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【三章】41

【後日談】


「うーむ……うまく行かないものですねぇ」


「おや? これは偶然、龍湖ちゃんじゃないか」

「あっ、糸奇さんっ。初めまして振りですっ」

「うん。あ、その制服。今は君、学園に通い出したんだっけ?」

「はいっ。個人的にひと時も寵さんと離れたくは無いのですが、それでも通っとけと寵さんが……」

「何事も外の世界を知るのは良い事だよ。で、今日はどしたの? 大魔道図書館グリモワールにまで来て。読みたい本でもあった?」

「いえ。実は、ここで働いてる玲玲さんとお話したいのですが……猫仔さん同様、家でも学園でも警戒されているようで、未だまともな会話が無いのです。こうしてチラチラ覗いて隙を窺ってはいるのですが」

「まぁ分かってたけど、あの姉妹からしたら龍湖ちゃんは突然割り込んで来た異分子だからね。でも安心して、僕も姉妹に嫌われてるから」

「はえー。糸奇さんでも仲良くなるのが難しいとなると龍湖には一生不可能かもですね」

「わっはっは。まぁ僕はおっさんだからJKと仲良くなろうとしたら捕まるよ」

「糸奇さん、お姉さんにしか見えないんですがねぇ」

「けど、君はいくら誰かに嫌われようと、寵から離れるつもりは無いんでしょ?」

「当然ですっ。それが竜の巫女の務めであり龍湖の願いですっ」

「ふんふん。じゃあその心意気に敬意を評して、いいものを見せてあげよう。おっさんに付いて来て」

「ほえ?」


「――ここは? エレベーター、というやつには初めて乗りましたが……何だか今、凄い高い所に居ますよね?」


「うん。ここは大魔道図書館の丁度半分の高さのとこにある、『五色の間』の前だ」

「はぇー。上に登れば登るほど貴重な書物があるとは聞いていましたが、となると、この部屋にはここで一番価値のある本が?」

「そうだとも言えるけど、興味の無い者にはただの紙切れ同然。さ、中にどうぞ」

「鍵、は掛かって無いんですね」

「僕以外開けられない仕組みだし、どっち道中の本も『僕が側にいないと』読めないし」

「ある意味厳重ですねぇ。お邪魔しまーす……、……ふむ。中はそこまで広くなく神社の本殿内のような厳かな内装で……そして祭壇の上に……【赤い本】?」

朱漆喰あかしっくっていう本でね。元は僕の奥さんが創った本で、僕がちょいと手加えてる」

「ふむ。して、中身はどういった本で?」

「読めば分かるよ。『君の知りたいお話』が読める」

「なるほど(ぱらぱら)」



31年◯月◯日 きさき めぐむ(3)


きょうはそとで、きれいなおねえさんふたりに、こえをかけられました。

おひるすぎでした。


「お茶しない?」


となんぱをされたのでついていきました。

あたまをなでられたり、あーんされたり。なんだか、ふしぎときんちょうしない、ふしぎなおねえさんたちでした。

それで、いえにかえったあと、またあいたいな……なんておふろでかんがえていると、いいことをおもいつきました。


そうだ、ままみたく『じかんのまほう』がつかえれば、またあのときにもどれるって。


いちどもためしてなかったけど、ぼくはままのむすこだから、できるはずです。


「■■■■■■」


だから、ためしにつよくねんじてみました。

すると、あっさり、せいこうしたのです。

でも、そこはおひるすぎのじかんではなくて。


15ねんまえ、でした。



「……、……ふむ。これは……日記帳、ですか? 寵さんの?」

「みたいなものだね。これさえ読めば、君の知らない寵の過去から現在までを知れるよ。同時に、あの姉妹のも、ね」

「はぇー。こまめにですねぇ寵さん。そんな昔から日記つけてるだなんて」

「や、これは寵が書いたんじゃなくてね? 元々嫁の本って説明したけど、本来は『嫁自身が目にした人の過去を見られる』って本で。それを縁の神だった僕が弄った事により、『読んだ人が関わった人物の過去を調べられる』本にアップデートしたわけ。まぁ僕が側にいる前提で使える、って条件付きだけど」

「???」

「要は、君が今まで出会って来た人の過去を日記という形で見られる、そんな本だと思って。今君は寵の事を知りたいと思ったから、あの子の過去が本に映し出されたのさ」

「おお、凄いですねぇ。では続きを読みましょう」

「うーん。もうちっと躊躇すると思ったけど」

「普通はそうなのですか?」

「人によるけど、大抵は『仲良くなって本人の口から聞く』って素直な人が多いかな。勝手に調べて『罪悪感』を覚えるんだとか」

「んー。龍湖にはそういうこだわりはないですねぇ。寵さんも細かい事は気にしないのでは?」

「理解してるねぇ」

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