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迷宮入りの恋  作者: たなかきよし
1章 ゴブリンとオークと青空と
8/19

惚れた。

ブックマーク登録が2になりました。大事にしていきたいですねー。読んでいただきありがとうございます。

ゴブリンダンジョンから帰還して2年半。怒涛の2年半だった。帰還したのはオフィスビル1階でエレベーターはやっぱり落ちて壊れてた。僕はどうやってここに??スーツもボロボロだし、剣は持ってる。慌てて隠そうとしたら剣はいきなり消えた。無事解決。とりあえずボロボロの服を周りの人に変な目で見られながら帰宅。夜だったのであれからすぐに帰ってぐっすり眠り、しばらくというか、かなり無断欠勤したはずのでドキドキしながら会社に行ってみたが何もなく、日付を見たら日にち経ってなかった。


夢だったのかなー?剣も消えたし。と思いながら仕事をすること3カ月。ダンジョンが現れた。各地で現れてるモンスター見ながら夢じゃなかったんだと実感したが、田舎の方にモンスターが出たら大変だ。田舎に残してきた母が心配で、お世話になった会社を辞めて、田舎に帰えることに決めた。みんな心配してくれてとてもいい人たち。お前がいなくなった会社は地獄だとか言っていたがなんのことだろう?帰ってきたら会社に戻ってこいとも言われた。大変お世話になったので本当に感謝してる。


僕の田舎は母はこだわりあってかなり人里離れたところに住んでいた。父との思い出の地らしく、引っ越そうとはまったくせず、そこでのんびりと農家をしながら女手一つで僕を育ててくれた。今考えれば収入源などはわからないけど、贅沢はしていないが大学まで出させてくれてのでそんなに苦労はした記憶はない。学校までは遠かったので苦労したけど…。

僕も成長するに連れて若さ特有の都会への憧れが芽生え、大学からは都会に出て、そのまま就職した。田舎者でコミュニケーション能力のない僕はそんなに友達も出来なかったけど楽しくやれていたと思う。久しぶりに帰った実家は何も変わらず、ゆっくりとした時間が流れていて、なんだか落ち着いた。相変わらず、母の作る野菜と料理は旨い!


田舎に帰った僕は母の農家の手伝いをしながら暮らしていた。田舎の方は予想通りモンスター駆除も手が回ってないらしく、たびたびモンスターが田畑を荒らしてきたので駆除して回った。出で来るモンスターはゴブリンやオーク、あと狼みたいなのとか。ゴブリンはやたらと僕の家の田畑を狙ってくるので迎え撃っていたがキリがないのでわざと一匹逃がしては後をつけて巣まで行って潰すということを繰り返した。母はゴブリンのことを青鬼といってくるので、そうか妖怪にも見えるんだと感心した。実際にたまに赤いのも出たので赤鬼もいると納得した。昔話とかの鬼はこういったモンスターだったのかな?

最初のゴブリンダンジョンでいろいろと練習したことも活かせれたが、足場が土で柔らかいだけでも苦労したし、ゴブリンよりも、もっと獣よりのモンスターは早かったり、動きが読めなかったりとかなり苦労させられてしまった。狼系は連携が上手い。ゴブリンより賢くないかな?

かなり頑張ってモンスターの駆除とダンジョンを潰すことに精を出していたが、調子に乗りすぎて失敗して死にかけたりした……他のダンジョンって回復の泉ないんだ。危ない、危ない。


一度、傷だらけで帰ってしまい、母にかなり心配かけたようだ。父もよくケガをして帰ってくることが多かったらしく、傷の手当ては慣れたものらしい。だが心配なことには代わりはないので危ないことはするなと口酸っぱく言われ、母が亡くなる時には命を粗末にしないでと遺言受けてしまった。反省してる。流石にダンジョン危なすぎる。ノーモアダンジョン!!命あっての物種。その時には田舎のダンジョンは手当たり次第潰していたのでしばらくはここも大丈夫だろうと思い、母も亡くなり、仕事もないのでまた、都会に出ることにした。たまに帰ってきて庭の手入れくらいはしよう。レベルアップのおかげで実家から最寄り駅(直線距離10キロ)まで行くのが苦にならなくなっているし。


とりあえず、都会に戻ってきたら連絡いれるように前の会社の上司に言われていたので前の会社に行ったが潰れてた。どうしよう。働く宛がなくなった。無職。ニートです。家もないから引き込もることもできない。今年で28歳どこか雇ってくれるところはあるのかな?体力だけが取り柄なので肉体労働くらいしかないかな。


とりあえずダンジョン産のいらないアイテム(牙とか変な石とか)が売れると聞いたので持ってきていたものを売ってお金を手に入れた。結構良い値段になった。ホテル住まいでも1カ月は持つと思うので安ホテル住まいで就職活動をしよう。よかった持ってきておいて。計画性って大事。頭が良くないことを忘れてた。


久しぶりの都会は様変わりしていた。2年半、田舎にいただけでこんなに変わるなんて。本当に浦島太郎状態だ。ダンジョン冒険者?って職業が出来たようだ。田舎で僕が苦労したように、モンスターが襲ってきたら大変だし、駆除する人は必要なのだろう。相変わらず人は多いけど、ダンジョン冒険者なのか武装している人はたまに見かけるし、気配の大きな人がたまにいる。強そうだ。

あと、ダンジョン産の肉とか売りにしている飲食店もあった。たまにドロップするのは見たことあるけど怖くて食べれなかった。おいしいのかな?

あと、英語や学習塾と同じくらい武道や魔法の教室があった。かなりの看板の数だ。そっかーそういう需要増えるよな。ダンジョンに潜らなくても出てきたモンスターの対応のために鍛えることは大事だと思うし、魔法学校か、通ってみたい。使えるようになるのかな?魔力検査無料かぁ。してみようかな。

他にも武器屋や魔法屋もある。ゲームに出てくるような剣や日本刀まである。すごいワクワクする。でも値段を見てワクワクも止まった。元々日本刀とかって高いもんな。すごい値段だ…なる気はないけどダンジョン冒険者ってお金がかかるんだ。確かにこんなの安くはなさそうだ。銃刀法とかってどうなってるんだろ?


ウロウロと街を徘徊してみたけどいろいろ変わってて楽しかった。街頭テレビにはダンジョン冒険者の募集が流れていて、剣をふるイケメンや魔法を使う綺麗な人が出てた。憧れる。いや、ダメだ。危険だし、母と約束したんだ。

とりあえずこれ以上ダンジョンに憧れるのも良くないので切り替えるためにもご飯を食べようと適当な店に入った。よくわからない肉料理もあるが、怖いので豚のショウガ焼きにした。この肉はオークじゃないよね?

一人なのでカウンターで黙々と食べていると隣の女性がかなり酔ってらっしゃる。カウンターに頭をつけてブツブツ言ってる。女性なのに大丈夫かな?あ、お酒こぼした。


「すぃませぇん」


酔っ払ってフラフラしながらこっちまで来たお酒を拭いている。


「僕は大丈夫ですけど、大丈夫ですか?」


かなり酔ってフラフラしてる。髪の毛もボサボサだ。


「大丈夫れす」


大丈夫じゃないようで。なんだかいろいろ溜まってるんだろうな。都会は大変だ。いろいろと愚痴を言いだした。目を合わせるのが苦手なのでご飯を見ながら話を聞いていたら、何か大変嫌なことあったようで。上司や同僚の愚痴ですね。大変だ。あー関西弁ってきつい。わかる。あーはい。おっしゃる通り。いやいや、慎重さは大事。間違ってないと思いますよ。話に相槌を適当に打ちながらご飯を食べ進めていると。


「話を聞いて!!」


大きな声で怒られて顔を正面に向けられた。目を合わせるのが苦手な僕は背けようするがさせてくれない。



綺麗だ。可愛い。どうしよう。ドキドキする。これが恋ってやつなのか?いろいろ言っているようですが見惚れてしまって頭に入ってこない。長い黒髪。白い肌。スレンダーな体型。どれも好みドンピシャ。女神降臨。


とりあえず困っているようなので何に困っているかしっかり聞いてみる。僕に出来ることがあればいいけど。


「えっとー貴女は結局会社を辞めたいんですか?」


ムッとした顔も綺麗だ


「結衣って名前です。辞めたくないから困ってるの!」


怒ってらっしゃる。でも可愛い。


「結衣さんはどうすれば辞めずにすむんですか?」


名前で呼ぶの照れる。


「ダンジョンに潜ること。そして成果を出すこと」


ここに来てもダンジョンか。こんな魅力的な女性もダンジョンに関係してるんだ。ダンジョン冒険者には全然見えないけど。


「ダンジョンって危険ですよね?」


女性が潜ることを聞いて素朴な疑問を訪ねた。


「そりゃね。魔物、あ、ゴブリンとかのことれす。そういうのもいるしー、トラップのあるダンジョンだってある。でもそれ以上に未知の生態系やスキル、魔法。研究対象としてはこれほど魅力的なものがある場所なんて今はダンジョンしかないの!研究したいし、魔法も使ってみたい!空だって飛べるかもしれないんですよ?」


おーすごい。研究者さんだったんだ。確かに魔法とか魅力ですよね。僕は使えるようにはならなかったけど、さっき見たテレビみたいに使えるようになれば格好いいし、便利だろう。


「結衣さんはダンジョンに潜らないんですか?」


「それが今は無理だからこれだけ落ち込んでるんです…。ダンジョンは低層であれば研究者や冒険者だったら簡単に入れるけど、何か結果を出そうとしたら深層までいかないと行けない。深層まで行くには冒険者パーティと研究者が一緒に潜らないといけないって決まってるの。私は深層まで潜れるようなめぼしい冒険者パーティには嫌われてるし、誰も潜ってくれない。」


結衣さんは矢継ぎ早に話していく。


「だからもう諦める。普通の仕事につく。あー魔法使ってみたかったし、未知の物質を扱ってみたかったなー」


あー涙を堪える顔がキュンと来た。気がつけば言葉が口から出てた。


「潜りましょう!」


「え?」


「貴女のためにもう一度潜りましょう!」


ごめんね。お母さん。遺言守れなくて。

お読みいただきありがとうございました。

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