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「因みにですが、王者だった彼女を制したという事は、次の王者は貴方に?」
「ふ、ふええ……格好いいです……」
「表の、はね。闘技場には『裏』もあって、そこのレベルはホント頭おかしい。パパンとかおばぁクラスがウジャウジャいる魔境で、今の僕じゃ足元にも及ばないだろうさ。――さて。はい、ここは銭湯です。身体を綺麗にする所です」
「その英語の教科書の翻訳みたいな言い方はなんですの」「お、お風呂……(赤面)」
久しぶりな僕視点という事でここでお色気要素をぶち込もうとお城な外観のお風呂施設にやって来た僕達。
しかし、姉妹はそこまで乗り気じゃ無くって……。
「というか、わたくしは入る気ありませんわよ? 化粧も落ちてしまいますし折角整えた髪も崩れますわ」「う、うん……」
「んだよー細けーこと言いやがってー。でも! そんな女の子にも安心! さっきナヨさんとこでくすねてきたこの百年物のレトロカメラ【移るんです】を使えば、『今の状態』を保存出来るぞ!」
「堂々と盗難を白状しましたわね」
「じょ、状態の保存……例えば、スッピンになってもすぐに保存していた化粧顔に戻れると?」
「そ。顔や髪型どころか、『若い頃の姿』を保存しておけば『記憶を保持』したまま戻れるよ。」
「す、凄いカメラですっ」
「難あり商品ばかりなおばあさまの店に流れついたのを見るにまともな歴史を歩んでは無さそうですわね……」
「(カシャカシャ)はい保存完了っ。さ、行くぞォ!」
「行くとは一言も……」
「あ、天女ちゃん、諦めよ……」
――施設の中に入る僕達。勿論、こういう場での利用料も全てGだ。潤沢にあるのでその辺は誰も困らないけど……考えたら、みんなでG稼ぎをするデートも良かったかもね。
それから、僕達は更衣室に場所を移して。
「ここには色んなお風呂があるんだよー。楽しみだねっ」
「それよりここは『女子更衣室』なのですが?」
「き、着替え……二人きりならまだしも……」
「なんだい、僕の着替えを見るのは恥ずかしいって? さっきスッポンポン見ただろー」
「「そういう意味ではないです(わ)っ」」
よくハモる姉妹だな。さては仲良しだな?
「篭、どうでも良いから早く風呂に行くぞ」
「おばぁはいつまでいるんだよっ。親族が近くに居るとなんか心情的に女の子にエッチなセクハラしにくいだろっ」
「知らんわ」
「道理で先程から大人しいと……」
「い、意外に弁えてます……」
「てかこのババアもう脱いでんのかよっ。じゃあ僕も脱ぐか(ぬぎっ)」
「じゃあではありませんわ!」
「あ、あわわ……また妃さんのハ、ハダ……」
ポイポイと脱ぎ捨てた服をロッカーに押し込み、姉妹に向き直ると、二人とも目を逸らしていて。
「いやぁ新鮮だなぁ。生まれてこの方、仲間にも一般客にも、女子更衣室にいるの疑問視された事ないのに」
「それは、まぁ」
「い、今もそうですが、妃さんの見た目で疑う人は居ませんし……」
「ま、一般客相手には目立たなかったのあるけどねー。さ、もうこっち見ていいよ。ちゃんと隠してるから」
「はぁ……(チラッ)」
「ぅぅ……本当に隠してますか? (チラッ)」
「「って、『なにで』隠してるんです(の)!?」」
「む? (首回し)貴様篭! また我の頭を遮蔽物代わりにしおって! 後頭部に『当たって』おるぞ!」
「おばぁの頭の位置がほんと絶妙なんだよねぇ」
「初めてでは無いんですの……」
「ぐ、グラヴィ様をこんな扱いに出来る妃さんは、ある意味ここで一番のヒエラルキーですね……」
「ほらほら、久しぶりに背中流してやるから」
「……全く、今回だけじゃぞ」
と諦めた様子のおばぁは、本当に僕に甘い。
おばぁの両肩に手を置き押して進みながら「ほらー、行くよー二人ともー」
「……ぅぅ(ぬぎっ)」
「お姉様!? 彼の前で肌を晒すつもりですのっ?」
「わ、私一人で『満足』して貰うから、天女ちゃんは……」
「ッ! またそうやって! ええ分かりましたわよっ(ぬぎっ)」
何やら姉妹にしか解らない遣り取りしてるようだけど、僕はJKの裸が見られるなら背景なんぞ気にしない心の広い男。