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「昔から『お姉さん達に囲まれてた』から可愛がられ慣れてるのさ。あ、みんな聞いて。昨日天女ちゃんを助けたのは僕なんだよ」

「「「お――ーっ」」」パチパチパチ

「だ、駄目押しとばかりにサラリと切り込んで来たです……お父さんも信頼するメイドの方々に気に入られれば竹取家を乗っ取るのも容易い……無自覚に傾国の姫をやってる気がします……」

「何をブツブツ言ってるんだい。ほら、次はみんなで脱衣スマブラやるよ。全員素っ裸にしてやる……!」

「や、やめてくださいっ。そこまで真剣な顔は初めて見ますっ」


そんなほのぼのとした遣り取りに、メイドの中で一番偉そうで歳も上であろうお婆ちゃんメイド(煎餅くれたお婆)が「ふふっ」と微笑んで、


「懐かしゅうございます。昔も皆でよくこうして集まっておりましたなぁ。仙女お嬢様の心からの笑顔を見たのも久方振りですじゃ」

「お、お婆ちゃん……は、恥ずかしい……」

「あの頃は天女様も混じって……家全体が明るかったですじゃ」


しんみりとなる部屋の空気に、僕は首を傾げる。


「そんなの、別に今日これからでも実現可能でしょや。天女ちゃんが帰って来たら」


メイド婆は顔をハッとさせ、それから寂しそうにクスリと微笑み、


「……その通りでございますね。お客様には敵いませんですじゃ」


オホホホホとメイド一同が上品に笑い出した。なにこれ怖い。俺、なんか言っちゃいました? (笑)


「――さて。我らはそろそろお暇します。仕事も残っております故」

「そっかー。メイド侍らせるのは王になった気分だったのになー」

「……王、でございますか……、……お客様。付かぬ事を伺いますが、もしや【きさき】のご子息ではございませんか?」


うん?


「そうだけど、よく分かったねお婆ちゃん。僕がウチのお婆に似てるから?」

「……なるほど。この方があの【魔王】の……ならば天女様も容易く助けられよう……察せられなかったのは『件の封印』が……」

「仙女ちゃん、このお婆ちゃん耳が遠かったりする?」

「き、妃……というのは、貴方の姓ですか? 思えば、私はこの瞬間まで、貴方ほどの方の『名を知ろう』とすらしなかった……ああ……『そうでした』ね……しかし何故……」

「こっちもこっちで自分の世界入ってるし」


うーん……遊んだだけじゃ一向に『進捗が無い』か。仙女ちゃんの家に来れば『何かある』と思ってたのに。

――と。


「た、大変ですっ。旦那様が帰ってこられましたっ」「お、お父さんが!?」


ざわつくメイド達と仙女ちゃん。何か都合が悪いのかしら?


「皆さん仕事に戻りましょう。旦那様がこの部屋に来ます。仙女お嬢様はベッドの方に。妃様は……申し訳ございませんが、クローゼットの方に身を隠して頂きたい」

「なんで?」

「……手っ取り早く説明するなら、貴方のお父上と過去、紆余曲折……」

「把握した」


パパンは多方面に顔が広いから、当然敵も多い。息子の僕が逆恨みされちゃたまらないよ。

メイドさん達が出て行き、仙女ちゃんは布団に入り込み、僕も隠れる。


「……あ、あの、どうして、『私の布団の中』に隠れているんですか……?」

「クローゼットの中だと何がきっかけで物音立つか分からないからね。その点布団の中は防音完璧だ。少しもっこりするけど」

「な、なるほど……?」


――ほどなくして コンコン 部屋の扉をノックする音。

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