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26

――そうこうしているうちに(走行だけに)車は橋の端まで辿り着き、島の入り口である【巨大鳥居】前に。


「ここから先は守衛さん達にチケット見せなきゃ通れないんだけど(ウイイン)おーい」


僕が窓から顔を出し手を振ると、守衛さんらはこちらにペコリと頭を下げ、道を開けてくれた。


「さ、メイドさん、進んで進んで」

「……疑問に思っていたのですが、貴方はこの先ではどのような立ち位置なのです? 親が関係者、というのは聞きましたが、それだけにしては……」

「態度がデカイって? ま、すぐに分かるよ」


発進した車は、鳥居をくぐる。と、同時に、車のカーナビ画面が真っ黒に。


「あ、あれ? すいません。故障、ですかね?」

「や、違うよメイドさん。鳥居から先は『異界』でね。ここはもう『日本じゃ無い』」

「は、はぁ……」

「それは何かの暗喩ですの? まぁ、そういう『演出』なのかもしれませんが……おや? スマートフォンも圏外に?」

「スマホもネット使えなくなるよ。ま、後で利用者に『園内限定』のタブレット配るから連絡取りたいならそれ使って。『外』との連絡は取れなくなるけど」

「成る程……『外の世界を忘れてもらう』という演出と考えれば多少強引ですがアリですわね」

「(ボソッ)……演出じゃないんだけどなぁ」

「うん? 仙女ちゃん、さっきから静かだけどお腹でも痛い?」

「い、いえっ? どこから周ろうかとカタログを眺めてたんですっ」

「そこまで楽しみにしてるだなんて子供みたいだな。ま、予想以上のモノは約束するよ」


それから、僕が誘導した駐車場に車は止まり、僕らは降りる。


「では、明日の昼過ぎに迎えに来ますので」


そう言って、メイドさんの車は走り去った。


「……一泊二日、との事でしたが、カタログを見る限り、数多くの魅力的な施設を一日で周るのは難しそうですわね」

「そうかな? この異界内は『時間の流れが遅い』から、外では一日でも中じゃあ『ひと月』だよ?」

「……成る程、それが本当であるならば、着替えはもっと持ってくるべきでしたわね」

「別にここで全て揃えられるから気にしないでいいよ」

「皮肉で言ってるんですのよ!」

「なんだい、カタログにもそう書いてたってのに。まだここが異界だと信じられないんだね? ま、そんな君の常識や固定観念はすぐに覆されるよ」

「い、一体何を……?」


怯える天女ちゃんの顔はやはり良いものだね。――と。丁度いいとこに『居た』な。


「え? な、何か足元がモゾモゾと……きゃっ!?」


ピョンと飛び跳ねる仙女ちゃん。

そこには――プルプルと震えるサッカーボール大のソーダゼリーのような生き物が。


「な、何ですのコレは!」

「どう見ても【スライム】でしょや。知らない? 仙女ちゃんは知ってるよね?」

「は、はい……ゲームでは定番のモンスター、ですよね?」

「も、モンスター? あ、ああ、成る程。そういった定番のキャラクターも、世界観造りの為のロボットか何かなのですね?」

「よっと(ヒョイ)この子がロボットかどうか触って確かめてみな」

「ええ……(プニュ)若干生ぬるいですわっ」

「(プニュプニュ)あ、あったかい葛餅みたいな感じです……」

「おふっ、台詞だけ聞くとエロいげふんげふん」「ピキ!(ピョン)」「「キャッ!」」


突如、プニプニされていたスライムが跳ね飛び、僕の頭の上に。


「あ、言い忘れてたけどこの子メスだから女の子に触られるの嫌がるよ」

「「ええ……」」

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