのアクションはありません。

相手の特定はほぼ終わっているので、こちらからいつでも『乗り込める』のですが……

肝心の姉妹の方が、自分達が捨て子のような境遇だったと既に理解した上で、特に気にしてないのです。今のままでいいと、その意思だけはハッキリと口にして。


「おにー」「めぐーめぐぅ」


姉妹が左右に揺らして来ます。気付けばお昼休み。

はやく給食を食わせろと雛鳥のように訴えて来るのです。



「えっと……これはつまり寵さんは、そのまま『過去の世界に残った』という事で?」

「そうだね。あの子が決めた事だ」

「そこまでの覚悟が……で、でも、ちょこちょこ元の時代に戻ったりしたんですよね? 寵さんだって、時間を操る力を持ってるわけですし」

「どうだろうね。僕の知る限り『一度も』戻らないんじゃなかったかな」

「そ、それはどうして……? 元の時代には知人や、母であるグラヴィ様もいたのに」

「さぁて。それは僕も分からない。寵なりの『理由と覚悟』があったのかも。多分だけどその日記にも答えは書いてないと思うよ。今更だけど、一番最初の日記の『日付け』、見てみて」

「日付け? 寵さんが三歳の時にタイムスリップ日の、ですよね……(パラパラ)……あれ? これって確か……『今年』?」

「そ。つまり、本来の寵はこの時代、三歳のショタなんだよ」

「三歳? 三歳って……」


「さ、続き続き。『話が動く』よ。いや、『戻る』かな」


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