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■ 幕間 ■
「――グラヴィ様、よろしいですか?」
「封か。なんじゃ、こんな夜更けに」
「既にお気付きの事と存じますが……篭ちゃ、篭様についてです」
「ああ……奴め、ここ数日で『取り戻して』きておるな。本人にその自覚は無い様子じゃが」
「はい。まさか……今まで力を隠していたのでしょうか?」
「いや、それは無いじゃろう。力と共に徐々に湧き出した『存在感』が何よりの証拠。なぜ急に今になって? と疑問はあるがな」
「……やはり、血、なのですかね。グラヴィ様から継いだ遺伝子が、このまま静かに大人しくしているわけがなかった」
「で、本人に変わった行動は無いのか?」
「それが……今まで交流も無かった特定の女生徒に、何やら執心の様子で(ギリギリ)」
「心中が顔に出ておるぞ。ふん……貴様ならば安心と篭の隣に置いてやったが、よもや揺らいではおるまい?」
「も、勿論ですっ。篭様に対する思いはただの忠義! と、特別な感情など……」
「時に、篭の奴。『艶』も出て来たのでは無いか?」
「そうなんですっ。父である瓏さん譲りの色気が滲み出て来てますよねっ」
「……」
「コホン……、……しかし、色気という物は『大切なモノを喪って』初めて湧き出る物と瓏さんも言ってました。やはり……『思い出した』のでしょうか?」
「その件は今は置いておく。お前はこのまま奴を泳がせておけ」
「ええっ!? ただでさえ他の女の子とイチャイチャしてるのに!?」
「それでも、じゃ。確かにヤツが完全に『目覚め』てしまえば誰も止められない。が……『時期』が来たのじゃ。腹立たしい……が、これも全て【バカ息子】の思惑通りか……」