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——違和感は、外に出てしばらくして、徐々に形となって現れてくる。
通学中、集まる視線が多い。
いや、普段から封と行動してるから封に対する周りの視線には慣れたものだったが……今日は、その方向が一方的でなく感じる。
おかしいのは、封の隣にいる僕を見てるというより、封の隣にいる【何か】を見てるような視線の多さ。
皆が封の隣を数秒見て、アレェ? と首を傾げている。
不気味だ。見られているようで見られてない。
「なーんか不快だなぁ。喧嘩売られてるのかしら?」
「き、気にしないでいいよ篭ちゃんっ」
まるで、僕が存在感だけは有る幽霊のようだ。
「——お二人ともっ、おはようございますっ」
ハキハキとした声と共にツインテを揺らす美少女。気付けば校門前にまで来ていたらしい。
「聞こえませんでしたか? おはよーござ……い?」
後輩で風紀委員の天女ちゃんだったかな? その子が僕と目が合うと同時に固まる。
それからジッ、と顔を近づけて来て。
「貴方……昨日は気付けませんでしたが、綺麗な顔をしてらっしゃったのですね……美少女さながらな」
「ていっ(ぶにゅにゅん)」
ティロン
「——なっ。ななな!? (バッ!)何故唐突に躊躇無くわたくしのむ、胸に手を!?」
「いや、急に来たからびっくりして」
「そ、そうなんですの……その割にはふた揉みほどされたような気がしましたが……事故なら仕方ありませんわ」
「こ、こらー! 篭ちゃん誑かさないで!」
「揉まれた上に理不尽ですわ!?」
「(ヒソヒソ)おい事故ならふた揉みまでオーケーらしいぜ」「事故なら仕方ねぇ……」「どさくさに紛れて封ちゃんのも……」
ギロリ、二人の美少女に睨まれ外野は目を逸らした。
「おらっ、行くぞ封」
「はいっ」
「何だったんですの……ん? これは……」
これ以上足止めされないように、僕と封はそそくさと校門を抜けた。