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これは……封さんからのメッセージ?


「姿が見えないと思えばなにを企んでらのやら。ま、次は闘技場観戦もいいかもね。おばあ、ここまでゲートってくれたら背中流してやってもいいぞい」

「なぜ我が……しかし、我も『この先の確定した未来』をこの目で見るのに興味がないわけでもない」

「お、未来視で何か『面白い物』が見えたんだね? なら連れてってくれるんだ。ついでに後ろの二人も」

「グルルル……貴様だけに決まっとろうっ、来いっ!」

「ちょ、そんな無理やり……あっ、二人も闘技場来てねっ、カタログとか腕のデバイス使って場所を」


妃さんが最後まで言い切る前に、グラヴィ様のかざした掌からバランスボール大の【黒い球体】が現れ、二人を飲み込み、フッと消えました。


――後には、騒ついたままの客と、従業員さんのため息と、残された姉妹だけ。


「行きましょうか、お姉様」

「え? う、うんっ」


先行する天女ちゃんに慌ててついて行きます。……やけに落ち着いてる彼女。昨晩少しギスってしまったので、可能な限り仲直りしたいんですが……。


「闘技場、という場所は、どうやらこの近くに止まるバスですぐのようです」

「う、うんっ」


と、言っても、数年ギスっていた姉妹仲……そう簡単にキッカケは作れません。妃さんのような陽気な方が仲介役としてこの場にいれば……いえ。そもそも言い合いの原因は彼でしたね。


――バス停に着き、数分待つと、バスはすぐに来ました。【ブラックバス】という名の巨大な魚が地を這い四十ほどある客席を運ぶ乗り物のようですが、今更大して驚きませんでした。乗り心地も車より揺れず快適でしたし。

……さて。このバスでの道中、このまま黙っているのは得策とは思えません。

闘技場に着けば、否応無しに周囲が騒がしくなるでしょう。話をするなら、この落ち着いたバスの中が最適……


「『懐かしい』ですわね。随分と中の様子は変わっていますが」


……え?


「あ、天女ちゃん? まさか……思い出して?」

「あらお姉様。その言い方ですと、ここの来園経験者だと自白しているようなものですわの」

「ぅっ! ……ぅぅ」

「いえ。意地悪を言いたい訳ではありませんわ。ただ、『確認』がしたいだけです。互いに『認識』を照らし合わせたいだけ」

「ま、待ってっ。(ひそひそ)ど、どこで誰が私達を監視してるか……」

「竹取の女が何を怖気づいて……そも、わたくし達凡人の秘め事など筒抜けでしょう。この腕時計デバイスに盗聴器が付いてる可能性もありますし」

「そ、それは……そうだけど」

「堂々としてればよいのです。敵地でも平然堂々と商売する逞しいおばあさまのように」


それを言われては返す言葉もなく……私達は互いに思い出せた範囲を共有し合います。

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