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16年◯月◯日 きさき めぐむ(3)
「まぁ来るのは知ってたけどもね」
「ですよね、糸奇さんなら」
つぎのひ、
ぼくはてーまぱーく【ぷらんてーしょん】につれていかれました。
いまとは、あとらくしょんのしゅるいも、まちのようすも、ぜんぜんちがいます。
ぷらんが、しきさんとはなしています。
ゆいいつ『ままんをたおした』、ふしぎなふんいきの、きれいなひと。
「貴様! 糸奇! 知っていたんならこのガキをどうにかしろ!」
「どうにかって? 既に仲良しに見えるけど? コアラみたいに抱っこなんてしちゃってさ」
「このガキが勝手にしがみついて離れんだけじゃ!」
「なら放り投げればいいのに。君だって『本能』で血の繋がる息子だと察してはいるんでしょ? 疑ってるなら未来視でもして確かめれば早いのに」
「確かめるまでもない! 我にガキなぞおらん!」
かくにんするに、どうもぼくは、15ねんまえにきてしまったようです。
しきさんやままんが、まだ10だいのせかいに。
「おーなんやなんや?」「魔王様の息子を名乗る不届き者が居るって?」「随分と肝が太い男の子ですわねぇ」
ぞろぞろと、みためがわかくなった、かおみしりなやつらがやってきました。
みんな、ままんをすうはいする、きょうしんてきな、ぶかたちです。
「むっ! 丁度良い! 貴様らも確認しろ! このガキの戯言を!」
「うー? (きゃぴ)」
「ッッ!? ……こ、これはあかん」「(トゥンク)」「まぁなんと愛くるしい」
「貴様ら!?」
「ほら、君の信者ですら寵に一目でメロメロだ。諦メロン」
「グラヴィ様! ウチにも抱っこさせてぇや!」「背中に乗せて飛び回りたいですねぇ」「要らないのならば貰いますわよ? ふふ、美味しそうな血……」
むー、すこしうっとおしいです。
ぼくのじだいでも、こいつらはぼくにべたべたしてきます。
そんなときは、いつも、『にらみ』ます。
「ぐぅ!? こ、この重圧は!」「ど、ドラゴンプレス(竜の暴圧)!」「この幼さで我らを止めるほどの威圧感……末恐ろしい」
「お、お前、本当に……い、いやそれより、貴様ら押し寄せ過ぎじゃ!」
げしげしと、ちばしっためのぶかをけりとばす、ままん。
「確認は十分だよね。さて。既にプランさんやグラには話してるだろうけど、寵。君は偶然出来た時魔法でこの過去へと飛んで来たけど、それは想定外な上、戻ろうにも魔法が上手く使えない……って事でいいかな?」
うなずく。
「ふむ。まぁ、帰りに関しては心配しないでいいよ。このテーマパークにはグラ含め、君を未来に送り返す『程度』の事お茶の子さいさいな従業員が多いからね、って……知ってるか。君は未来のプランテーションを知ってるんだから」
「我は手を貸さんぞっ」
「だからいらねぇって。あ、そいえば寵。グラの旦那、つまり君のパパって」
「余計な事を訊くな!」
「否定するなら訊いても問題無いだろうに……で、話を戻すけど、寵。君は今すぐ帰りたい?」
「ん……まだかえらない。■■だから」
「む? 今なんと申した?」
「そっか。じゃ、それまでこの『昔の世界』を楽しんでいってよ」
「無視するな!」
そうすることにしました。




