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これ以上シールドを何枚重ねて強度を上げても飴細工のように容易に突破される。ママの出すような分厚く硬いアレなら防げるだろうが、今の封には無理だ。

どんな封の攻撃もこの子には通らないし、この子の攻撃は封には防げない。

解っていた事だ。まともに戦っても今のこの子相手に勝ち目は無い。

――けれど。ここは闘技場だ。


「やぁ!」「おっ」


余裕しゃくしゃくで油断していた篭ちゃんに、封は防御壁をぶつけた。

しかし今まで通りのやり方では塞がれる。なら、『やり方』を変えればいい。

ぶつけてダメなら『囲う』。


まるで防具――本来もこう使う――のように両腕両脚を長方形のシールドで包むのだ。今回は更に『間接』も含めて。


するとどうなる? 「ぐえー」このように必然、バランスを崩し前のめりに倒れてしまう。

この封の機転には観客も オー と感心の声。


「ふふん。油断したね篭ちゃんっ。いくら君の馬鹿力でも動けなきゃ意味ないよ!」

「ぐぬぬ。まさかここまでの制御を出来るまでになってたとは……敢えて今まで見せてなかったな?」

「そのとーりっ。今までの攻撃もゆるゆるな防禦も全て君を油断させる為の布石だよ!」

「本気で焦ってた癖に」


うつ伏せのまま情けない姿を晒してるというのに、クククと笑って、この子は未だ焦る様子が無くって。


「いつまでそんな余裕な態度なのかな? もう篭ちゃんに出来る事は無いよっ。無様に足掻くよりカッコよく降参しなっ」

「ふっふっふ」


また笑って……一体この状態から何が……、……待てよ。

今封じてるのは腕と脚+間接部。『手』や顔含む頭部と胴体はそのままだ。

例えば、グラヴィ様ならこの状態でも胴体を反動で飛び上がらせて立ったり、咆哮の音波でこんな拘束を破壊も出来るだろう。

もし、今の篭ちゃんにもそこまでのパワープレイが可能だとしたら……いや。篭ちゃんに『もしも』は無いっ。


「その笑い顔を曇らせちゃる! 駄目押しだよ!」


フッ ―― ドドドドドッッッッッ!!!!!


篭ちゃんの上空に顕現させたシールドを、頭部も胴体も、全身をガチガチに固めるように大量に降らせた。

攻撃でなく、拘束。壊せないなら、壊さない。

地面の砂埃がモクモクとあの子を隠すも、確認するまでもなく、封の勝


――ヒュ ピシッ


……風?


煙の中から、まるで輪ゴムでも放たれたような、小さなそよぎ。

それが、産毛を撫でるように優しく、服にカスった。


視線を落とすと、火鼠の衣に『擦り傷』。

後ろを振り返ると、壁に『引っ掻き傷』。


いや……それは引っ掻き傷のような五本線の痕だが、傷というより『穴』で、分厚い壁を突き抜けてどこまでも……


血の気が引いた。


これは、まさか!? 封が気付くのと同時に ザワッ となる観客。


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