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本の旅人、物語を渡り歩く  作者: 三木香
二章:本の旅人、『森のくまさん』の物語を旅する
11/57

11.森の中を探索する

お久しぶりです。

不定期更新ですが、投稿を再開します。

少しずつですが、よろしくお願いします。

「セイ。川に行ってみようか? この前は結局行けなかったし」


 と私が提案する。


「良いですね。でも、その前に……。―物語が追加されました―なので、確認してみてください。」


 とセイが返してきた。私は【ガイドブック】を取り出して物語を読み始めた。


-----------------


―――略


 そう思うとくまさんは嬉しくなりました。嬉しくなったくまさんは匂いを辿ってみることにしました。匂いは森の奥へと続いています。鼻をヒクヒク動かしながら匂いの元へと足を進めました。すると少し開けた場所に座っている人影が見えます。くまさんは心を落ち着かせてからその人に声を掛けました。


「こ、こんにちは」


「こんにちは」


 くまさんとその人は挨拶を交わしました。


「私は旅人です」


 と旅人は自己紹介をした後、妖精を紹介しました。


「僕は森のくまです」


 とくまさんも自己紹介をします。その後、くまさんは旅人を自分の家に招待しました。旅人は喜んで招待を受けました。くまさんは初めてのお客さんに喜びながら一生懸命におもてなしをしました。


「ハーブティーも蜂蜜飴も美味しかったです。ご馳走様でした」


 和やかな談笑の後、旅人はそう告げてくまさんの家から立ち去りました。旅人はそのまま川の方に向かって歩いて行きました。くまさんは家の前に立っていつまでも見送っていました。


-----------------


「へぇー。ちょっと違うけどこんな風にまとめられたんじゃなぁ。くまさん、まだ見送ってくれてたんじゃ……」


 私はクスっと笑いながら【ガイドブック】を閉じて後ろを振り返る。くまさんの家から大分離れていたのでくまさんが見送っている様子はもう見えなくなっていた。


「この前は苺に夢中になり過ぎて道なき道を適当に歩きすぎたなぁ。マップが変な感じで埋まっとるわ」


 私は表示されているマップを眺める。自分の進んだ所以外は真っ黒で何があるか分からないのだ。


「川はこっちの方角でいいんかなぁ…。まぁ、取り敢えず進んでみるしかないか」


「そうですね。この道を行ってみましょう」


 セイも私の左肩に腰かけて同意してくれた。そのままどんどん進んで行く。途中、道端に咲いている草花を調べながらゆっくりと歩いて行った。調べることによって、草花の名前やちょっとした説明を見ることが出来てとても有意義だった。お陰で、薬草や毒消し草、痺れこな等を発見することが出来た。痺れ粉は見たことがない物だった。真っ赤な花びらで綺麗だなと思って調べていたら、花粉が麻痺を起こすものだったのだ。それが痺れ粉だ。因みに花の名前は麻痺草。そのままだ。何かに使えそうだと思って一応採取しておいた。しばらく歩いていると、せせらぎの音が聞こえてきた。


「セイ。水の音が聞こえる! 川が近いっぽい」


「そのようですね」


 私がはしゃいで言う。それにセイは相槌を打ちながら、私の周りをクルリと一周した。


「んじゃあ、早く行こう」


「足元に気を付けてください。川の近くは湿っていて転びやすいですよ」


 セイにそれだけ言うと、私は音のする方に早足で向かった。セイが私の横を飛びながら注意を促す。セイに頷きつつも、早足のまま進んで行った。


「あった、川だ! ……。小川だな」


「はい。水量はそれほど多くないようですね。川の上流の様です」


「川の支流なんかなぁ? 魚居る?」


「それほど大きな魚は居ないようですが、水産生物は生息しています」


 少し進むと森から抜けて視界が開けた。そこには川が流れていたが、私の予想に反して小さな川だった。水深は深いところで私の膝くらいだろう。川幅も一mくらいだ。セイと話しながら、川を覗くと確かに魚が泳いでいるのが確認できた。


「セイ。魚釣れるかな?」


「どうでしょうか? 私にはわかりません」


「そっかぁ。あ、釣り竿持ってなかったわ。網もないし……」


 私は釣りの道具を何一つ用意していないことを思い出した。


「なぁ、セイ。もう一回念じて釣り道具を出すことってできる?」


「できません。一つの物語に付き一回のみ可能です」


「うわぁ。勿体無いことしたなぁ。一回しか使えんかったんかぁ。もうちょっと考えてから使えばよかったかなぁ。でも、あの時焦ってたし……」


 セイから聞いた情報に私はがっかりして溜息を付いた。河原で見つけた石の上に腰かけて暫く黄昏たそがれる。そのままぼんやりしていると


「―物語が追加されました―」


 と唐突にセイが言った。


「うわ! びっくりした」


 当然だったので、ビクッとしてしまった私だが、追加された物語を確認することにした。




読んでくださりありがとうございました。

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