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「ふー、食った食った」


自室のベッドで寝そべる僕。

港の近くにあったオシャレなお店でチーズのたっぷり乗ったシーフードピザを貪ったのだ。え? 肉食うんじゃないのかって? 気分が変わった。


——さて、それで、だ。今日のおさらい。


今日は今日で、イベントも程よくあって。

中でも、天女ちゃんとのデートイベントは後半がそれなりに盛り上がったと思う。

デートは家に帰るまでがデート。


誘拐イベントの事を教えてくれた彼女の姉、仙女ちゃんにも感謝しなきゃ。


仙女ちゃん……彼女には『未来を視る眼』があった。

ソレのお陰で、妹がピンチになる未来や監禁場所が分かったのだと言う。

『非現実的』だとは思うが、実際、天女ちゃんを救えたんだし、信じる他無い。未来を知っていたんなら『家の人間に言う』とか『妹の予定を上手くずらして未来を変えたり』とか出来そうだが……そこはまぁ、よくある『運命の強制力』だの何だので変えられないのだろう。

彼女に関しては、約束通り、明日からどう弄り倒してやろうかと心が躍る。

で、妹の天女ちゃんだが……朝に胸を触った時に見た実績、飯がどうのこうの?というヤツは、先程の別れ際に確認した際には『達成済み』になっていた。

達成条件は、『白馬の王子様に助けられる』。

この場合、王子様は僕の事だろう。

もし、仙女ちゃんの言うように実績を達成すればその者の『能力が上がる(増える)』というなら……天女ちゃんにも何か特技が増えてるかもしれない。メニューにチラリと『宝箱マーク』を見た気もするし。今度、確認しよう。


そして、封……こいつはあからさまに僕に隠し事があるようだが、まぁ、今は泳がせるつもりだ。


僕の為になのか、自分の為になのか、誰かの命令なのか……それも含めて詮索するつもりは無い。僕に関する『答え』をそのまま訊いてもつまらないしね。

……そういえば、封は『アレ』をドラゴンがなんちゃら、と言ってたな。

僕は、自身のメニューを開き、瞳に映す。

予定通りなら、僕が朝に天女ちゃんに触れた瞬間に僕の【宝箱】が……お、開いてる開いてる。

『GET! 竜の暴圧ドラゴンプレス!』

そうそう、プレスプレス。


何々——『睨めば自分より弱い相手ならば跪きます』——か。


僕があの時使った技? だよね。『無意識』に。

まるで『初めから持っていた』かのように、僕はコレを使いこなせた。

GETした実績がすぐに身体に馴染んだ、なんて説も否定出来ないが……僕は、コレに『既視感』があった。昔からよく『見て来た』ような既視感。


「——よっと」

「うん?」


いつものように、音も気配も匂いも感じる間も無く空間魔法で現れる祖母。


「はぁ……だから勝手に思春期の孫の部屋に入ってくるなつってんだろババア?」

「あん? そのような生意気な口上は我を少しでも臆させてから吐くんじゃな小童」

「おぅ、言ったな?」


丁度いい、これ以上の実験体は——居ないっ。

ズンッッッ!!!


「…………貴様」


くノ一ちゃんに向けた睨みは軽めだったが、今は本気も本気。

だってのに、僕の渾身の威圧に、祖母が跪く様子は無い。

『分かっていた』事だ。

けれど、多少苛つかせるぐらいの効果はあったようで……祖母の周囲の大気がゴゴゴゴゴと震えている。昔からずっと幼な子のようにしか扱って来なかった僕を、男として意識させた。

大金星だ。


「『ソレ』を我に向けるとは、無礼なりッ!」「ぐべっ」


逆に祖母に睨め付けられ、ベッドの上で潰れたカエルみたいになる僕。

……なるほど、既視感はコレか。

僕は竜の暴圧を、昔から祖母のそばで見ていた。(たまにヤられてた)


「ギブギブぅ……」

「ふんっ、余裕そうじゃな。この威圧は我がまだ『前の世界』に居た頃、立ちはだかった『勇者一行』に向けたのと同程度のソレじゃが……希代と呼ばれたそいつらは一瞬で『折り畳まれた』というのに、貴様はまだ泣きベソをかけるか」

「余裕じゃ無いよー、背中に大人がのってるくらい辛いよー」

「マッサージレベルでは無いか。全く、一点集中型で無く広範囲型ならば、この程度でも大都市を『巨人が寝返りを打った』が如く更地に出来るというのに……『血』と『丈夫』に生まれた『宿命』に感謝するんじゃな」


スッ——


「お、軽くなった。ったく、まぁたババアが『厨二臭い妄想』話してるよ」

「……なるほどな。貴様、今なお『その認識』か」

「なにがぁ?」

「これに懲りたら二度と我を睨むでないぞ。——ヤレヤレ、この様な不敬は【馬鹿息子】以来じゃわい」

「おーい」


祖母は何も言わず、僕の部屋から出て行こうとする。まぁた意味深ムーヴか。


「あーあ。おばぁ一人倒せないようじゃ僕もまだまだだねぇ」

「……未だ『最狂』たる我をそう評するとは、大物か、ただの阿呆か……ふん、案ずるな。貴様は『その程度』では無い」


励ましの言葉なのか、ただの事実を口にしてるだけなのか。

何をしに来たのか分からない祖母は、そのまま去っていった。

……寝るか。

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