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0.わたし達の物語

 タイトルにもある通り、これは2年前に投稿した『星の器』という作品のリメイクです。ずっと前から「書き直したい!」と思っていた作品なので、このように形に出来て私としては嬉しい限りです。


 幾分スロースターターな話なので、序盤は退屈するかと思います。流し読みでも良いので、話が動き始める7話あたりまで読んでいただけたら幸いです。


 それでは、よろしくお願いします。

 身体から徐々に炎が消えていく。夢を見るようにじっと目を瞑り続け、その感覚を肌で感じながら、ああ、儀式がもうすぐ終わるんだな、なんて暢気なことを考える。


 ピリピリとも、チクチクとも感じない、身体を包む優しい蒼炎。それが完全に消えたことを実感して、僕はようやく目を開ける。

 すると、何ということだろう。目の前には信じられない光景が広がっていた。


 地面の代わりに足下に広がる世界は、普く蝶々が羽ばたき輝く、神秘の闇と銀の河。

 青空の代わりに頭上に広がる世界は、まだ色に染まることを知らない、純白の光と無色の雨粒。

 

 あまりに現実離れした光景に、思わずゴクリと唾を飲み、その場に立ち尽くしてしまう。

 10秒だろうか。20秒だろうか。理解の及ばない絶景に圧倒されていると、背後から声がかかった。

 それは、身震いする程美しく脳に響く声だった。


『よく来ましたね、『星の器』よ。わたしはずっと、待っていました』


 ゆっくりと背後を向き、そしてもう1度身震いする。


 そこにいたのは、蝶と戯れる1人の少女。

 飾り気のない純白の服を着て、癖の強い飴色の髪を腰の辺りまで伸ばしている。指に止まる蝶を眺め、嬉しそうに微笑んでいる少女の姿は、この現実離れした世界に負けないくらい存在感を放っていた。


「ああ、貴方が僕の救いの光だったのですね」


 少女がこの星の頂上たる存在であることを理解し、自然な流れで跪く。彼女は僕の救い、儀式を経てこの世界に呼んだのだ。だから、彼女に対して僕は跪くべきだと思った。

 少女は僕に視線を向け、両の手の平で何かを包みながらこちらに歩み寄る。指に止まっていた蝶も、少女と歩調を合わせるかのようにひらひらと宙を舞っている。


『これから彼方の世界に旅立つ『星の器』よ。この光を渡す前に、1つ話をさせて下さい』


 そう言って、少女は微笑む。嬉しそうに、哀しそうに、寂しそうに、懐かしそうに、それら全てを含んだ混沌とした笑みを浮かべていた。




『これは、子供が大人になるまでの物語。自由と幸せの物語。そして、ここに至るまでの物語です。そうですね、始まりは――』



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