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放課後——僕は図書室に居た。


僕に起きた変化……本を探した所で良さそうな資料は無さそうだが、オカルト誌ならワンチャン参考になるかと思い、ダメ元でフラリと立ち寄ったのだ。

まぁ、校内の図書室より『実家の方』にある図書館のが蔵書量も質も規模も何倍も上だが。


「ふぅむ……ニュートン、ムー、Mas alla ……どれも参考になるか疑問だなぁ。どっちかっていうと少年漫画でも参考にした方が(ブツブツ)」

「——何か、お探しですか?」


不意に横から話し掛けられた僕は、ビクッとなった。

僕が学校で封以外の人から話掛けられるなんて珍しい、というか、『初めて』じゃないか?

メガネを掛けた少女。

ボサボサの髪とオドオドした雰囲気と猫背で一見地味目女子、という風貌だが……僕の目は誤魔化せない。

メガネの奥に見える整った顔立ち、封並みにはち切れんばかりなおっぱい、仄かに香る妖艶さ……ええ素材や。

リボンの色からして上級生、か。


「あ、あの……?」

「ああ、ごめん。図書委員の人?」

「そ、そうです。お困りのご様子でしたので」


委員とはいえ自分から話し掛けそうなタイプには見えないが……まぁいい。


「んー、なら訊くけど、誰にも(特に封には)言わないでね? 突然『相手のメニューみたいのが見えた』時の対処法が載ってる本とかある?」

「え……?」


さりげなく上級生にタメ口の僕だがそれには深い理由があって一歳違いなだけなのに敬語使うのは納得いかないからだ、二歳差なら敬語かもしれない。

それはそれとして、予想通りピタリと固まる図書先輩。


「メニューが見える、ですか? それは、具体的にどういった?」


意外にも真面目に応対してくれるんだな、冷やかしと思われても仕方ないのに。

僕はこれこれこうとザックリ説明。

図書先輩はふんふん頷きつつ、


「……まるで【実績】ですね」


と呟いた。


「実績?」

「え? あ、き、聞こえちゃいましたか? えと……ゲームの実績みたいだなぁと」

「今のゲームってそういう用語があるの? 僕スーファミとか64しか(封と)しないから疎くって」

「お、面白いですよね、レトロゲームも」


今度は僕がザックリ受けた説明によると……

【実績】というのはゲーム媒体によっては【トロフィー】とも呼ばれるシステムで、簡単な話、決められた目的や行動を達成すれば得られる称号、やり込み要素らしい。

その実積を得てもただの自己満足で終わるゲームや、全て埋めれば裏エンディングを見られるゲームもあったりと様々で。

なるほど、実績という例えにはしっくり来るものがあった。


「ふ、不思議な力ですね……急にそんな力を得て、怖くはないのですか?」

「そりゃあ混乱してるさ、こんな『非現実的』な現象に」

「で、ですよね。その幼馴染という方の実績が埋まった場合の展開も気になります」

「そうねぇ……っと」


不意に——僕は図書先輩のホッペに手を添えた。


「え」


ふむふむ……やはり、封以外の相手のも『見える』な。

当たり前だが、表示される内容も違う。

金色文字もあり、達成済みの実績も。


「わぁー先輩、今日までに(ごにょごにょ)を一〇〇回達成済みかぁ……エッチだねぇ」

「……、……ふぇ!? な、何をっ」

「それとは別にこの実績の名前……【姉は菅笠、妹は日傘】……何か妹さんで悩みが?」

「ッ! ま、まさか、その力、本当に……?」


「お? 竹取 仙女せんちゃんが会話してるとか珍しっ」「俺が狙ってたのに……相手誰だよ……あんなのいたか?」「あのドスケベボディで図書委員は無理でしょ」


「ッ?……し、し、し、失礼しますっ」


走り去る先輩。

なんかデジャヴ覚えるな……本も対処法も見つからなかったけど、まぁ、面白かったからいいか。


「(ガラッ)篭ちゃん! 封が来ましたよ! 封からは逃れられませんよ!」


幼馴染が居るとうるさいので、僕らは図書室を後にした。


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