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学校からそのまま封の家に行き、夕食をいただいて、その後――。



ワシャワシャワシャ……


「かゆいとこありますかぁ?」

「右耳の上ー」

「あいよー」


慣れた手つきで僕の頭をアワアワする封。

しっかし、僕の背中で潰れる彼女のおっぱい、昔はフニョンで少し前までポヨンだったのが今はボヨンッて感じで、年々圧力が増している。

成長が分かりやすくて羨ましい限りだ……僕なんて昔からヒョロンなのに。


「お客さん考え事ですかー? 相談のりますよー」

「うざい、美容室じゃ話し掛けられるの嫌なタイプなの。行った事ないけど(おばあちゃんに切って貰ってるから)」

「わかるー」


何だか今日は妙に探りを入れてくるな封の奴……おっぱいと共に纏わりつくような視線も感じるぞ。

因みにだが、今の所まだ『条件達成』にはなってないらしく、封とのお風呂回数も三九九回表示のまま。

浴槽に一緒に入るのが加算の対象なのかしら。


「よしっ、髪流したし風呂入るぞっ」

「おっけー」


飛び込むような勢いで、ザボンッと浴槽へ。


「ふぅ……」


チャプ……チャプ……

湯気、ヒノキの香り、熱めの濁り湯、『ウサギ耳』、浮かぶ乳、乳に滲む汗。

さて、どうなることやら?


――ティロン!


と、そんな軽快な効果音が、不意に浴室に響く。


「ん? どうかした?」


封には聞こえなかったらしい。


「いや、何も?」


言いつつ、ぺたり、封のほっぺに手を添える。


「んっ……な、なに? エッチな気分になって来ちゃったの……?」


瞳を麗わせハァハァと息が荒くなってくる封。お前がなに発情してんだ。


ふむ。メニューを見ると、実績名【カラスの行水】の所に実積達成の星印。

内容は『篭との混浴四〇〇回』か。

混浴は予想通りだが、今回で丁度四〇〇回目達成とか……これだけシてきた事に少し引くな。

しかし、何か変化があると期待したのだが、やはりただのやり込み要素か?


「ふぅーっ、ふぅーっ……な、なんだが凄く、身体があついよぅ……篭ちゃぁん」


トロンとした表情で身体を擦り付けてくる封。心なしかウサギ耳もいつもよりピンッと勃っている。


「なんだかね、おかしいの……急に篭ちゃんを好きって気持ちが溢れてって……止められないの」


『オオミミオニウサギ族』である彼女は、相手を(色んな意味で)食べて力を増していくという欲求に素直な種族。よって、『性欲』旺盛な体質は昔から知っていたが……流石に唐突すぎる。


「ほ、ほねがひ篭ひゃん……ふっひり……はへへ……」


『解消』させるの面倒なんだよなぁ。

まぁ、シない方が面倒だし……と、僕は封のいきり勃つ両耳を強めにガシッと握った。

ドクンドクンといつも以上に脈打つウサギ耳。


「ッッッ」


ブルルと封は身体を震わせ……直後、【粘つく何か】が耳の先端から放出され、壁に衝突。グラッと浴室全体が揺れるほどの勢い。


「…………っ、はぁ! ……はぁ……あり、がと……篭ちゃん」


スッキリしたのか、萎えた耳のようにくたりと僕に身体を預けて来る封。

封が放出したのは【魔力】。

成長期のウサギ族が度々こうして溜まり過ぎた魔力を処理するのは珍しい事じゃない。

だが、なぜ今?


「ふぅ……上がろっか、篭ちゃん」


何か思う事があるのか、封は今の事には特に触れず、フラリと立ち上がった。



――湯上りの後。


「ねぇ、篭ちゃん。今日、ガッコで目立ってたね」


封の部屋。

ここにあるのは写真や変な置物など、僕との思い出のモノばかり。

そんな封は今、クーラーの効いた室内でベッドに座る僕の太腿の上に頭を預けている。

まだ身体に熱がこもってるのか、じんわりとした体温が伝わって来る。


「いや、いつも通り空気だったでしょや。有名人の近くに居て悪目立ちしてただけで」

「だとしても、それですら今まで気付かれた時無かったでしょ」

「だっけか?」


気にした事が無かった。『不自然』な程に。


「篭ちゃん、『何か』した?」

「別に? みんなが『僕の魅力』に気付いたんでしょ」

「……なら、『大問題』だよ」

「なんでやねん」


ま、僕に起きたこんな『非現実的』な現象を説明しても、封は信じないだろう。

てか、この実績閲覧? の力と目立った云々に因果関係はないと思うし。

ふと、時計を見る僕。おっと、こんな時間だったか。


「もう遅いし、僕ぁ帰るね」

「えー、泊まってけばいいのに」

「やだよ。泊まったら『食われそう』だし」

「否定出来ないなー」


僕は封の部屋にあるスタンドミラーの前に立ち、『潜り抜け』た。

後ろから


「また明日ねー」


と封に声を掛けられながら。



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